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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ラテン・アメリカ・カリブ非核兵器地帯条約(トラテロルコ条約,ラテン・アメリカ及びカリブ地域における核兵器の禁止に関する条約)

[場所] 
[年月日] 1967年2月14日
[出典] 国際関係の基本文書(下),一般財団法人鹿島平和研究所編,日本評論社,307-314頁
[備考] 
[全文] 

ラテン・アメリカ及びカリブ地域における核兵器の禁止に関する条約

署名:1967年2月14日

前文(略)

第1条(義務)1. 締約国は、自国の管轄下にある核物質及び核施設を平和的目的のためにのみ使用すること並びに次のことを自国の領域において禁止及び防止することをこの条約によって約束する。

(a)締約国自身のために直接若しくは間接に、第三者のために又は他のいずれかの態様によって、核兵器を方法のいかんを問わず実験し、使用し、製造し、生産し及び取得すること。

(b)締約国自身が若しくは締約国のために第三者が又は他のいずれかの態様によって、直接又は間接に、核兵器を受領し、貯蔵し、設置し、配備し及び形態のいかんを問わず所有すること。

 2. 締約国は、また、核兵器の実験、使用、製造、生産、所有若しくは管理に直接若しくは間接に関与し、これらを激励し若しくは許可し、又は方法のいかんを問わずこれらに参加することを慎むことを約束する。

第2条~第3条(略)

第4条(適用地域)1. この条約の適用地域は、この条約が効力をもつ領域全体とする。

 2. 第29条1の要件が満たされた場合には、この条約の適用地域は、西半球(アメリカ合衆国の大陸部分及びその領海を除く)における次の境界内の地域とする。北緯35度西経75度の点から真南へ北緯30度西経75度の点まで、そこから真東へ北緯30度西経50度の点まで、そこから斜航線に沿って北緯5度西経20度の点まで、そこから真南へ南緯60度西経20度の点まで、そこから真西へ南緯60度西経115度の点まで、そこから真北へ緯度零度西経115度の点まで、そこから斜航線に沿って北緯35度西経150度の点まで、そこから真東へ北緯35度西経75度の点までの境界。

第5条(核兵器の定義)この条約の適用上、「核兵器」とは、核エネルギーを制御されない方法で放出することができ、かつ戦争目的に使用することに適した一群の性質を有する装置をいう。その装置の輸送又は推進のために使用される器具は、その装置から分離することができ、かつその装置の不可分の部分でない場合には、この定義に含まれない。

第6条(略)

第7条(組織)1. 締約国は、この条約の義務の履行を確保するため、「ラテン・アメリカ及びカリブ地域における核兵器の禁止のための機構」(以下「機構」という)と称する国際機関をこの条約によって設置する。機構の決定は、締約国のみを拘束する。

 2.~4.(略)

第8条~第12条(略)

第13条(IAEAの保障措置)各締約国は、その核活動に対する保障措置の適用のための多角的又は二者間の協定についてIAEAと交渉しなければならない。各締約国はこの条約の批准書寄託日から180日以内に交渉を開始しなければならない。この協定は、予期せぬ事態又は不可抗力の場合を除き、そのような交渉の開始日から18カ月以内に、各締約国について発効するものとする。

第14条(締約国の報告)1. 締約国は、この条約に基づいて禁止されるいかなる活動も自国の領域において行われなかったことを記載した半年ごとの報告を、情報のため機構及び国際原子力機関に送付する。

 2. 締約国は、国際原子力機関に提出する報告であって、この条約が対象としており機構の作業に関連している事項に関係するものの写しを、同時に機構にも送付する。

 3. 締約国によって提供された情報は、締約国が明示の同意を与える場合を除くほか、全体としてもまた部分的にも、報告の受領者によって第三者に開示したり伝達されてはならない。

第15条(事務局長の要請による特別報告)1. 事務局長は、いずれかの締約国による要請と理事会の許可の下に、締約国に対し、この条約の遵守に影響するいかなる異常な事態又は状況に関しても、補足的情報を機構に提供するようその理由を付して要請することができる。締約国は、事務局長に迅速かつ十分に協力することを約束する。

