データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] G8アフリカ行動計画実施報告書 (第29回主要国首脳会議)

[場所] エビアン
[年月日] 2003年6月3日
[出典] http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/summit/evian_paris03/af_kk.html
[備考] 
[全文]

1. 2002年にカナナスキスにおいて、G8はアフリカのための新パートナーシップ(NEPAD)に応えてアフリカ行動計画(AAP)を採択した。G8は、NEPADの基本的な目的を共有する。アフリカ行動計画は各G8パートナーが、共同でないし個別に、NEPADを支援してアフリカ諸国への取組を如何に強化するかを述べたものである。G8は、次のサミットにおいて、アフリカ行動計画の中で行った約束の実施の進展を再検討することに合意した。以下の実施報告書はG8の対応の要点を記述すると共に今後の実施のための取組の概要を纏めたものである。

I.概論

2.アフリカ行動計画において、G8パートナーは、人間の尊厳と開発という中心的な問題に対処するとのG8諸国の約束に基づく、アフリカ中の諸国との広範なパートナーシップを再確認した。G8パートナーは、NEPADの約束を反映した実行を行っているアフリカ諸国と強化されたパートナーシップに入ることも約束した。NEPADの約束には、良い統治及び法の支配、国民への投資、経済成長に拍車をかけて貧困を軽減する政策の追及に対する政治的・財政的誓約が含まれる。G8パートナーは、この点に関し、アフリカにおけるピア・レビュー・プロセスの結果が将来のG8パートナーの決定の参考となると述べた。

3.NEPADは、アフリカがいかにして自身の開発と世界経済への完全な統合に責任を発揮するかについての、大胆かつ明確なアフリカの見通しを示している。G8諸国はこの重要な取組を奨励し支持し、それ故に、アフリカとのパートナーシップを強化することに完全に約束している。国際連合及び経済協力開発機構はNEPADを、アフリカとの将来の関係を築くための基礎として採択している。我々は特に、国連システムを含む国際社会がアフリカの開発に努力を集中するための一般的枠組みとしてNEPADを採択した国連総会決議(A/RES/57/2)を歓迎する。

4.NEPADとアフリカ行動計画は相互に関連づけられており、一方の実施の前進は他方の見通しを改善する関係にある。アフリカの優先順位に基づくパートナーシップは、資金供与国によるアフリカの要請の想定に基づく支援に取って代わりつつある。このプロセスは結果を生み始めている。

5.我々は、アフリカのパートナーがNEPADに含まれる価値と原則にそって行動することで実現した、次のような重要な前進を歓迎する。

―アフリカ大陸全体の民主主義、人権、平和と安定及び良い統治への共同の責任を引き受けるとのアフリカの指導者の意志を明確に示すアフリカ連合の設立。

―アンゴラ、エリトリア・エチオピア間及びシエラレオネの武力紛争の終結の達成と強化、ブルンジ、コンゴ民主共和国及びスーダンにおける和平プロセスの前進、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の支持の下、コートジボワールにおける政治的安定の回復支援への共同作業。

―数多くのアフリカ諸国における、自由かつ公正な選挙の実施を通じた民主主義の強化。

―健全な政治的、経済的及び企業の統治がアフリカにおける持続可能な開発にとり不可欠であるとの、NEPADの認識に力強い表現を与える、アフリカにおけるピア・レビュー・メカニズム(APRM)の採択。2003年5月31日時点で、15のアフリカ諸国がAPRMに参加するための協定(MOU)に署名した。APRMの発効はアフリカにおける統治の発展における主要な出来事となった。

―  NEPADの原則と価値に関する意思疎通を改善し、市民社会の更なる参加を促進する必要性の認識。

6.しかし、NEPADに明確に述べられている基本的人権、経済的機会及び政治的自由を享受せんとするアフリカの人々の願望が依然妨げられる場合があり、ミレニアム開発目標の達成に向けた前進が多くの国において不十分であることが認識されねばならない。

7.各G8パートナーは、アフリカ行動計画に含まれる約束を強化する事業の実施に着手した。この面で、本報告書及びこれを補足する、一部のG8諸国が作成しつつあるか、あるいは作成したアフリカ行動計画の各国の実施に関する国別報告書が示すように、大きなイニシアティブが発揮されている。

8.NEPAD及びAAPにとり、説明責任、アフリカの指導者達の国民に対する及び指導者間の説明責任並びにその約束に相応しい先進パートナー諸国の決意は不可欠である。例えば、OECD開発援助委員会(DAC)のピア・レビュー・プロセスにアフリカの参加を含めるとの一部のG8パートナーの決定において、G8パートナーは個別にこれに現実的な表現を与えはじめている。

9.アフリカが持続可能な態様で発展するためには、内外双方、公的私的双方から追加的資金が必要である。2002年3月モンテレイにおいて新たな開発援助の重要な約束が発表された。カナナスキスでは、G8パートナーにより提供されるその新たな資金の半分ないしそれ以上が、公正な統治、国民への投資、経済的自由の促進を行っているアフリカ諸国に向けられ得ることが明記された。G8はアフリカ向け全ODAの4分の3を既に供与しているが、これに加え2006年までに、G8のアフリカに対する開発援助を計年間60億米ドル増加させる。2002年、G8のアフリカに対する開発援助は100億米ドルに達したものと推定される。使用可能となる追加的資金には特に次のようなものが含まれる。

―2003年4月1日に発効したコトヌー協定の批准に際し、EU及びEU加盟国は欧州開発基金(第9次EDF)に対し135億ユーロの追加的無償資金を利用可能にし、その80%が今後5年間にアフリカに向けられる。

―さらに、予算面の困難にも拘わらず、EU加盟国はモンテレイの約束の達成に向け前進している。特にG8のEU加盟国に関する限り、

・2002年のアフリカに対する二国間直接援助が23.40億ユーロであったフランスは、2001年にGDPの0.32%だったODAを2007年には同0.50%、2012年には同0.70%に増加し、追加的支援の50%をアフリカに向けることをプレッジした。その中で対アフリカODAは2003年に30億ユーロに達する見込み。

