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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] パレスチナ分割に関する国際連合総会決議181号(国連総会決議181(パレスチナ分割))

[場所] 
[年月日] 1947年11月29日
[出典] 現代国際関係の基本文書(上),鹿島平和研究所,825-833頁.
[備考] 
[全文] 

 総会は、

 第2回通常会期においてパレスチナの将来の政府の問題について審議を行うべく、準備に当たる特別委員会を設置し支持を与えるため、委任統治国の要請に基づき特別会期を開催し、

 特別委員会を設立し、同委員会に対し、パレスチナ問題に関連するすべての問題および係争点について調査し、その問題解決のための提案を用意することを支持し、また、

 特別委員会で満場一致で成立した多数の勧告、および特別委員会の過半数によって承認された経済連合を伴う分割計画を含む、特別委員会報告書(文書A/364)を受理の上審査し、

 パレスチナの現在の事態は、諸国間の全般的な福祉と国家間の友好的関係を損なう恐れがあることを考慮し、

 1948年8月1日までにパレスチナからの撤退を完了する予定であるとの委任統治国の宣言に留意し、

パレスチナ委任統治国たるイギリス、また、その他すべての国連加盟国に対して、パレスチナの将来の政府に関し、以下に定める経済連合を伴う分割計画の採択と履行を勧告し、

 以下のとおり要請する。

(a)安全保障理事会は、この実施計画に規定する必要な措置を取ること。

(b)安全保障委員会は、過渡期間の情勢によりかかる審議を必要とする場合には、パレスチナにおける事態が平和に対する脅威を構成するか否かを審議すること。安全保障委員会がかかる脅威が存在すると決定した場合には、国際の平和と安全を維持するため、憲章第39条および第41条に基づき、国際連合委員会が本決議によって付与される諸権限をパレスチナにおいて行使しうるような措置を取ることによって、総会の権限を補足すること。

(c)安全保障委員会は、本決議が定める解決を武力によって変更しようとするいかなる試みも、憲章第39条の規定に従い平和に対する脅威、平和の破壊または侵略行為とみなす旨決定すること。

(d)(略)

経済連合を伴う分割計画

第1部 パレスチナの将来の憲法および政府

A. 委任統治の終了、分割および独立  

 1.パレスチナの委任統治は、できるだけ早い時期に、いかなる場合でも1948年8月1日より遅くない時期に終了する。

 2. (略)

 3. アラブおよびユダヤの各独立国家、ならびにこの計画の第3部で規定される特別国際制度下のエルサレム市が、委任統治国の軍隊の撤退から2カ月後に、ただしいかなる場合にも1948年10月1日より遅くない時期に、パレスチナに成立する。アラブ国家、ユダヤ国家及びエルサレム市のそれぞれの境界は、第2部、第3部において説明する。

 4.(略)

B. 独立に先立つ行程

1. 委員会は、国連加盟国5カ国から各1名の代表によって構成される。同委員会の委員は、総会が地理的、またその他できる限り広い立場に立って選出する。

2. パレスチナの行政は、委任統治国の軍隊の撤退に従い漸進的に委員会に移譲され、委員会は安全保障理事会の指導の下に、総会の勧告に基づいて行動する。委任統治国はその撤兵計画を、明け渡された地域を接収し管理する委員会の計画と可能な限り調整する。

(中略)

3.〜9.(略)

10. 各国家の制憲会議は、それぞれ民主主義的憲法を起草し、委員会によって任命された暫定政府評議会の任務を引き継ぐ暫定政府を選任する。各国の憲法は、後段Cの規定する宣言の第1章および第2章を法文化するものであり、とりわけ以下の諸規定を含む。

(a)各国家は、比例代表の原則に基づき、普通選挙と秘密投票によって選出される立法府と、立法府に責任を有する行政府を設立すること。

(b)各国の関係するすべての国際紛争は、国際の平和と安全および正義が脅かされることのないよう解決すること。

(c)国際関係において、いかなる国の領土保全または政治的独立に対する武力の威嚇または行使、あるいは国際連合の目的と両立しない他のいかなる形の武力の威嚇または行使も、これを差し控えること。

(d)すべての人々に対し、市民的、政治的、経済的、宗教的問題について平等かつ差別なき権利を保証し、また、宗教、言語、言論・出版、教育、集会および結社の自由を含む、人権及び基本的自由の享受を保証すること。

(e)いずれの国家も、各国がその領域内での居住を管理するとの条件の下で、パレスチナのもう一つの国とエルサレム市のすべての居住者および市民に対して、国家の安全を害さない限り、通過および訪問の自由を確保すること。

