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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ベルリン会議の議事に関する議定書

[場所] ベルリン
[年月日] 1945年8月2日
[出典] 現代国際政治の基本文書,(財)鹿島平和研究所編,原書房,32-62頁.
[備考] 
[全文]

ベルリン会議の議事に関する議定書

 1945年7月17日から8月2日まで行われたソビエト社会主義共和国連邦,アメリカ合衆国及び連合王国の三政府首班のベルリン会談は,左の結論に到達した。

第1 外務大臣理事会の設置

A 会議は,平和解決のための必要な準備的事業を行う外務大臣理事会の設置に関する左の協定に到達した。

1 連合王国,ソビエト社会主義共和国連邦,中華民国,フランス国及び合衆国の外務大臣から成る理事会が設けられる。

2(1) 理事会は,理車会が設ける共同事務局の常設地となるロンドンにおいて通常開かれる。各外務大臣は,自国の外務大臣の不在の場合に理事会の事業を遂行することを正当に委任された高位の代理者と専門家顧問から成る少数の職員とを帯同する。

 (2) 理事会の第一回会合は,1945年9月1日より遅れることなくロンドンにおいて開かれる。会合は,合意によって時々協定することのある他の首都において開くことができる。

3(1) 理事会の即時の重要任務として理事会は,連合国に提出する目的をもってイタリア国,ルーマニア国,ブルガリア国,ハンガリー国及びフィンランド国との平和条約を起草し,且つ,ヨーロッパにおける戦争が終了したとき未解決の領域問題の解決案を提議する権限を与えられる。理事会は,受諾のために適当な政府が樹立された場合にドイツ国政府によって受諾されるドイツ国に関する平和取極の作成のために利用されなければならない。

 (2) これらの任務の各を果すため理事会は,関係敵国に課せられた降伏条項の署名国であった国を代表する構成員から構成される。イタリア国に関する平和取極については,フランス国は,イタリア国に対する降伏条項の署名国とみなされる。他の構成員は,その構成員に直接に関係のある事項が討議されているときには参加するよう要請される。

 (3) 他の車項は,構成国政府間の合意によって時々理事会に付託することができる。

4(1) 理事会が理事会に代表者を出していない国に直接に利害関係のある問題を審議している場合には常にこの国は,その問題の討議及び研究に参加する代表者を派遣するよう要請されなければならない。

 (2) 理事会は,審議中の特定の問題に適応するよう理事会の手続を改めることができる。ある場合においては,理事会は,他の利害関係国の参加前に理事会としての予備的討議を行うことができる。他の場合においては,理事会は,特定の問題の解決案を求めることに特に利害関係を有する国の正式の会議を招集することができる。

B この本文を採用し,且つ,理事会の設置に参加するようにという同文招請状を三国政府が各自中華民国及びフランス国の政府に送付することが合意された。承認された招請状の本文は,次のとおりであった。

 三国政府の各によって別々に中華民国及びフランス国の政府に送付される同文招請状の外務大臣理事会の草案「連合王国,合衆国及びソビエト社会主義共和国連邦の政府は,ヨーロッパにおける平和取極に関し欠くことのできない準備的事業を遅滞なく始めることを必要と認める。このためにこれらの政府は,連合国に提出するためのヨーロッパの敵国との平和条約を作成する五大国の外務大臣の理事会を設置しなければならないということに意見が一致した。理事会は,ヨーロッパにおける未解決の領域問題の解決案を提議し,且つ,構成国政府が理事会に付託することを合意することのある他の事項を審議する権能をも与えられる。三国政府によって採択された本文は,次のとおりである。

(前に引用されている提案の最終的協定本文をここに入れること。)

合衆国及びソビエト社会主義共和国連邦の政府,連合王国における皇帝陛下の政府及びソビエト社会主義共和国連邦の合意により,合衆国政府,連合王国及びソビエト政府は,前記の本文を採択し,且つ,理事会の設置に加わるようにという懇篤な招請を中華民国(フランス国)政府に送るものである。皇帝陛下の政府,合衆国政府及びソビエト政府は,提案された取極への中華民国政府(フランス国政府)の参加に多大の重要性を認めており従って理事会は,この招請に対してすみやかで好意的な回答を受け取ることを希望する。

C 本文中に示されている特定の目的のための外務大臣理事会の設置は,合衆国,ソビエト社会主義共和国連邦及び連合王国の外務大臣の間に定期的協議が行われるというクリミア会議の協定を害するものではないということが了解された。

D 会議は,また,外務大臣理事会を設置するという協定にかんがみ,ヨーロッパ諮問委員会の地位を審議した。この委員会は,ドイツ国に関する降伏条項,ドイツ国及びオーストリア国における占領地帯並びにこの両国における同盟国間管理機構に関して提供した勧告によって委員会の主要任務を有能に遂行したということは,満足をもって注目された。ドイツ国及びオーストリア国の管理に関する連合国の政策を調整するための細目的性質を有する今後の事業は,将来ベルリンにある管理理事会及びウィーンにある同盟国委員会の管轄に属するであろうということが感ぜられた。従って,ヨーロッパ諮問委員会を解散することを勧告することが合意された。