・英国は、2006年までに対アフリカ直接援助を年額10億ポンドにするとの公表された目標をいかに達成するかを示す計画と、2001年にGNIの0.32%だったODAを2005/6年に0.4%に増額することを発表した。

・イタリアは、ODAを2002年のGDPの0.20%から、2006年に0.33%に増額することをプレッジした。

・ドイツは、ODAを2002年のGDPの0.27%から、2006年の0.33%に増額することをプレッジした。ドイツのODAの約33%がアフリカに配分される。

―米国は、援助を効果的に使用する能力を示した諸国に焦点を当てる新たな援助計画として、ミレニアム挑戦会計(MCA)を発表した。政府予算案は、04年度に13億米ドルの新規資金を要求しており、06年度には50億ドルに急増し、現在の米国の開発援助の約50%の増額となる。

―カナダの2003年2月予算に、2010年までにカナダのODAの倍増を意図する、カナダの約束する国際援助への拠出の年率8%増加が初めて盛り込まれた。

―日本は、1998年の東京における第2回アフリカ開発会議(TICAD)での約束に基づき基礎生活分野で約7億米ドルにのぼるODAを既に実施している。日本は、国際的資源を動員しグローバル・パートナーシップを拡大することによりNEPADを支援するため、2003年9月末にTICADIIIを開催する。

II.アフリカの優先順位

10.以下の節では、アフリカ行動計画に含まれる約束の実施のためにG8パートナーが行っており、かつNEPADパートナーと集中的に議論してきた活動の実例を紹介する。これらの実例には、エビアンでG8が話し合うこととなり、その多くがアフリカにとって真の利益をもたらすであろう、次のような問題への詳細な記述は含まれない。飢餓、水、保健、貿易、債務、援助効果、腐敗と透明性、及び持続可能な開発。

平和及び安全の推 {前8文字下線あり}

11.G8は、アフリカ全体において、しかし特にアンゴラ、コンゴ民主共和国、シエラレオネ、スーダン、その他ブルンジ、中央アフリカ、コートジボワールといった国において、平和及び安全を達成し定着させるアフリカの取組を積極的に支援してきた。我々は、これらの取組を引き続き支援することを約束しており、国際社会に対し、武力紛争から脱しつつあるアフリカ諸国における平和の定着と紛争後の復興を支援するための集団的能力を改善するよう要請する。特に、国際金融機関(IFIs)に、平和の定着と紛争後の復興のためのアフリカ諸国の手段を大幅に強化するよう奨励し、この目的に向けそれぞれの理事会において取り組む。

12.平和及び安全を推進するアフリカの能力を発展させるために、G8の例えば次のような措置を講じている。

―ベルリン・プロセスを通じて策定された、2010年までにアフリカのパートナーがアフリカ大陸における武力紛争の予防及び解決、並びに国際連合憲章にそった平和支援活動の実施により効果的に取り組むことができるよう、技術及び資金援助を行うことを企図する、アフリカの平和支援活動能力向上のためのG8・アフリカ共同計画。この共同計画において、我々は平和及び安全のためのインフラについてのアフリカのビジョンは進行中の作業であることを認識し、既存の資源のより効果的動員を可能にする主要な構成要素を着実に策定するためにアフリカのパートナーと協力することを約束する。認識された初期の構成要素には次のようなものが含まれる。

・民生部門を含む、整合性のとれた、多国籍、分野横断的な待機旅団を、アフリカ連合及び地域レベルで2010年までに設立、装備及び訓練すること。特に、国連、アフリカ連合ないしアフリカの地域機関の主導により実施される、国連により承認された作戦にとり利用可能な統合作戦計画能力、現地作戦司令部及び戦略司令部。

・複合的な平和支援活動の中で人道的、安全及び復興支援を提供する能力を整備すること。

・調停、円滑化、監視及びその他の戦略を通じて紛争を予防する、大陸及び準地域レベルの制度的能力を整備すること。

この計画は、本報告書に添付されエビアンで承認のために首脳達に提出される。

―G8諸国は、平和及び安全の制度的能力構築、平和維持活動能力及び平和支援活動に参加する軍事及び文民要員のための平和訓練センターのアフリカにおける効果的ネットワークの発展のための実質的支援、資金及び技術両面の援助を貢献した。ドイツ、英国、米国及びカナダによるガーナのコフィ・アナン国際平和維持訓練センター及びケニアの平和支援訓練センターへの共同援助、フランスによるマリのクリコロ平和訓練センターへの支援、及びEC、英国、カナダによるアフリカ連合の平和及び安全のアジェンダに対する支援が注目すべきものである。

13.効果的な地雷除去活動は、紛争後の情勢における平和及び安全の推進のための信頼醸成の不可欠の要素である。G8諸国は、より緊密な協力をはじめ、2002年にアフリカにおける地雷除去活動に3500万米ドル以上を約束し、約束を強化することに合意した。G8諸国は、アフリカにおける地雷除去活動が、地雷が開発の障害となっている諸国の政府及び国民の必要性と優先順位を反映することを確保することを引き続き約束している。

14.G8パートナーは、小型武器(SALW)に関する国連行動計画及び特に東アフリカにおける地域的行動計画の実施のための、大陸、地域、準地域及び各国の能力の確立を支援し、小型武器の輸入に関するECOWASのモラトリアムを支持してきた。輸出基準及び仲買活動は依然優先度の高い問題である。

15.特に紛争の影響を受けた地域において、人間の安全保障はG8パートナーの共通の関心事である。日本は、人間の安全保障基金(2億300万米ドル)に基づくイニシアティブの中でアフリカにより大きな優先度をおく意図を有する。人間の安全保障推進のためのカナダの5つの外交政策計画優先分野―公衆安全のための支援、文民保護、紛争予防、統治と説明責任、及び平和支持活動―もまた、アフリカに大きな焦点をおいている。

制度及び統治の強化 {前9文字下線あり}

16.制度及び統治の強化並びに人権の促進について、次のような代表的活動が行われている。

―公共部門の改革、議会及び司法制度の強化、並びに報道の自由の推進を含む、統治関連の能力構築のために大きな資金と援助が新たに提供された。例えば、カナダは、国家及び自治体レベル並びに議会のためのそのような能力構築のために4000万カナダ・ドル以上を供与した。他のG8のイニシアティブの中では、イタリアがアフリカの各国議会議長の三年に一度の会議を主催した。