11.〜15. (略)

C. 宣言

 独立の前に、それぞれの国家の暫定政府は国際連合に対し宣言を行う。同宣言には特に以下の諸条項が含まれる。

一般規定  同宣言に含まれる諸規定は、国家の基本法として承認され、いかなる法律、規則、または公的行為も、これらの規定に抵触したり違反してはならない。また、いかなる法律、規則、または公的行為も同宣言に従属する。

第1章 聖地、宗教的な建物・土地

 1. 聖地、宗教的な建物・土地に関する既存の権利は否定されたり、損なわれてはならない。

 2. 聖地に関する限り、近接、訪問、通行の自由は、国家の安全、公共の秩序、儀礼などの条件に反しない限り、既存の権利に倣い、すべての住民、他の国家及びエルサレム市の市民並びに外国人に対し、国籍によって差別されることなく保証される。

(中略)

3.〜5.(略)

第2章 宗教的権利と少数民族の権利

(中略)  ユダヤ国家においてアラブ人が(アラブ国家においてユダヤ人が)所有する土地を収用することは、公共の目的の場合を除いて許されない。収用がなされる場合にはすべて、接収に先立ち最高裁判所によって定められた十分なる補償が支払われるものとする。

第3章 市民権、国際協定、および財政的義務

 1.市民権

 エルサレム市以外のパレスチナに居住するパレスチナ市民、およびパレスチナの市民権をもたない、エルサレム市以外のパレスチナに居住するアラブ人とユダヤ人は、独立承認後は彼らの居住している国の市民となり、完全な市民的、政治的権利を享受する。年齢18歳以上の者は、彼らの居住する国の独立が承認された日から1年以内に、もう一つの国の市民権を選択することができる。ただし、アラブ国家の地域内に居住するアラブ人は、ユダヤ国家における市民権を選択する権利がなく、また、ユダヤ国家に居住するユダヤ人は、アラブ国家の市民権を選択する権利はない。この選択権の行使は、上記選択を希望する当人の妻と18歳以下の子供にも及ぶ。

(中略)

2.〜3.(略)

第4章 雑則(略)


D.経済連合と通行

(中略)

通行と訪問の自由

 18. 誓約には、両国家とエルサレム市がそれぞれの領域内における居住を管理することを条件に、両国家とエルサレム市のすべての住民ないし市民に対して、安全保障上の考慮に基づく制約を除き、通行と訪問の自由を保証する規定が含まれる。 (中略)


第2部 境界(略)


第3部 エルサレム市

A.特別制度

 エルサレム市は、特別国際制度下の「分離された区域」として樹立され、国際連合が管理する。信託統治理事会は、国際連合に代わって行政機構としての責任を遂行するよう任命される。

B. 市の境界(略)

C. エルサレム市規約

 信託統治理事会は、この計画の承認から5カ月以内に詳細なエルサレム市規約を作成し、承認する。その規約には、とくに以下の諸規定が含まれる。

1. 政府機構と特別な目的

 行政的責任を果たすべき行政機構は、以下の特別な目的を遂行する。

(a)世界の三大一神教、すなわち、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の都市に存在する特異な精神的、宗教的諸権益を保護し、保存すること。このためエルサレムにおける秩序と平和、とくに宗教的平和と統制を確保すること。

(b)(略)

2.(略)

3.(地方自治)

(a)(略)

(b)市長は、新エルサレム市にユダヤ特別地区とアラブ特別地区から構成される特別な町を創設する計画を検討し、信託統治理事会の審議と承認を得るべく提出する。この新しい町は、現在のエルサレム市の一部を引き続き構成する。

4.(安全保障措置)

(a)エルサレム市は非軍事化される。中立が宣言され、維持される。また、その領域内ではいかなる準軍事組織も、演習、活動も許可されない。

(中略)

5.〜10.(略)

11.(市民権)

 エルサレム市のすべての住民は、彼らが市民であった国の国籍を選択しない限り、または、この計画の第1部のBの第9項に従って、アラブ国家またはユダヤ国家の市民となるための意思通告書を提出しない限り、事実上、エルサレム市の市民となる。

 信託統治理事会は、同市領域外でのエルサレム市民の領事保護のための取り決めを作成する。

12. (市民の自由)

(a)エルサレム市の住民は、公共の秩序と道徳の要件のみに服することを条件として、良心の自由、宗教・礼拝、言語、教育、言論・出版、集会・結社および請願の自由を含む人権と基本的自由の享受を保証される。

(中略)

13.(略)