第2 初期の管理期間におけるドイツ国の待遇を規律する原則

  A 政治的原則

1 ドイツ国における管理機構に関する協定に従ってドイツ国における最高権力は,アメリカ合衆国,連合王国,ソビエト社会主義共和国連邦及びフランス共和国の武装軍隊の最高指揮官により各自の政府からの訓令に基いて,各自の占領地帯においては各自に,また,全体としてのドイツ国に関係のある事項に関しては管理理事会の委員としての資格において共同して行使される。

2 実行しうる限り,ドイツ人の待遇についてはドイツ国の全土にわたって画一性がなければならない。

3 管理理事会を指導するドイツ国占領の目的は,次のとおりである。

 (1) ドイツ国の完全な武装解除及び非軍事化並びに軍事的生産に使用できるドイツ国のすべての工業の除去及び管理。この目的のため

  (a) ドイツ国のすべての陸軍,海軍及び空軍,ナチス親衛隊,ナチス突撃隊,特高警察及び秘密警察は,参謀本部,将校団,予備部隊,軍事学校,在郷軍人団並びに他のすべての軍事的及び準軍事的団体とドイツ国において軍事的伝統を存続させることに役立つすべてのクラブ及び協会を含め所属のすべての団体,職員及び施設とともにドイツ国の軍国主義の復活又は再組織を永久に防止するような方法で完全且つ最終的に廃止されなければならない。

  (b) すべての武器,弾薬及び軍用器材並びにこれらを生産するためのすべての特殊施設は,同盟国の自由処分に任されるか又は破壊されなければならない。すべての航空機並びにすべての武器,弾薬及び軍用器材の維持及び生産は,防止されなければならない。

 (2) ドイツ国の人民をして自己が完全な軍事的敗北を喫したこと並びに自己の無慈悲な戦争遂行及び狂信的なナチの抵抗がドイツ国の経済を破壊し,且つ,混乱と受難とを避け難いものとしたのであるから,自らが招いたことについては,責任を免かれることはできないことを自覚させること。

 (3) 国家社会党並びにそれの関係団体及び監督団体を壊滅させ,ナチのすべての制度を解消し,これらがいかなる形式においても復活されないことを確保し並びにナチ及び軍国主義者のすべての活動又は宣伝を防止すること。

 (4) 民主主義的基礎におけるドイツ人の政治的生活の結局の再建のため及び国際生活におけるドイツ国の結局の平和的協力のために準備すること。

4 ヒトラ一政体の基礎を提供し又は人種,信条若しくは政治的意見に基く差別を設けたナチのすべての法律は,廃止されなければならない。この差別は,法律的のものであると,行政的のものであると又その他のものであるとを問わず,容認されてはならない。

5 戦争犯罪人及び残虐行為又は戦争犯罪を包蔵しているか又はこれを生ぜしめたナチの事業の計画又は遂行に参加した者は,捕縛され,且つ,裁判に付される。ナチの指導者,ナチの勢力ある支持者並びにナチの機関及び施設の高級役員と占領又は占領の目的に対して危険なその他の者とは,捕縛され,且つ,留置される。

6 ナチ党の活動の名儀的以上の参加者であったナチ党のすべての党員及び連合国の目的に対して敵意を有する他のすべての者は,公職及び半公職から並びに重要な私企業における責任ある地位から罷免される。これらの者は,その者の政治的及び道徳的資質に徴してドイツ国において真正の民主主義的制度を発達させることについて援助を与える能力を有していると認められる者と代えられる。

7 ドイツ国の教育は,ナチ及び軍国主義者の教義を完全に除去し,且つ,民主主義的思想の首尾良き発展を可能ならしめるように管理されなければならない。

8 司法制度は,民主主義,法律の下における正義及び人種,国籍又は宗教についての差別のないすべての市民のための平等の権利という諸原則に従って再組織されなければならない。

9 ドイツ国における施政は,政治機構の地方分権化及び地方責任性の発展を目的として行われなければならない。この目的のた

め,

 (1) 地方的自治は,民主主義という原則を基礎として且つ特に選挙による評議会を通じて軍事的安全及び軍事的占領の目的と矛盾しない限りなるべくすみやかにドイツ国の全土にわたって回復されなければならない。

 (2) 集会及び公開討議の権利を有するすベての民主主義的政党が,ドイツ国全土にわたって許され,且つ,奨励されなければならない。

 (3) 代議制及び選挙制の原則は,原則の地方的自治における首尾良き適用によって正しいものであることが示される限りなるべくすみやかに地方,県及び州の施政に採用されなければならない。

 (4) 当分の間は,いかなるドイツ国中央政府も,樹立されてはならない。但し,これにかかわらず,国務大臣を長とするある欠くことのできないドイツ国中央行政省が特に財政,運輸,通信,外国貿易及び産業の方面において設けられなければならない。この者は,管理理事会の指揮の下に行動する。