 2. 事務局長は、かかる要請及びそれぞれの回答を理事会と締約国に直ちに通報する。

第16条(特別査察)1. 国際原子力機関は、この条約の第12条に従い及びこの条約の第13条にいう協定に従って、特別査察を実施する機能を有する。

 2. いずれかの締約国による要請により、かつ、この条約の第15条に定める手続に従い、理事会は、国際原子力機関による検討のため、特別査察を実施するために必要な手続を実施に移すよう求める要請を同機関に提出する。

 3. 事務局長は、特別査察の完了に関して国際原子力機関の理事会に通報される情報を、適宜、自己に送付するよう国際原子力機関の事務局長に要請する。事務局長は、この情報を速やかに理事会に通報する。

 4. 理事会は、事務局長を通じて、当該情報をすべての締約国に送付する。

第17条~第28条(略)

第29条(効力発生)1. この条約は、2の規定が適用される場合を除くほか、次の諸要件が満たされた時、これを批准した国の間で直ちに効力を生ずる。

(a)第26条に規定する国でこの条約が署名のために解放された日に存在し、かつ、同条2の規定によって影響を受けない国の政府による寄託国政府への批准書の寄託

(b)この条約の適用地域内にある領域に対し法律上又は事実上の国際的な責任を負う大陸外又は大陸内のすべての国によるこの条約の附属議定書Ⅰの署名及び批准

(c)すべての核兵器保有国によるこの条約の追加議定書Ⅱの署名及び批准

(d)第13条の規定に基づく国際原子力機関の保障措置の適用に関する二当事者間又は多数当事者間の協定の締結

 2. すべての署名国は、1に掲げる要件の全部または一部を放棄する絶対的権利を有する。すべての署名国は、批准書の寄託の際にそれぞれの批准書に付して行う宣言により又はその後に行う宣言により、この権利を行使することができる。この条約は、この権利を行使する国については、その宣言の寄託の際に又は明示的に放棄しなかった諸要件が満たされた場合に直ちに、効力を生ずる。

 3. 寄託国政府は、2の規定に従いこの条約が11の国について効力を生じた時は直ちに、機構を設立しかつその活動を開始するためそれらの国による予備会議を招集する。

 4. この条約がその適用地域内のすべての国について効力を生じた後に新たな核兵器保有国が出現した場合には、1(c)の要件を放棄することなしにこの条約を批准した国で条約の実施を停止するよう要求するものについては、この条約の実施が停止される効果を有する。この場合において、この条約は、その新たな核兵器保有国が自己の発意により又は総会の要請に応じて追加議定書Ⅱを批准するまでの間、引き続き停止する。

第30条~第32条(略)


追加議定書Ⅰ

 下記に署名した全権委員は

(中略)

 次のことに合意した。

第1条 法的に又は事実上、締約国が国際的に責任をもち、ラテン・アメリカ及びカリブ地域における核兵器の禁止に関する条約により設けられた区域内にある領域において、この条約の第1、3、5及び13条に定義される戦争目的に関わる非核化の規定を適用することを約束すること。

第2条~第3条(略)

〔批准国:英国、オランダ、米国、フランス(2012年1月1日現在)〕




 追加議定書Ⅱ

 〔前文〕(略)

第1条 ラテン・アメリカ及びカリブ地域における核兵器の禁止に関する条約の第1、3、5及び13条において定義、限定及び規定される戦争目的に関わる非核化の規定は、この議定書の締約国により、そのすべての明示された目的及び規定に従い完全に尊重されるものとする。

第2条 したがって、署名した全権委員により代表される政府は、条約がその第4条に従い適用される地域において、第1条の義務の違反を伴う行為の実行にはいかなる方法によっても寄与しないことを約束する。

第3条 署名した全権委員により代表される政府は、さらに、ラテン・アメリカ及びカリブ地域における核兵器の禁止に関する条約の締約国に対し、核兵器を使用し又は使用するとの威嚇を行わないことを約束する。

第4条~第5条(略)

〔批准国:英国、米国、フランス、中国、ロシア連邦(2012年1月1日現在)〕