―EUは、特に、2002年に1700万ユーロ相当の新規事業を承認し、また2003年にアフリカのためにさらに3000万ユーロを計画した、民主主義と人権のための欧州イニシアティブを通じて、アフリカにおける統治と制度的能力強化のため大きな支援を供与した。

―ドイツ及び英国はアフリカ諸国政府に対し、懸案となっている、アフリカ人権・人民の権利裁判所の批准を加速するよう奨励した。ドイツ及びフランスは、同裁判所が批准された後、その設立のために支援を行う用意がある。

―我々は、腐敗に対するNEPADの取組に高く感謝し、これを支持する意図を有する。一例として、米国はアフリカ反腐敗イニシアティブを開始し、5年間にわたり3600万米ドルの水準を予算化した。英国は東部・南部アフリカ反資金洗浄グループ(ESAAMLG)の発展を支援している。

―フランスは、16ヶ国においてOHADA統一法の導入及び適用を推進している、アフリカにおけるビジネス法のハーモニゼーションのための協会であるOHADAを支援しており、その前進を支援する意図を有する。

―我々は、女性と児童を衡平な態様で、社会の社会的、政治的及び経済的部門に統合することにNEPADが付与している優先度を支持する。G8が支援する事業の具体例は、アフリカ全体における女児の奨学金事業、ブルンジの女性の平和センター、ルワンダの地方の女性のための資金援助計画、エチオピアにおける教育の平等に関するイニシアティブ、ベナンにおける草の根の開発への女性の参加増大事業である。

―G8は、西アフリカにおける女性の性器切除に反対する事業に対し、追加的支援を供与する。

貿易、投資、経済成長及び持続可能な開発の促進 {前22文字下線あり}

17.経済成長は、貧困削減のための極めて重要な前提条件である。貿易、投資、経済成長及び持続可能な開発を促進するにあたり、G8パートナーは以下の活動を行う。

貿易 {前2文字下線あり}

18.多数の重要な貿易上のイニシアティブが取られている。これには、欧州連合の「武器を除く全ての後発開発途上国(LDC)産品に対する無税・無枠のアクセス供与措置」、米国のアフリカ成長機会法(AGOA)、2003年1月1日に効力を発生したカナダによるLDCからのほぼすべての輸入に対する市場開放及び無関税と無枠、日本の農水産品の対象品目拡大によるほぼ全てのLDCからの輸入に対する無税無枠の改善、ロシアによる、LDCを含む開発途上国に対する広範囲な特恵供与を含む。

19.さらに、G8はアフリカにおける貿易関連のキャパシティ・ビルディングに対して重要な支援を行っている。これは、最近の2年での、米国による3億4500万米ドル、EUのみによる3億7300万ユーロを含む。これらのプログラムは、第9次EDFの下で、EUにより、地域貿易とサブサハラ・アフリカの統合のためにイヤマークされ供与された2億9300万ユーロなど、貿易円滑化(税関の近代化、規範及び基準)での準地域の活動に対する支援により補完されている。G8は、これらのイニシアティブを追求し、その効果を増すよう、そのイニシアティブを調和させ調整するための措置をとる意図を有する。

20.G8首脳は、その多くがアフリカ大陸に位置しているLDCからの産品への無税・無枠の市場アクセス供与という目標への約束を改めて表明する。G8首脳は、さらに、それぞれの貿易特恵プログラムの利用の効率性と簡便性を改善するとの約束を改めて表明する。G8首脳は、貿易事務当局に対し、この目標を実行に移すための方策を模索するよう指示する。

21.G8首脳は、一般的に、一次産品市場と天候関連の衝撃が特にアフリカにおける最貧国にとって挑戦であることを認識して、各国における天候と一次産品市場の衝撃を軽減することを支援する効果的なマーケットベースのメカニズムの潜在性を検討すべく、世界銀行グループが現在行っている取組を歓迎する。G8首脳は、パイロット・プロジェクトを含む、天候と一次産品市場の衝撃を軽減するマーケットベースのメカニズムに関し世界銀行グループが行っている研究の成果に期待している。

投資 {前2文字下線あり}

22.民間部門の投資を促進するためにさまざまなイニシアティブが着手されてきた。EUによる1億110万ユーロの投資促進スキーム(Proinvest)、欧州投資銀行による22億ユーロの投資促進ファシリティであり、その多くはアフリカに振り向けられよう。持続可能な開発のための世界首脳会議において発表され、開発途上国特にアフリカに対する民間投資を促進することを目的とした仏英イニシアティブは、共同で2億ユーロの資金供与を行う。アフリカのためのカナダ投資基金であり、政府が1億カナダ・ドルを拠出し、民間部門も同額を拠出する。日本は、約3億米ドルを目標額として、アフリカ向けに投資金融を実施する。2001年以降、米国海外民間投資公社は、7億米ドル以上の支援をサブサハラ・アフリカへの投資に対して行い、イタリアは、イタリアとアフリカの民間部門の間の共同事業に対する支援を行うため、5000万ユーロの基金を開設した。

23.民間部門の関与するインフラへの投資は以下によって促進されてきた。例えば、カナダが始めた、アフリカ開発銀行におけるインフラ関係のプロジェクト準備ファシリティの設立。2003年移行に実施される、アフリカにおけるインフラ整備支援にイヤマークされた10億ドル以上に及ぶ日本の約束。新興アフリカ・インフラ基金に対する1億米ドルの英国の支援であり、民間部門のアフリカのインフラへの投資を既に2億500万米ドルも呼び込んだ。欧州連合の毎年5億ユーロ以上に及ぶサブサハラ・アフリカに対する支援であり、これはますます地域的アプローチによって導かれている。

24.G8は、援助の質と効果を増すために、以下の4分野での重要な原則と行動に同意した。a) 貧困削減政策の質を向上させること、特に、持続的な成長を達成するための信頼に足る計画をより反映する必要性。b) 2003年2月のローマ宣言を基礎にして、調和化を向上するための更なる手段を講ずること。c) 開発援助の焦点を測定可能な成果におくこと。d ) G8として海外援助の配分を考える際に良い統治に重点をおくことについて、明確なシグナルを送ること。