10 軍事的安全の維持のために必要な場合を除き,言論,出版及び宗教の自由が許されなければならず,また,宗教上の施設は尊重されなければならない。同様に軍事的安全の維持を条件として,自由な労働組合の組織が許されなければならない。

B 経済的原則

11 ドイツ国の戦争潜勢力を除去するため武器,弾薬及び軍用器材並びにすべての型式の航空機及び海洋航行船舶の生産は,禁止され,且つ,防止されなければならない。戦時経済に直接必要な金属,化学製品,機械類及び他の品目の生産は,厳重に管理され,且つ,15に掲げられている目的に応ずるためのドイツ国の承認された戦後の平時の必要物に局限されなければならない。許された生産に必要でない生産能力は,連合国賠償委員会により勧告され,且つ,関係政府により承認された賠償計画に従って撤去されなければならず,また,撤去されない場合には破壊されなければならない。

12 特にカルテル,シンディケート,トラスト及び他の独占的組織によって例証されている現在の過度の経済力集中を除去するため,ドイツ国の経済は,実行しうる最も早い時期において分散されなければならない。

13 ドイツ国の経済を組織するに当っては,第一の重点は,農業及び平和的国内産業の発展に置かれなければならない。

14 占領期間中は,ドイツ国は,単一の経済単位として取り扱われなければならない。この目的のために,共同の政策が次に関して確立されなければならない。

 (a) 鉱工業生産及びその割当

 (b) 農業,林業及び漁業

 (c) 賃銀,価格及び配給

 (d) 全体としてのドイツ国に関する輸入及び輸出の計画

 (e) 通貨及び銀行業,中央課税並びに関税

 (f) 賠償及び工業的戦争潜勢力の除去

 (g) 運輸及び通信

 これらの政策を適用するに当っては,適当な場合においては,相異なる地方的状況を考慮しなければならない。

15 連合国の管理は,ドイツ国の経済に対して加えられなければならない。但し,次のために必要な程度までとする。

 (a) 工業上の武装解除及び非軍事化,賠償並びに承認された輪出及び輸入に関する計画を遂行すること。

 (b) ドイツ国における占領軍及び流民の必要に応ずるために必要なものであり,且つ,ヨーロッパの諸国(ヨーロッパ諸国とは,連合王国及びソビエト社会主義共和国連邦を除いたヨーロッパのすべての国をいう。)の生活水準の平均をこえない平均生活水準をドイツ国において維持するために欠くことのできない貨物及び労務の生産及び維持を確保すること。

 (c) ドイツ国全土にわたって均衡を得た経済を生ぜしめ,且つ,輸入の必要を減少させるように各地帯間への欠くことのできない物資の衡平な分配を管理理事会により決定された方法により確保すること。

 (d) ドイツ国が戦争潜勢力を発展させるとを防止し,且つ,この節に示されてる他の目的を達成する目的をもって,ドイツ国の工業並びに輸出及び輪入を含んだすべての経済的及び財政的国際取引管理すること。

 (e) 経済的活動と関係のあるドイツ国のべての公及び私の学術団体,研究所及び実験所,試験所等を管理すること。

16 管理理事会により設定された経済管理を課し,且つ,それを維持するに当っては,ドイツ国の行政機構が創設されなければならず,また,ドイツ国の官憲は実行しうる最大限度においてこの管理を布告し,且つ,それの適用の任に当ることを要求される。このようにしてこの管理の適用及びこの管理の破綻についての責任が自己の上にかかっていることをドイツ国人民に首肯させなければならない。ドイツ国の行う管理であって占領の目的に背ちするものは,禁止されなければならない。

17 次の措置は,すみやかに執られなければならない。

 (a) 輸送機関の必要な修繕を行うこと。

 (b) 石炭の生産を増大すること。

 (c) 農業生産を最大ならしめること。並びに,

 (d) 住宅及び欠くことのできない公益施設の応急修繕を行うこと。

18 ドイツ国に対する戦争に参加した連合国の管理の下にいまだ属してはいないドイツ国所有の外国資産に対する管理を行い,且つ,この資産に対する処分権を行使するため管理理事会は,適当な手段を執らなければならない。

19 賠償の支払は,ドイツ国人民をして外部からの援助を受けることなしに生活することを得しめるのに充分な資源を残すものでなければならない。ドイツ国の経済的平衡を達成するに当っては,ドイツ国における管理理事会によって承認された輸入に対して支払をするために必要な財源が準備されなければならない。日々の生産及び貯蔵品からの輸出の売得金は,まずこの輸入に対する支払のために利用されなければならない

 前記の条項は,賠償協定4(a)及び4(b)に掲げられている設備及び生産品には適用されない。

第3 ドイツ国からの賠償

1 ソビエト社会主義共和国連邦の賠償請求は,ドイツ国のうちソビエト社会主義共和国連邦によって占領されている地帯から及びドイツ国の適当な外国資産からの撤去物をもって支払われなければならない。

