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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 仏独協力に関するフランス共和国とドイツ連邦共和国との間の条約(仏独協力条約,エリゼー条約)

[場所] 
[年月日] 1963年1月22日
[出典] 現代国際政治の基本文書,一般財団法人鹿島平和研究所編,原書房,697-703頁
[備考] 署名:1963年1月22日
[全文] 

 フランス共和国とドイツ連邦共和国との間の協力の組織および原則に関するフランス共和国大統領とドイツ連邦共和国首相との1963年1月22日付けの共同声明に従い、次の諸規定が合意された。

   1 組織


 1. 両国の元首および首相は、必要に応じて必要な指令を与え、常時次に定める計画の実施にあたる。両国の元首および首相は、この目的のため、必要があるごとにおよび、原則として、少なくとも年に2回会合する。

 2. 外務大臣は、計画の実施全般を担当する。外務大臣は、少なくとも3カ月ごとに会合する。両国の外務省の政治、経済、文化関係をそれぞれ担当する幹部官吏は、通常両国の大使館が行う連絡を妨げることなく、毎月交互にパリおよびボンにおいて、当面する問題の現状を確認し、かつ、大臣の会合の準備を行うため会合する。さらに、両国の外交使節団および領事館並びに国際機関におけるその常設代表部は、共通の利害関係のある問題に関し、必要な連絡を行う。

 3. 両国の責任のある当局の間で、国防、教育および青少年問題の分野において定期的に会合を行う。この会合は、既存の機関一仏独文化委員会、参謀本部常設グループ一の活動を阻害するものではなく、これらの機関の活動はむしろ拡大される。外務大臣は、協力の全体的調整を確保するためこの会合において代表される。

(a) 三軍大臣および国防大臣は、少なくとも3カ月に1回会合する。また、フランスの教育大臣は、同様の間隔で、文化の分野における協力計画を遂行するため、ドイツ側が指定する者と会合する。

(b) 両国の参謀総長は、少なくとも2カ月に1回会合する。支障のある場合には、両国の参謀総長の責任のある代理がこれに代わる。

(c) フランス青少年およびスポーツ庁長官は、少なくとも2カ月に1回ドイツ家庭および青少年問題連邦大臣又はその代理と会合する。

 4. 両国のそれぞれにおいて、各省間委員会が協力問題を担当することを委任される。この委員会は、すべての関係各省の代表者からなり、外務省幹部官吏が議長となる。

 この委員会の任務は、関係各省の行動を調整し、および仏独協力の現状に関し自国政府に定期的に報告を行うこととする。この委員会は、また、協力計画の実施および新たな分野への拡大に関し有益なる提案を行う任務を有する。


   2 計画


A. 外交


 1. 両国政府は、外交政策のすべての重要問題、なかんずく両国が共通の利害関係を有する問題について決定を行うに先だち、できるかぎり類似の立場に達するように、協議を行う。この協議は、特に次の事項を取り扱うものとする。

−欧州共同体および欧州政治協力に関する問題

−政治分野および経済分野における東西関係

−北大西洋条約機構並びに両国政府が関係する各国際機関、特に欧州評議会、西欧連合、経済協力開発機構並びに国際連合およびその専門機関において取り扱われる問題

 2. 情報の分野で既に行われている協力は、パリおよびボンの関係機関の間並びに第三国にある在外機関の間で継続され、かつ、拡大される。

 3. 低開発国の援助に関しては、両国政府は、密接な調整を維持するためその援助計画を組織的に比較検討する。両国政府は、援助計画を共同で実施する可能性を検討する。この問題は、フランス側もドイツ側もともに多くの省庁が管轄しているので、協力の実際的基礎を共同で確立することは、両国の外務省の任務とする。

 4. 両国政府は、経済政策その他の重要な分野、たとえば共同市場の枠内における農林政策、エネルギー政策、通信輸送問題および工業開発並びに輸出クレジット政策における協力を強化する方法を共同で検討する。


B. 国防


 I.この分野において追求される目的は、次のとおりである。

 1. 戦略および戦術について、両国の権限のある当局は、共通の考えに到達するため、その理論を相互に接近させるように努力する。仏独作戦研究所を設立する。

 2. 軍隊の間の人事交流を促進する。この交流は、特に参謀学校の教員および学生について行う。この交流は、部隊全体の一時的派遣を含むことができる。この交流を容易にするため、双方において、その候補者に対する実用的語学教育に努力する。

 3. 装備に関しては、両国政府は、適当な装備計画の作成および融資計画の準備の段階から共同作業を組織化するため努力する。

 この目的のため、混合委員会は、両国において装備計画について行われている研究を調査し、かつ、この研究を比較検討する。混合委員会は、主務大臣に提案を行う。主務大臣は、この提案をその3カ月ごとの会議において検討し、その実施に必要な指令を与える。

 II. 両国政府は、民間防衛の分野における仏独協力の実現のための条件を検討に付する。


C. 教育および青少年問題


 教育および青少年問題に関しては、1962年9月19日および11月8日付けの仏独覚書の提案を前記の手続により検討に付する。

 1. 教育の分野においては、主として次の点について努力する。

(a) 語学教育

 両国政府は、それぞれの国における相手国の言葉の知識が仏独協力に重要な意義をもつものであることを認める。このため、両国政府は、ドイツ語を学ぶフランス人学生およびフランス語を学ぶドイツ人学生の数を増加するための具体的措置を執るよう努力する。

 ドイツ連邦政府は、この問題について権限のある各州政府とともに、この目的の達成を可能にする規則を制定する方法を検討する。

 すべての高等教育施設において、すべての学生が参加しうる実用的な語学の授業が、フランスではドイツ語について、ドイツではフランス語について制度化されることが適切である。

(b) 資格を同等とする問題

 両国の権限のある当局は、学期、試験並びに大学の学位および卒業証書を同等のものとして取り扱う規定を至急制定する。

(c) 学術研究に関する協力

 学術研究の機関および団体は、より本格的な相互の情報交換を始めとして、相互の連絡を助長する。共同研究計画は、それが可能である専門部門に作られる。

 2. 両国の青少年に対し、それらの者を結ぶきずなを緊密にし、かつ、相互の協力を強化するあらゆる機会を提供する。特に、集団交流を促進する。

 両国は、前記の機会を助長し、かつ、交流を促進するための機関を設立し、その上に自治管理委員会を設ける。この機関は、両国間における生徒、学生および若年労働者の交流に役だてられる仏独共同基金を運用する。

   3 最終規定(略)