債務救済の実施 {前7文字下線あり}

25.債務救済は、依然としてG8のアジェンダにおいて優先されている。カナナスキス以降、重債務貧困国(HIPC)イニシアティブのもと、アフリカの最貧国の22ヶ国が、追加的な二国間における取組を除き、債務救済における320億米ドルの利益を享受した。HIPC信託基金が直面する資金ギャップを満たす上で、8億5000万米ドルのプレッジにより重要な進展が達成された。

26.個々の債務救済への取組は以下のとおりである。

―ロシアが1998年から2002年までに行った、112億ドルに及ぶアフリカ諸国の債務の帳消し。2002年はそのうち34億ドルである。

―拡大HIPCイニシアティブのもと、アフリカのHIPC諸国の約49億ドルの公的債務を帳消しにするとの日本のコミットメント。日本はまた、債務問題に関するより早期の解決を達成すると共に債務国の負担を軽減するために、最近、HIPCと他の適格国が我が国の国際協力銀行に負うODA債権に関する債務救済の手段を変更した。

―ケルン・サミット前の100億ユーロの帳消しに加え、フランスは、アフリカのHIPC諸国に対し、約100億ユーロの帳消しを行うことにコミット。ほぼこの半分に及ぶ額は、イニシアティブの要件を越えて追加的に行われる二国間の債務帳消しに関連している。さらにその一部は、貧困削減戦略文書(PRSP)の支援のための資金源として、債務スワップの形態をとる。(開発プログラムへの資金源を獲得するために、債務は帳消しにされる。)

―米国による、HIPC適格国のため、1999年6月のケルン・サミット以前の債務の100パーセント帳消し。2004年までに、米国は、アフリカ諸国のため、約42億ドルに及ぶ債務を帳消しにすると予測する。

―イタリアによる15億ドル。

―ドイツによる、ケルン・サミット以前に帳消しにされた35億ユーロに加え、アフリカのHIPC諸国のための25億ユーロの帳消し。

―カナダは、アフリカのHIPC6ヶ国に対する返済猶予を維持している。また、最近、タンザニアとベナンに対して行ったように、「完了時点」に到達した国の債務を全て免除することに合意した。これは、アフリカのHIPC14ヶ国がカナダに負う債務のうち11億カナダ・ドル以上の免除を意味する。

―英国は、HIPC適格国のODA債権及び非ODA債権に対し、100パーセントの債務救済を行うことを約束し、アフリカのHIPC諸国が英国に負う債務のうち約20億ポンドの帳消しを行う用意がある。

27.2003年5月17日にドービルで財務大臣が採択した、非HIPCの低・中所得国に対するパリクラブでの新たなアプローチに関する合意は、債務リストラが最後の手段であることを確保しつつ、債務の継続的な持続可能性に向けた更なる進展への展望を開いた。

知識の拡大、教育の改善及び促進、並びにデジタル・オポチュニティーの拡大 {前35文字下線あり}

28.G8各国は、基礎教育に対する重要な追加的資金を供与している。これは、そのうち6ヶ国が資金供与と能力構築のために選ばれた13のアフリカ諸国が関与する、世界銀行の「万人のための教育」ファスト・トラック・イニシアティブを含む。例えば、

―米国は、教育に対する年間拠出(1億1400万米ドル)について、今後5年間で2億ドルを基礎教育のために増額した。これは、女子の奨学金、教員の訓練、教科書、教育制度改革を含む。

―英国は、2002年の1億500万ポンドから、2003年の1億7500万ポンドまで、アフリカにおける教育のための援助を増額した。

―カナダは、2005年までに年間1億カナダ・ドルになるまで、アフリカにおける教育の為の支援を倍増する。基礎教育のための追加的な5000万カナダ・ドルは、モザンビーク及びタンザニアそれぞれに対して、今後5年間毎年にわけて供与される。

―カナナスキス後、フランスは、その取組を大きく増やすことを発表し、ファスト・トラック・イニシアティブで選ばれたアフリカの4ヶ国(ブルキナファソ、ギニア、モーリタニア、ニジェール)に対し、3年間で6500万ユーロを供与する。

―昨年立ち上げたイニシアティブに基づき、日本は、2002年に、特に学校建設や教科書の配布などの基礎教育のために、アフリカに対して5100万ドルを供与した。この援助によって、22万の児童が利益を享受すると見積もられている。

―2002年、ドイツは、1億3500万ユーロに及ぶ、基礎教育と技術及び職業訓練の支援のための新しいコミットメントを行った。2003年には、両分野において、約1億5000万ユーロに及ぶ新しいコミットメントが計画されており、そのうちの30パーセントがアフリカに向けられる。

―イタリアは、2003年から2005年まで、エチオピアにおける初等教育のため、2500万ユーロの支援を行った。

29.G8各国は、アフリカン・バーチャル・ユニバーシティなど、情報技術に基づいた遠隔教育のイニシアティブに対する支援を行ってきた。世界e−政策リスポンス・ネットワーク(ePOINET)、コネクティビティ・アフリカ、及び中小企業支援のためのエナブリス(Enablis)の民間部門イニシアティブなど、アフリカにおける接続性とe−ガバナンスの促進に対する支援を行ってきた。さらに、イタリアとロシアは、共同で、治療における通信技術の利用の促進に取り組んでおり、イタリアは、カナダとともに、モザンビーク及びナイジェリアにおけるe−ガバナンスを推進している。

30.G8各国は、開発課題のためのICTを議論し、世界中における、特にアフリカにおける持続可能は経済及び社会開発のための触媒としてのICTの役割に対する認識を高めるフォーラムとして、世界情報社会サミットを歓迎する。

保健衛生の向上及びHIV/エイズとの対決 {前20文字下線あり}

31.HIV/エイズの影響力と闘い、持続可能な保健制度を構築し、保健の研究を支援しようとするアフリカの取組に対し、G8各国は追加的な支援を行っている。ジェノバ・サミットでの設立以来、G8各国は、世界エイズ・結核・マラリア対策基金に対し、今後5年間で32億米ドルのプレッジを行った。そのうち15億米ドルが既にコミットされており、60パーセントがアフリカを対象として、60パーセントがHIV/エイズを対象とする。ドイツは、訓練プログラムの策定及びにプロセス・コントロールと評価を改善する手段の策定、並びにHIV/エイズとの闘いに対する市民社会と民間部門の関与を通じ、アフリカ諸国による世界基金の利用を促進することを追求した。