2 ソビエト社会主義共和国連邦は,ポーランド国の賠償の請求を自国の賠償の配分から決済することを約束する。

3 合衆国,連合王国及び賠償を受ける権利を有する他の諸国の賠償請求は,西部地帯から及びドイツ国の適当な外国資産から支払われる。

4 ソビエト社会主義共和国連邦が自国の占領地帯から取り立てる賠償以外に,ソピエ卜社会主義共和国連邦は,追加として西部地帯から次を受け取る。

 (a) 同等の価値を有する食料,石炭,か性加里,亜鉛,木材,粘土製品,石油製品及び協定されることのある資材との交換で,まず冶金,化学及び機械の製造工業からの使用可能且つ完全な工業的資本設備であってドイツ国の平時経済に不必要であり,且つ,ドイツ国の西部地帯から撤去されなければならないものの15パ一セント

 (b) ドイツ国の平時経済に不必要であり,且つ,西部地帯から撤去されなければならない工業的資本設備であって,代償としての何らの支払又は交換も行われることなしに賠償勘定においてソビエト政府に移譲されるもの10パ一セント

  (a)及び(b)に規定されている設備撤去は,同時に行われなければならない。

5 賠償勘定において西部地帯から撤去される設備の価額は,遅くとも今から6箇月以内に決定されなければならない。

6 工業的資本設備の撤去は,なるべくすみやかに開始されなければならず,且つ,5に明示されている決定から2年以内に完了されなければならない。前記4(a)に含まれている生産品の引渡は,なるべくすみやかに開始されなければならず,且つ,この協定の日付の日から5年以内に,協定された分割分によってソビエト,社会主義共和国連邦により行われなければならない。ドイツ国の平時経済に不必要である,また,従って賠償に利用することのできる工業的資本設備の価格及び性質の決定は,連合国賠償委員会が決定した方針に基いて管理理事会により,フランス国の参加を得て行われる。

但し,この設備の撤去の行われる地帯における地帯司令官の最終的承認を受けなければならない。

7 撤去に付される設備の総価額の決定に先立って,6の最後の文章に掲げられている手続に従って,引渡のために選ばれうるものと決定される設備について前渡が行われなければならない。

8 ソビエト政府は,賠償に関する請求権であって,ドイツ国西部占領地帯内にあるドイツ国企業の株式及び次の9に明示されている国を除いたすべての国にあるドイツ国の外国資産に対するものの全部を放棄する,

9 連合王国及びアメリカ合衆国の政府は,賠償に関する請求権であって,ドイツ国の東部占領地帯内にあるドイツ国企業の株式並びにブルガリア国,フィンランド国,ハンガリー国,ルーマニア国及びオーストリア国の東部にあるドイツ国の外国資産に対するものの全部を放棄する。

10 ソビエト政府は,ドイツ国において連合国軍隊がろ獲した金に対しては,何らの請求をも行わない。

第4 ドイツ国の海軍及び商船隊の処分

A ドイツ国海軍の分配に関する次の原則が協定された。

1 沈められた船舶及び連合国から引き取ら船舶は,除かれるが,建造中又は修繕中の船舶を含んだドイツ国の水上海軍艦船の総兵力は,ソビエト,社会主義共和国連邦,連合王国及びアメリカ合衆国の間に平等に分配されなければならない。

2 建造中又は修繕中の船舶とは,船舶の形式に応じて3箇月ないし6箇月以内に建造又は修繕を完了することのできる船舶をいう。この建造中又は修繕中の船舶が完成されるか又は修繕されるかは,前記の三国によって任命される後に掲げられる専門委員会によって決定される。但し,この船舶の完成又は修繕は,ドイツ国造船所における熟練工の雇用増加及びドイツ国造船業又はこれに関係のある工業の再開許可を伴うことなしに,前記に規定されている期間内に完了されなければならないという原則には従わなければならない。完成日とは,船舶が最初の航海に出ることのできる日をいい,また,平時の基準によるときは,造船所が政府に引き渡す慣例的の日をさす。

3 ドイツ国の潜水艦隊の大部分は,沈められなければならない。30隻以下の潜水艦は,保存されて,実験上及び技術上の用に供するためソビエト社会主義共和国連邦,連合王国及びアメリカ合衆国の間に平等に分配される。

4 ドイツ国海軍の砲,弾薬及び需品の貯蔵品であってこの節の1及び3に従って移譲される艦船に附属するものの全部は,この艦船を受け取るそれぞれの国に引き渡される。

5 三国政府は,ドイツ国の特殊軍艦の割当について三国政府に対し協定された勧告を提出するため及びドイツ国の艦隊に関する三国政府間の協定から生ずる他の細目的事項を処理するための三国海軍委員会であって必要な職員を帯同する,各政府について2名の代表者から成るものを設置することに同意する。委員会は,委員会の本部となるベルリンにおいて1945年8月15日より遅れることなく第1回の会合を行う。委員会における各代表団は,ドイツ国の軍艦を,それがいずれの地にあるを問わず,相互主義の基礎において検査する権利を有する。

