データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 欧州経済共同体を設立する条約(ローマ条約,EEC設立条約)

[場所] 
[年月日] 1957年3月25日
[出典] 現代国際政治の基本文書,一般財団法人鹿島平和研究所編,原書房,665-669頁
[備考] 署名:1957年3月25日
[全文] 

 ベルギー国王陛下、ドイツ連邦共和国大統領、フランス共和国大統領、イタリア共和国大統領、ルクセンブルグ大公殿下、オランダ女王陛下は、

 欧州諸国民間の絶えず一層緊密化する連合の基礎を確立することを決意し、

 共同の行動により欧州を分割してしている諸障壁を撤廃することにより、これら諸国の経済および社会的進歩を確保することを決意し、

 これら諸国民の生活および雇用の条件を絶えず改善することを努力の主要目的とし、

 現存の諸障害の撤廃のためには、一致した行動により安定的拡大、貿易の均衡および公正な競争を保証することが必要であることを認識し、

 これら諸国の経済の一体性を強化し、かつ地域間の差およびより不利な条件にある地域のおくれを縮小することにより調和した発展を確保することを念願し、

 共通の通商政策により国際貿易に対する諸制限を漸進的に撤廃することに貢献することを希望し、

 国際連合憲章の諸原則に従って、欧州と海外諸国とを結ぶ連帯性を固めることを意図し、相互繁栄の発展を確保することを希望し、

 資源の結集により平和と自由の保全を強化し、理想を共にする他の欧州諸国民に対しこの努力に加わることを呼びかけ、

 欧州経済共同体を創設することを決議し、このために次の全権委員を任命した。

[全権委員名](略)

 これらの全権委員は、互いにその全権委任状を示してそれが良好妥当であると認められた後、次のとおり協定した。

第1部 原則

第1条 この条約により締約国は相互の間に欧州経済共同体を設立する。

第2条 共同体の使命は、共同市場の設立および加盟国の経済政策の漸進的接近により共同体全体の経済活動の調和した発展、持続的かつ均衡的な拡大、安定強化、生活水準の一層すみやかな向上および加盟国間の関係の緊密化を促進することである。

第3条 前条に掲げる目的のため、共同体は、この条約に規定する条件および進度に従い、次のことを行う。

(a) 加盟国間の貨物の輸入および輸出に関する関税および数量制限並びにこれらと同等の効果を有する他のすべての措置の撤廃

(b) 第三国に対する共通関税および共通通商政策の設定

(c) 加盟国間の人、役務および資本の自由移動に対する障害の除去

(d) 農業の分野における共通政策の樹立

(e) 運輸の分野における共通政策の樹立

(f) 共同市場内において競争が歪曲されないことを確保する制度の確立

(g) 加盟国の経済政策を調整し、国際収支の不均衡を是正するための手続の実施

(h) 共同市場の運営に必要な限度内での各国法制の接近

(i) 労働者の雇用の機会を増大しかつその生活水準の向上に貢献するための欧州社会基金の創設

(j) 新たな財源の創設により共同体の経済的拡大を容易にするための欧州投資銀行の設立

(k) 貿易を拡大し、かつ経済的社会的発展のための努力を共同に推進することを目的とする海外の国および領域との連合

第4条 1. 共同体に委ねられた任務の遂行は、次の諸機関により行われる。

−総会

−理事会

−委員会

−裁判所

 各機関はこの条約によりそれぞれに与えられた権限の範囲内で行動する。

 2. 理事会および委員会は、諮問機関としての経済社会評議会により補佐される。

第5条 加盟国は、この条約に基づくか又は共同体の機関の行為に基づく義務の実施を確保するために適切な一般的若しくは特別のすべての措置を執り、かつ、共同体の任務の達成を容易にする。

 加盟国は、この条約の目的の実現を危うくするおそれのあるいかなる措置も執ってはならない。

第6条 1. 加盟国は、共同体の機関と緊密に協力して、この条約の目的を達成するために必要な限度においてそれぞれの経済政策を調整する。

 2. 共同体の機関は、加盟国の財政の国内的および対外的安定を害しないように配慮する。

第7条 (略)

第8条 1. 共同市場は、12年の過渡期間を通じて漸進的に設定される。

 過渡期間は、各4年の3段階に区分され、その期間は以下に定める条件に従って変更することができる。

 2.〜7.(略)


第2部 共同体の基礎

第1編 貨物の自由移動

第9条 1. 共同体は、貨物の交換の全般にわたって適用される関税同盟を基礎とし、かつ、加盟国間の輸入および輸出関税又はこれと同等の効果を有するすべての課徴金の禁止、並びに第三国に対する加盟国の共通関税の採用をその内容とする。

 2. 本編の第1章第1節および第2章の規定は、加盟国原産の産品および第三国を積出地とする産品で加盟国内において自由流通状態にある産品に適用される。

第10条〜第248条(略)