32.米国は、HIV/エイズの予防と手当のため、5年間で150億米ドルの支援(うち約100億米ドルは新たな資金である)を発表した。この資金を受け取る14ヶ国のうち12ヶ国はアフリカに存在する。いかなる米国からの貢献も、他の全ての資金源からの追加的支援の総額の33パーセントを越えるような貢献とならないとの条件の下で、世界エイズ・マラリア・結核対策基金は10億ドルを受け取る。

33.2005年までにポリオを撲滅するために、公正かつ衡平な基準の上に十分な資源を供給するとのカナナスキスにおける我々の約束を維持するために、我々は、追加的に4億8600万米ドルを約束し、残る資金ギャップを埋めることが確保出来るよう、引き続き十分な役割を果たすことにコミットする。

34.G8各国は、アフリカにおける持続可能な保健システムの構築と改善のため、追加的支援を供与している。例えば、欧州委員会(EC)、英国、カナダは、保健システム強化のため、プロジェクト型支援からセクター・ワイド・アプローチ及び財政支援へと移行しながら、実質的な支援を継続している。2002年、ECは、1億1700万ユーロの追加的約束を行い、2003年、英国は、保健分野での拠出をおよそ1億5300万ポンドまで増額した。イタリアは、アフリカにおける高度中央病院ネットワークを構築している。ESTHERイニシアティブを通じ、イタリア及びその他の先進国は、南の病院がHIV/エイズ患者の手当する能力を向上できるよう、南北の病院の姉妹病院化を実施しており、14ヶ国で50以上の連携に対する資金供与を行っている。

35.G8各国は、主に開発途上国に影響を与える、顧みられない疾病についての研究開発を強化すべく取り組んでいる。例えば、フランスは、アフリカの組織(ブルキナファソのボボ・デュラソのムラズ・センター)とフランスの組織(例えばパストゥール研究所)双方の研究におけるネットワークへの支援を行っている。日本は、寄生虫症管理の分野における研究及び人材育成のため、ケニア及びガーナにおいて、国際的な寄生虫管理のための研究所を設立した。

農業生産性を高めること及び生物多様性を保護すること {前25文字下線あり}

36.アフリカの4000万以上の人々が飢餓の危機にある。この状況は気候条件や自然災害だけに起因するのではない。HIV/エイズの蔓延、増加する紛争、統治や経済運営が上手くいかないこと、貿易に関連する問題にあわせ、慢性的な貧困、インフラ、適切な支援及び農業を可能にする環境の欠如など、より構造的な要因にも起因する。カナナスキス以来、我々は、これらの人道的ニーズに応えるため、以下の緊急支援を約束した。17億ドルが緊急人道援助にあてられ、14億ドルがサブサハラ・アフリカの長期的農業支援及び食糧安全保障の支援のためにあてられる。

37.人道的危機のもたらす危害を避けるための緊急的な行動をとりつつ、G8各国は、食糧安全保障の欠如の長期的な解決策の必要性を認識し、アフリカ諸国、国際連合、及び他の国際機関とのパートナーシップのもと、アフリカのパートナーにより特に強調されるこの課題に取り組むことに決意する。この点に関し、G8各国は、この10年間に農業重視の開発支援の供与が減少していることを逆転すべく取組、国際金融機関が農業開発のため、及び貧困削減戦略における農村部の貧困層を取り巻く環境に対する特別な注意を払って水の効果的な利用のため、供与する支援を増加するよう推奨することを約束する。

38.我々は、統合されたアプローチ及び飢餓と栄養不足の根本原因を特定するためのプログラムを支援し、飢餓を防ぐため、これらに取り組む。我々の支援は以下を含む。国際農業研究協議グループ(CGIAR)によって行われるアフリカ関連の作業に対する支援の増加、米国及び英国によるアフリカ農業技術財団の策定に対する支援。日本によるネリカ米に対する支援など、農業の研究開発における南南協力に対する支援。イタリア、フランス及び日本による、国際連合食糧農業機関(FAO)の食糧安全保障に関する特別計画に対する支援。

39.G8各国は、地域的イニシアティブを優先する意思を有する。これには、ヨハネスブルグにおける持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)において、独特の生物多様性を誇り、アフリカで現存する最も大きな森林の持続可能な利用を促進すべく設立された、コンゴ・ベイスン森林パートナーシップ・イニシアティブ(CBFPI)に対する資金的及び技術的支援の供与を含む。CBFPIは、フランスから6500万ユーロを、米国から2005年に5300万米ドルを、ドイツから2500万ユーロを受け取っている。

水資源の管理を向上させること {前14文字下線あり}

40.水についてのミレニアム開発目標を達成するため、取り組むべき問題は、統治(ガバナンス)、能力向上及び資金供与である。それぞれについて、意思決定能力と資金的手段が、特に農村部において、現実のニーズがある場所に対して出来る限り近くなるよう確実にすることが挑戦になる。G8水行動計画は、技術的支援の強化を通じて、水分野の良い統治(ガバナンス)を促進することを目指している。また、行動計画は、水分野に投資される資金の流れのすべての量を増加すべく、資金源及びメカニズムを多様化することを目指している。行動計画は、地方公共団体と女性の役割を重視している。特に以下を重視している。(1)良い統治(ガバナンス)の推進。(2)全ての資金源の活用。(3)地方公共団体と地方のコミュニティーの強化によるインフラの構築。(4)点検、評価、研究の強化。(5)国際機関の関与の強化。

41.WSSDにおいて設立されたEU水イニシアティブは、良い統治(ガバナンス)、持続可能な水資源の管理、関係者間の連携(パートナーシップ)の強化を推進する。こうした目標に応じるため、追加的資金及び柔軟なメカニズムが必要とされる。この文脈において、欧州委員会は、現在もEU各国とアフリカ・カリブ・太平洋(APC)各国との間で協議されている10億ユーロのEU水ファンドの設立を提案した。