6 三国政府は,建造中及び修繕中の船舶の引渡を含んで引渡がなるべくすみやかに,しかも,1946年2月15日より遅れることなく完了されなければならないということに意見が一致した。委員会は,委員会が同意した場合の艦船の順次の割当に関する提案を含んだ2週間ごとの報告書を提出する。

B ドイツ国商船隊の分配に関する左の原則が協定された。

1 いずれの地にあるを問わず三国に引き渡されるドイツ国商船隊は,ソビエト社会主義共和国連邦,連合王国及びアメリカ合衆国の間に平等に分配されなければならない。それぞれの国への船舶の現実の引渡は,日本国に対する戦争の終了後実行しうる限りすみやかに行われなければならない。連合王国及び合衆国は,引き渡されるドイツ国商船のうちの自国の配分から適当な数最量を,ドイツ国に対抗する共同の大事業において自国の商船隊が多大の損害を被った他の連合国のために供出する。但し,ソビエト連邦は,自国の配分からポーランド国のために供出しなければならない。

2 日本国との戦争期間中における前記船舶の割当,乗員配置及び運用は,連合船舶調節局及び連合国海事官憲の管轄及び権限の下に属する。

3 船舶の現実の引渡が日本国との戦争の終了後まで延期される間は,1の三国船舶委員会は,利用しうるすべての船舶の目録を作り,且つ,評価を行い,更に,右lによる特殊の分配を勧告しなければならない。

4 連合国ドイツ国管理理事会によりドイツ国の基礎的平時経済の維持のために必要であると決定されたドイツ国の内国用船舶及び沿岸用船舶は,前記のように三国の間に分配される船舶プールに含まれてはならない。

5 三国政府は,ドイツ国の特殊商船の割当について三国政府に対し協定された勧告を提出するため及びドイツ国の商船に関する三国政府間の協定から生ずる他の細目的事項を処理するための三国間の商船隊委員会であって必要な職員を帯同する,各政府について2名の代表者から成るものを設置することに同意する。委員会は,委員会の本部となるベルリンにおいて1945年9月1日より遅れることなく第1回の会合を行う。委員会における各代表団は,ドイツ国の商船を,その商船がいずれの地にあるを問わず,相互主義の基礎において検査する権利を有する。

第5 ケーニヒスベルグ市及びそれの隣接地区

 会議は,平和解決の際における領域問題の最終的決定に至るまでは,ソビエト社会主義共和国連邦の西部国境のうちバルト海に隣接する部分は,ブラウンスベルグ=ゴルダッブの北方にあって,東方のダンチッヒ湾の東海岸の1地点からリスアニア国,ポーランド共和国及び東プロシアの国境の会合点までを通過しなければならないというソビエト政府による提案を検討した。

 会議は,ケーニヒスベルグ市及び同市に隣接する前途の地区のソビエト連邦への結局の譲渡に関するソビエト政府の提案に対し,専門家が実際の国境を調査することを条件として,原則として同意した。

 合衆国大統領及び英国総理大臣は,近く行われる平和解決の際には会議の提案を支持するであろうと宣言した。

第6 戦争犯罪人

三国政府は,重大な戦争犯罪人であって,その者の犯罪が1943年10月モスクワ宣言によっては何らの特定の地理的制限をも受けていないものの審理の方法に関して協定に到達するため最近数週間ロンドンにおいて英国,合衆国,ソビエト連邦及びフランス国の代表者の間に行われて来た討議に注目した。三国政府は,この犯罪人を迅速且つ確実に裁判に付するという三国政府の意向を再確認する。三国政府は,ロンドンにおける交渉がこの目的のために迅速な合意を成立させるという結果をもたらすことを希望し,且つ,この重大犯罪人の審理がなるべくすみやかに開始されることを大いに重要なことと認める。最初の被告人名簿は,9月1日より前に公表される。

第7 オーストリア国

 会議は,オーストリア国臨時政府の権限のオーストリア国の全部への拡張に関するソビエト政府による提案を検討した。

 三国政府は,英国及びアメリカの軍隊がウィーン市に進入した後にこの問題を検討する用意があるということについて意見が一致した。

 賠償は,オーストリア国から取り立ててはならないということに,意見が一致した。

第8 ポーランド国

A 宣言

 われらは,三国によって承認されるポーランド国挙国一致臨時政府をクリミア会議の際に成立した決議に従って,組織することを可能ならしめたポーランド国及び国外からの代表者たるポーランド人の間に成立した協定を喜びをもって注目した。英国及び合衆国の政府がポーランド国挙国一致臨時政府と外交関係を確立したことは,もはや存在していないロンドンにおける前ポーランド国政府から両国の承認を撤回するという結果をもたらした。