42.アフリカ農村部における持続可能な水の供給と衛生施設へのアクセスの加速化が特に必要とされる。これは、プログラムとプロジェクトの準備、評価、実施、調達、支払、及び資金管理について、地方のコミュニティーが高い程度で関与する柔軟かつ透明性をもつ速いペースの手続によって、達成される。フランスは、アフリカ開発銀行による農村部の水供給及び衛生施設のイニシアティブに対する最初の拠出を支援するとの意図を発表した。こうした投資は、特に、市民社会との協力の舞台となり、G8は市民社会の関与を支援する意図を有する。日本と米国は、昨年9月のWSSDにおいて設立された「きれいな水を人々へ」イニシアティブの下、西アフリカ(ガーナ、マリ、ニジェール及びセネガル)において協力する。

43.G8各国は、地域的経済統合を推進し、信頼を構築して紛争を予防する手段として、共有された水路の管理に対する国境を越えた地域的な方策に特に重点を置いている。G8各国は、ナイル・イニシアティブ、ニジェール川流域機関、南部アフリカ開発共同体(SADC)によるザンベジ川及びリンポポ川水系を管理する取組に対して支援している。日本で開催された第3回世界水フォーラムの機会に採択されたイニシアティブの中でも特に、日本とフランスは、例えば、セネガル川流域の支援において協力することに合意した。ドイツはアフリカ河川流域機関の高度センターの設立を促進する。このセンターは、大陸全土に及ぶネットワークをつなげるため、水に関するアフリカ閣僚会議の付属機関となり得る。

III.次の5年に向けた道のり

44.G8アフリカ個人代表は、NEPADの同僚と交わした素晴らしい対話を歓迎する。これは、アフリカとの真のパートナーシップに向けた移行を特色づける。アフリカの改革者の先見性のあるアプローチの基礎の上に、このパートナーシップは、真の成果をもたらした。特に、

―アフリカの平和支援活動能力向上のためのG8・アフリカ共同計画など、アフリカにおける紛争問題への対処における目に見える進展。

―カンクンでの明らかな進展によって貿易交渉における突破口を達成するとのG8による約束。

―モンテレイ及びカナナスキスの約束を実施すること、及び開発支援を強化しその質を向上すること。

―農業分野及び食糧安全保障の必要性についてより一層注意を払うこと。

―すべての分野におけるHIV/エイズの影響を認識し、これに対処する支援を増加し、ポリオ撲滅のための更なる手段を講ずること。

―ヨハネスブルグ及び京都で強調されたように、水供給及び衛生施設分野においてミレニアム開発目標に向けて前進することに対し、より重要性をおくこと。

45.我々は、我々のNEPADのパートナーとの対話に、我々とアフリカのための目標を共有する、他の先進国の開発パートナー及び関係多数国間機関の代表が参加したことに対し、深く感謝する。

46.G8個人代表は、もし、アフリカのパートナーが、NEPADにおいて設定された長期的目標を達成しようとするなら、アフリカ行動計画の進展を継続する必要性があることを強調する。

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附属書

アフリカの平和支援活動能力向上のためのG8・アフリカ共同計画

1.1 アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)において、アフリカの指導者たちは、平和と安全が持続的な開発に必要な重要な条件の一つであることに同意した。民主主義、良い統治、人権及び健全な経済運営もまた、重要である。アフリカの指導者たちは、平和と安全のためのニーズに対応するためには、「早期警戒のためのアフリカの組織の能力を構築し、また、それらの組織が紛争を防止し、管理し及び解決する能力を強化すること」が最優先であることに同意した。(NEPAD第5章AI72パラ)

1.2 したがって、2002年6月のカナナスキス・サミットにおいて、G8は、「2010年までにアフリカ諸国、アフリカ連合及び地域的な機関が、アフリカ大陸における暴力的紛争の予防及び解決をすることがより効果的にできるように、また、国際連合憲章に従った平和支援活動の実施により効果的に取り組むことができるように、技術的及び資金的な支援」を提供することに着手した。G8首脳は、この誓約を実施するために、次の3つの相互に関連する重要な活動を遂行することについて意見の一致をみた。

―地域的なレベルを含め、平和支援活動を実施するアフリカの能力を開発するために、共同計画を2003年までに作成する作業をアフリカのパートナーとともに進めること。

―コフィ・アナン国際平和維持訓練センターのような、紛争予防及び平和支援の軍人及び文民の側面のための卓越した地域センターの発展を通じて、アフリカの平和支援部隊を訓練すること。

―平和維持訓練のイニシアティブをより良く調整すること。

1.3 それぞれのアフリカ諸国、アフリカ連合(AU)、幾つかのアフリカの地域的な機関、国際連合及びそれぞれの援助国(G8と非G8の双方)は、アフリカにおける紛争を防止し、解決し及び平和支援活動を実施する能力を開発するための重要な措置を既に実施している。実際に、多くのアフリカ諸国は、アフリカやその他の地域において現在活動中の国際連合及びアフリカの平和維持ミッションに非常に多くの人員(平和維持部隊、オブザーバー及び文民警察)を派遣している。このような既存の個別の及び集団の能力構築のための努力の影響及び効果は、共通のビジョンを実現する方向に導かれることにより、倍加するであろう。このビジョンは、達成可能で持続可能なものであるためには、アフリカ自身のものであり、アフリカが率先するものであり、また、アフリカの将来に投資するというアフリカ側の誓約を反映するものでなくてはならない。G8首脳は、G8の誓約がアフリカの誓約に匹敵することを明確にしている(G8行動計画パラ4)。

1.4 カナナスキス・サミット以来、G8とアフリカのパートナーは、地域的レベルを含め、平和支援活動を実施するアフリカの能力を開発する計画を発展させるために、緊密に作業をすすめてきた。AUとアフリカの地域的な機関は、アフリカ大陸における平和と安全のための組織的な枠組みを引き続き発展させている。幾つかの重要な決定が、数か月以内に、また、数年以内になされる予定である。この結果、計画は、アフリカの組織的な取決めが確立され、発展するにともなって、段階的に計画され、反復され及び調整されなくてはならない。

2.目的

2.1 共同計画の構成要素は、その目的と目標により決定されなくてはならない。共同計画の開始点は、2002年7月9日にダーバンでアフリカ連合(AU)首脳会議において採択されたが今後加盟国により批准される必要のある「アフリカ連合(AU)平和・安全保障理事会設立議定書」である。同議定書は、特に、次のものを設立することを求めている。

―大陸早期警戒システム

―アフリカ待機軍

―軍事スタッフ委員会

―賢人会合

アフリカのパートナーは、議定書を実施するに当たっての支援を求めている。

2.2 7月に開催されるマプトにおけるAU首脳会議の準備過程において、国防参謀長会議は、アジス・アベバで5月15日から16日まで開催された第3回会合において議定書の実施について検討した。同会議では、アフリカ待機軍及びAU軍事スタッフ委員会設立に関する政策枠組みが採択された。特に、この政策枠組みは、AUの戦略的レベルでの管理能力と5つの地域の旅団の確立について規定しており、このことは、AUが2010年までに段階的アプローチにより複合的な平和支援活動を実施することができるようにするものである。AUは、引き続き、作業のためのパートナーシップを確立するためにアフリカの地域的な機関と協議している。国際連合事務局は、アフリカ連合委員会に対して、司令部の能力と構成に焦点を合わせて、平和支援活動を運営するための組織的要件について引き続き助言している。

3.必要な能力

3.1 アフリカの平和支援能力についての長期的なビジョンを考慮すれば、また、戦略的な計画を策定するためには、アフリカの目標を達成するために必要な能力を確定することが必要である。次に、アフリカ諸国にはどのような能力が既に存在し、それらの能力のうちどれがアフリカの平和支援活動のために利用可能であり、また、何が集中的な注意の必要な欠陥や弱点であるかについて評価することが必要となる。待機リストを作成する過程は、この点に関して重要な情報を提供するであろう。

3.2 国際連合の経験と国際連合平和維持活動に関するブラヒミ報告は、実行可能な多面的な平和支援活動能力には次の3つの基本的な要素が含まれることを示している。 -正当性があり、かつ、マンデートを受けた政治的意思決定当局 -多面的で戦略的な管理及び統合された作戦計画立案能力。この能力には、指示を与え、計画を立案し、現地での活動並びに潜在的な及び現実の貢献者に対する支援(兵站や訓練といった形での支援を含む)を提供する能力が含まれる。 -多面的な現地での能力。この能力には、迅速に展開できる作戦司令部、加盟国による訓練され装備された軍隊及び文民警察の派遣、その他の様々な任務の構成要素(例えば、人権、法による支配及び統治)に活用することができる文民又は警察の職員

3.3 以上に基づき、国際連合平和維持活動局は、異なる種類の平和支援活動において一般的に必要とされる特定の能力の概要を示す、次のような一連の6つのシナリオを作成した。すなわち、i)政治的ミッションに対する軍事的助言、ii)国際連合ミッションとともに展開するAUオブザーバー・ミッション、iii)単独のAUオブザーバー・ミッション、iv)アフリカ連合平和維持部隊(伝統的な平和維持又は予防的展開)、v)AU平和維持部隊(複合的な多面的ミッション)、vi)AU介入ミッションである。これらのシナリオは、必要な能力を特定するための基盤を提供し、利用可能な能力、弱点及びギャップを特定する。これは、共同計画に更なる要素を取り込むことについて考慮することに資するであろう。

3.4 多くのアフリカ諸国は、平和維持軍を訓練し及び経験してきた。しかしながら、多面的な平和支援活動のための戦略的管理能力は、未だAU及び準地域的な機関において、胎動期にある。多面的な平和支援活動が効果的なものであるためには、人道的支援のニーズ、早期平和構築の任務(法の支配の回復を含む。)及び再建のニーズを考慮することが必要であり、これらの全ては文民の専門家を必要とする。この管理能力の開発には時間及び多くの安定的な開発資源が必要となる。したがって、共同計画が多面的な現地での能力開発に第一の焦点を当てていることは、合理的な第一歩である。

4.重要なパートナーシップ

4.1 複合的な平和支援活動その他の関連する活動を十分に実施するために必要な能力を完全に創出し、また、これを維持するための条件を確立することは、時間と多くの資源を必要とする。アフリカは、その長期的なビジョンを達成するために必要な能力を獲得するために前進するに当たり、パートナーが必要となる。国際連合は、平和支援活動のための戦略的管理及び計画立案の能力をよく発展させてきており、これらの能力をアド・ホックにアフリカの諸機関に対して利用可能にする意思がある。これを実施するため、国際連合は、AU及びアフリカの地域的な機関が国際連合の計画立案及び戦略管理の能力と共同歩調をとることができるようにするための取決めについて、これらの機関と協議している。国際連合は、また、アフリカの諸国及び地域的な機関に対する助言及び訓練並びに地域的な及び国の訓練センターに対する支援を行っている。国際連合は、更に、援助国機関と平和支援活動を実施するために装備を必要としているアフリカの軍隊派遣国とを仲介するための支援を行っている。

4.2 更に、国際連合緊急即応待機旅団(SHIRBRIG)は、アフリカの地域的な又は準地域的な待機旅団の発展にとっての潜在的なモデルである。コペンハーゲンのSHIRBRIG計画立案部隊への一時的な配置換え、作戦方法に関する専門家協議及び技術的な支援(例えば、現在SHIRBRIGが西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)にありうべきコートジボワールでの任務に備えて提供している作戦立案支援)について考慮することが考えられる。

5.平和支援作戦を実施するアフリカの能力を強化するための基本的要素

5.1 平和と安全の基盤についてのアフリカのビジョンについては、現在作業が進行中である。この認識を踏まえ、G8とアフリカのパートナーは、より長期的なビジョンを支援するに当たり、既存の資源をより効果的に運用することに資する重要な基本的要素を発展させるための作業を着実に進めている。今後数か月又は数年のうちにAUが平和と安全に関する議定書の実施に関して行う決定(特に待機軍の能力に関するもの)に予断を与えることなく、これまでに特定された初期の基本的要素として、以下のものが挙げられる。