 英国及び合衆国の政府は,自己の領域内にあり,且つ,自己の管理下にある,ポーランド国に属する財産についてのポーランド国の承認された政府としてのポーランド国挙国一致臨時政府の利益をこの財産がいかなる種類のものであるを問わず保護するために措置を執った。この両国政府は,この財産の第三者への譲渡を防止するため更に措置を執った。ポーランド国に属する財産であって,不当に譲渡されたものの取戻しのため通常の法律的救済手段を行使することについては,すべての適当な便益がポーランド挙国一致臨時政府に与えられる。

 三国は,ポーランド国の武装軍隊及び商船隊の隊員を含んだすべての在外ポーランド人であって帰国することを希望するものを実行しうる限りすみやかにポーランド国に送還することを容易ならしめることについてポーランド挙国一致臨時政府を援助することを熱望している。この三国は,故国に帰来するポーランド人がすべてのポーランド国市民と同一の基礎において身体及び財産に関する権利を与えられることを期待する。

 三国は,ポーランド挙国一致臨時政府がすベての民主主義的党派及び反ナチ党派が参加し,且つ,候補者を出す権利を有する,普通選挙且つ無記名投票の基礎における自由で拘束のない選挙をなるべくすみやかに行うこと並びに連合国の新聞代表者が選挙前及び選挙中におけるポーランド国における新現象に関して世界に報道する完全な自由を享有することに,クリミア会言義の決議に従って同意したことに注目する。

  B ポーランド国の西部国境

 クリミア会議の際に成立したポーランド国に関する協定に従ってこの3名の政府首班は,ポーランド国の受ける北部及び西部にある地域の取得に関してポーランド国挙国一致臨時政府の意見を求めた。ポーランド国国民会議議長及びポーランド国挙国一致臨時政府の閣員は,会議に迎えられ,各自の意見を充分に提示した。この3名の政府首班は,ポーランド国の西部国境の最終的画定は,平和解決を待たなければならないという自己の意見を再確認する。

 この3名の政府首班は,ポーランド国の西部国境の最終的決定に至るまでは,シュビーネムエンデの西方に直接するバルト海に始まり,ついでオーデル河に沿うて西部ナイセ河の合流点に至り,更にナイセ河に沿うてチェコスロバキア国の国境に至る線の東方にある旧ドイツ国領域は,この会議の際に成立した了解に従って東プロシアのうちソビエト社会主義共和国連邦の管治の下に置かれていない部分及び旧ダンチッヒ自由市の地区を含んで,ポーランド国の管治の下に置かれなければならず又この目的のためにはドイツ国におけるソビエト連邦の占領地帯の一部と認められてはならないということに同意する。

第9 平和条約の締結及び国際連合機構への加入許可

 三国政府は,イタリア国,ブルガリア国,フィンランド国,ハンガリ一国及びルーマニア国の現在の変態的地位が平和条約の締結によって終止されることを望ましいと思考する。三国政府は利害関係を有する他の連合国政府がこの意見に同意するであろうことを信ずる。

 三国政府においては,新外務大臣理事会によって引き受けられなければならない即時の重要任務のうちにイタリア国に関する平和条約に関する準備を第一のものとして加えた。イタリア国は,枢軸国のうちドイツ国と断交した最初の国であって,ドイツ国の敗北については多大の貢献をなしたし,また,日本国との抗争において現に連合国に参加している。イタリア国は,ファシスト政体から離脱し,民主主義の政府及び制度の再建に向かって大なる進歩をなしつつある。承認された民主主義的なイタリア国政府とのこのような平和条約の締結は,国際連合の加盟国たるの地位を求めるイタリア国からの申請を支持したいという自己の希望を三国政府が達成することを可能ならしめるであろう。

 三国政府は,また,ブルガリア国,フィンランド国,ハンガリ一国及びルーマニア国に関する平和条約を作成する任務を外務大臣理事会に課した。これらの諸国における承認された民主主義的政府との平和条約の締結は,また,三国政府をして国際連合の加盟国たるの地位を求めるこれらの諸国からの申請を支持することを得しめるであろう。三国政府は,フィンランド国,ルーマニア国,ブルガリア国及びハンガリ一国との平和条約の締結前にこれらの国と可能な程度において外交関係を確立することを,近い将来において,当時存在する状勢に照して各自別々に検討することに同意する。

 三国政府は,ヨーロッパにおける戦争の終了から生じた変化した状勢にかんがみて連合国の新聞代表者がルーマニア国ブルガリア国,ハンガリ一国及びフィンランド国における新現象に関して世界に報道する完全な自由を享有するであろうことについて何らの疑をも有しない。

 他の国の国際連合機構への加入の許可に関しては,国際連合憲章第4条は次のとおり宣言している。

1 国際連合における加盟国の地位は,この憲章に含まれる義務を受諾し,且つ,この機構によって右の義務を履行する能力と意思とが有ると認められる,他のすべての平和愛好国に開放されている。