1) 文民を含む、一貫した、多国籍の及び分野横断的な待機旅団能力、特に、国際連合、AU又はアフリカの準地域的な機関の権限の下で実施される国際連合により承認されたミッションにおいて利用することができる、統一された作戦立案能力、現地作戦司令部及び戦略司令部を、AU及び地域レベルにおいて、2010年までに確立し、装備し及び訓練すること。

2) 複合的な平和支援活動の文脈において、人道上、安全保障上及び復興上の支援を提供する能力を開発すること。

3) AUのセンターに電子的にリンクした、監督及び監視(早期警戒)のための地域的センター間のネットワークをアフリカ大陸において設立すること。

4) 調停、促進、監督その他の戦略を通じて紛争を予防するための制度的能力を大陸及び地域レベルで開発すること。

5) 既存の能力を強化するために、重点な地域的兵站拠点を確立すること。

6) 文民(警察を含む。)及び軍人が国の及び地域的な平和維持訓練センターや研究施設で使用する訓練の方法、マニュアル、カリキュラム及び計画を均一化すること。アフリカの各訓練センターを相互に及び国際的な平和維持センターと連繋するための情報技術の選択肢を支援すること。

7) 地域的な平和訓練センターの能力を強化すること。

8) 地域的なレベルでの合同訓練を継続すること。

9) ブルンジにおけるミッションやコートジボワールにおけるECOWASのミッションのような、現在行われている地域的な平和維持のためのイニシアティブをとること。

10) 経済開発協力機構の開発援助委員会において、平和支援活動及び関連活動を実施する能力を強化するために提供されるより包括的な範囲の支援を政府開発援助として検討することにつきコンセンサスを形成する。

5.2 これらの提案された基本的要素は、全ての関係者の努力を目標として、段階的な構成部分に分散させる必要がある。この作業は、関心のあるアフリカのパートナーにより実施され、国際連合及び既に活動している又は今後各段階で活動することを求めている援助国の専門家により支援される必要がある。

6.援助国機関間の調整

6.1 多くのG8パートナー、また実際他の援助国も、複合的な平和支援活動及びその関連活動を実施するアフリカの能力を開発するために、現在、アフリカ諸国及び諸機関との間に広範囲にわたって進行中のプログラムを有している。重複を避け、有利な費用対効果を確保するために、援助国機関とアフリカのパートナーとの間の調整を促進する必要がある。この共同計画は、紛争を防止し、管理し及び解決し並びに平和を定着させる能力についてのアフリカのビジョンを達成する方向へ、個別の及び集団的な努力を導く一つの方法である。明確に特定されたアフリカの優先事項に焦点を合わせた補完的な計画及び援助国機関間のパートナーシップは、目に見える結果を達成することに役立つであろう。

6.2 アフリカのパートナーに見合った平和支援能力を強化するための軍人の及び文民のためのプログラムに関する援助国機関間の協議は、優先事項を特定し、透明性を高め及び相乗効果を見出すための最も効果的な方法である。そのような協議は、アフリカの大陸的な及び地域的な平和及び安全のための組織が設置されている都市やアフリカの平和維持国家の都市に駐在する者の間で定期的に開催することができよう。

6.3 この広範な協議のプロセスは、AU、全ての関心援助国機関間(G8のみに限らない。)並びにアフリカ大陸の及び地域なレベルの平和及び安全のための組織(例えば、平和維持訓練センター)の間で開催される、平和と安全に関する問題に焦点を合わせた年次協議を中心とすることが提案された。この協議は、共同計画とその実施を見直すための現行の制度を提供することができる。この協議は、また、平和支援能力の礎石である、広範な安全保障分野における改革活動の見直しの機会を提供するであろう。

6.4 これらの協議を完了させるために、複合的な平和支援活動及びその関連活動を実施するアフリカの能力の開発を支援する援助国機関の活動に関する情報のデータベースを作成することも提案された。このデータベースは、AU委員会にやがて設置することもできるが、G8とアフリカのパートナーは、平和維持訓練支援に関する世界的なデータベースを、アフリカにおける平和及び安全のための活動を記載し並びに連絡先の情報を提供する全ての援助国機関のウェブサイトとリンクするウェブサイト(元々1996年に作成され、平和維持活動局訓練評価部により監督されている)を作成することにより構築するとの国際連合による申し出に関心を示した。

7.短期的な行動についての特定的な勧告

7.1 AUが、(援助国機関からの支援を受けて、)平和支援活動に従事するアフリカの能力の強化に関する年次協議を、AU、全ての関心援助国機関(G8のみに限らない。)並びにアフリカ大陸の及び地域的なレベルの平和及び安全のための組織(即ち、平和維持訓練センター)との間で主催する。

7.2 必要かつ適切であれば、一連の専門家会合を、この計画により特定される各基本的要素のための詳細な戦略(基準及び指標を特定するものであって、援助国機関が個別の及び集団的な支援を向けることができるようにするもの)を発展させるために、AU及び関心のある援助国機関(G8及び非G8の国々の大使館員)が開催する。

7.3 国際連合が引き続きAUに対して平和及び安全のための組織の設立並びに組織と地域的な機関との関係に関する助言を与えられるよう、支援する。

7.4 AU及び地域的な機関が、アフリカ待機軍のモデルとなり得るSHIRBRIGからより多くのことを学ぶことができるよう、支援を行う。

7.5 国際連合がAU及び地域的な機関との間で、それらが国際連合の計画及び戦略管理能力と共同歩調をとることを可能にする取決めを発展させることを奨励する。国際的な援助国機関と国際連合との間のアフリカ主導の平和支援活動の資金的なニーズに対応する選択肢に関する協議を奨励する。

7.6 G8諸国の代表が、他の関心のある援助国機関及びアフリカの仲介者を、アフリカの大陸の及び地域的な平和及び安全のための組織が設置される都市(アフリカ側との今後の協議において決定される。)並びにアフリカの平和維持国家の都市において、アフリカの平和及び安全に係るイニシアティブへの支援に関する定期的な協議を確立するよう、招請する。

7.7 アフリカの平和と安全における活動について記載する全ての援助国機関のウェブサイトとリンクするウェブサイトを作成するとの国際連合による申し出について考慮する。