2 前記の国に対して国際連合加盟国の地位を容認することは,安全保障理事会の勧告に基いて,総会の決定によって行われる。

 三国政府は,三国の関する限りにおいては,戦争中引き続き中立国であった国であって,前記に掲げられている資格を具備するものからの加盟国たるの地位を求める申請を支持する。

 もっとも,三国政府は,現在のスペイン国政府が枢軸国の支持によって創立されたものであり,この政府の起源,性質,行跡及び侵略国との緊密な関係にかんがみて,加盟国たるの地位を正当化するのに必要な資格を有しないから,この政府が提出する加盟申請に賛成しないことを明瞭にする義務があると感ずる。

第10 地域的信託統治

 会議は,クリミア会議の決議及び国際連合機構に関する憲章において明定されている信託統治地域に関するソビエト政府による提案を検討した。

 この問題に関して意見が交換された後いずれの旧イタリア国植民地地域の処分もイタリア国に関する平和条約の作成と関連して決定されなければならない問題であること及びイタリア国植民地地域の問題は,9月の外務大臣理事会によって審議されることが決定した。

第11 ルーマニア国,ブルガリア国及びハンガリ一国における改正連合国管理委員会手続

 三国政府は,ヨーロッパにおける戦闘が終を告げたので,ルーマニア国,ブルガリア国及びハンガリー国における各連合国管理委員会のソビエト連邦代表者が管理委員会の事業の改善に関する提案を連合王国及び合衆国の同僚に送付したことに注目した。

 三国政府は,前記の諸国における各連合国管理委員会の手続の改正が,共同して休戦条項をこれらの各国に提出した三国政府の利益及び責任を考慮した後,且つ,三国全部に関しては,ここに添附されているハンガリ一国に関するソビエト政府の提案(第1附属書)を一の基礎として受諾した上で今や着手されることに意見が一致した。

第12 ドイツ国人の秩序ある移送

 三国政府は,この問題をそれのすべての方面について審議した後,ポーランド国,チェコスロバキア国及びハンガリー国に残留しているドイツ国人又はそれの分子のドイツ国ヘの移送が着手されなければならないことを認める。三国政府は,行われるいずれの移送も,秩序的且つ人道的に行われなければならないということに意見が一致している。

 多数のドイツ人のドイツ国への流入が占領官憲の既に負っている負担を増大するであろうから三国政府は,ドイツ国における管理理事会がこのドイツ人を数箇の占領地帯の間に衡平に分配するという問題を特に考慮してこの問題を第一に検討しなければならないと思考するものである。従って,三国政府は,これらの者が既にポーランド国,チェコスロバキア国及びハンガリー国からドイツ国に入った程度をなるべくすみやかに各自の政府に報告し,且つ,ドイツ国における現在の事態を考慮した上,更に移送が行われることのできる時期及び割合の見積を提出するよう管理委員会における各自の代表者に訓令しつつある。

 チェコスロバキア国政府,ポーランド国臨時政府及びハンガリ一国における管理理事会は,同時に前記について通知を与えられつつあり,また,その間関係政府が管理理事会における各自の代表者からの報告を検討するまでは,その後の放逐を中止することを要請されつつある。

第13 ルーマニア国における採油設備

 会議は,ルーマニア国における採油設備の撤去から生ずる問題の解決のための基礎とし事実を調査し,且つ,書類を検査するため,一は連合王国及びソビエト連邦の委員から成りまた一は合衆国及びソビエト連邦の委員から成る2箇の二国間専門委員会を設置することに意見が一致した。更にこの専門家は,現場に置いて10日以内に自己の事業を開始しなければならないということに意見が一致した。

第14 イラン国

 連合国の軍隊は,テヘランから即時撤収されるということ及びイラン国からの軍隊の撤収のその後の段階は,1945年9月にロンドンにおいて行われる外務大臣理事会の会合の際に審議されなければならないということに意見が一致した。

第15 タンジール国際地帯

 ソビエト連邦による提案が検討され,次の決議が成立した。

 タンジール地帯問題を検討した後三国政府は,タンジール市及びそれに隣接する地区を含んでいるこの地帯はそれの特殊の戦略的重要性にかんがみて引き続き国際的のものでなければならないということに意見が一致した。

 タンジール問題は,近い将来においてソビエト社会主義共和国連邦,アメリカ合衆国,連合王国及びフランス国の政府の代表者のパリにおける会合の際に討議されるであろう。

第16 黒海の海峡

 三国政府は,モントルーにおいて締結された条約は,今日の状勢には適応していないものとして改正されなければならないことを認める。

 つぎの段階としては,この問題は,三国政府の各とトルコ国政府との間の直接の会談の主題とならなければならないということに意見が一致した。

第17 国際内国水路

 会議は,この問題に関する合衆国代表団の提案を審議し,近く行われるロンドンにおける外務大臣理事会の会合に,審議を受けるためこの提案を付託することに意見が一致した。

第18 ヨーロッパ内国運輸会議

 会議に派遣された英国及び合衆国の代表団は,ヨーロッパ内国運輸会議を招集したいという英国及び合衆国の政府の希望をソビエト代表団に通知し,両国代表団は,ソビエト政府が再招集された会議の事業に参加するという保障を歓迎すると述べた。ソビエト政府は,この会議に参加することに同意した。

第19 ドイツ国に関する連合国管理理事会における陸軍司令官への指令

 三国政府は,ドイツ国に関する管理理事会における自国の代表者に対して各自指令を送り,会議の決議であってこの代表者の任務の範囲内に屈する事項に関係のあるものの全部をこの代表者に通知することに意見が一致した。

第20 衛星国の賠償又は「戦利品」としての連合国財産の代用

 合衆国代表団によって提出された提案(第2附属習)は,会議により原則として受諾されたがこの件に関する協定の起草は,外交手続により遂行されるように任された。

第21 軍事会談

 会議中においては,共通の利害関係のある軍事事項に関して三国政府の参謀長の間に会合が行われた。



第l附属書

7月12日ハンガリー国における連合国管理委員会における合衆国及び連合王国の政府の代表者に送付された書簡の本文

 ドイツ国に対する戦争の終了に関連する変化した事態にかんがみ,ソビエト政府は,ハンガリ一国における連合国管理委員会に関して次の事業順位を設けることを必要と認める。

l ハンガリ一国との平和条約の締結に至るまでの期間中においては,連合国管理委員会の議長(又は副議長)は,連合国管理委員会の事業に関する最も重要な問題を討議するため英国及び米国の代表者との会議を定期的に招集する。会議は10日に1回又は必要の場合には更に多く招集される。

 原則上の問題に関する連合国管理委員会の指令は,英国及び米国の代表者との間にこの指令に関して合意があった後,連合国管理委員会の議長によってハンガリー国官憲に対して発せられる。

2 連合国管理委員会における英国及び米国の代表者は,この委員会の議長によって招集されるこの委員会の部長及び代表委員の総会に参加する。この会合は,性質上は定期的である。英国及び米国の代表者は,また,連合国管理委員会による同委員会の任務の遂行に関する問題に関して連合国管理委員会の議長が創設する混合委員会にみずから又は適当な場合においては自己の代表者を通じて参加する。

3 ハンガリ一国内においての米国及び英国の代表者の自由な移動は,連合国管理委員会が旅行の時期及び通路についてあらかじめ通知を受けることを条件として許可される。

4 ハンガリー国における英国及び米国の代表者に属する職員の各の入国及び出国に関する許可に関するすべての問題は,1週間をこえない期間内に連合国管理委員会の議長により現場において決定される。

5 航空機による郵便物,貨物及び外交伝書使の搬入及び搬出は,連合国管理委員会により設定される取極に基き且つこのように設定される期間内に又は特別の場合においては連合国管理委員会の議長とのあらかじめの連絡により,連合国管理委員会における英国及び米国の代表者によって行われる。

 余は,前記に対して,他のすべての点については,1945年1月20日に確認されたハンガリ一国における連合国管理委員会に関する現在の法令が将来においても引き続き効力を有するということを追加することを必要と認める。



第2附属書

衛生国の賠償又は「戦利品」としての連合国財産の代用

1 賠償及び「戦利品」の負担は,連合国国民の上に課せられてはならない。

2 資本設備 われらは,賠償若しくは「戦利品」として又は他のいかなる口実の下においてもこの連合国財産の撤去に反対する。装置の破壊並びにそれから起る市場及び貿易上の関係の喪失の結果として連合国国民に対して損失が生ずるであろう。連合国財産の押収は,衛星国が連合国及び連合国国民の権利及び利益を損傷なく返還するという休戦条約に基く衛星国の義務を履行することを不可能ならしめる。

 合衆国は,他の占領国が既に撤去された設備を返還すること及び撤去を中止することを期待する。この設備が返還されないか又は返還できないときは,合衆国は,米国国民に対し充分に,有効に且つ迅速に補償すること及びこの補償が賠償支払の優先権と同等の優先権を有することを衛星国に対して要求する。

 この原則は,連合国国民が全部又は相当の部分を所有しているすべての財産に適用される。米国及び全連合国の利益が実質的という程度に達しない財産の撤去の場合においては,合衆国は,充分な,有効な且つ迅速な補償を期待する。

3 日々の生産 合衆国は,連合国の投資の日々の生産からの賠償には反対しないとはいえ,衛星国は,連合国国民が正当な外貨支出を回復し,且つ,自己の投資に対する正当の収益を移転することができるように,充分の外国為替又は生産品を含んだ即時且つ充分の補償をこれらの国民に供与しなければならない。この補償は,また,賠償と同等の優先権を与えられなければならない。

 われらは,衛星国が連合国国民に対して衛星国の貿易,原料及び工業を対等の条件において利用することを拒否する条約,協定又は取極を締結しないこと並びにこれを趣旨とすることのある現存の取極を適当に変更することを須要と認める。