データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ブレジネフ書記長演説(ブレジネフ・ドクトリン)

[場所] 
[年月日] 1968年11月12日
[出典] 現代国際政治の基本文書,一般財団法人鹿島平和研究所編,原書房,792-794頁
[備考] 
[全文] 

 (前略)

 社会主義諸国の共産主義者にとって、社会主義国際主義の旗を高く掲げ、常に社会主義諸国の結束と連帯を強めることが死活の必要事であることは闘争の経験からも、また世界に醸成された情勢の現実的な考慮からも明白である。

 (中略)

 帝国主義がわれわれとの闘争において、主としてあてにしているものは、社会主義諸国の分裂の期待、われわれの統一の弱体化への打算である。社会主義諸国の連帯は、敵のかかる期待への打撃となる。そしてこの連帯は素晴しい勝利を収めている。

 (中略)

 社会主義諸国は、すべての国の主権の厳格な尊重を支持している。われわれは、いかなる国への内政千渉、主権侵害にも断乎として反対している。

 同時に、われわれ共産主義者にとって、社会主義建設の道に進んだ国家の主権の確立と擁護は、特別の重要性をもっている。帝国主義勢力と反動勢力は、あらゆる圧制と搾取から解放された社会を建設して、自国の繁栄、広汎な勤労大衆の福祉と幸福を保障するという社会主義諸国民が闘いとった主権的権利をあちこちで奪いとろうと努めている。そして、この権利への侵害が、社会主義陣営からの一致した反撃に遭遇すると、ブルジョア宣伝家は、「主権の擁護」とか「不干渉」などと騒ぎ立てる。これが彼等の側からの全くの虚偽であり、デマであることは明らかである。これらの宣伝家が懸命になっているのは、本当は社会主義的主権の維持ではなくて、その抹殺なのである。

 ソ連が社会主義諸国の主権、自主性の実質的な強化に少なからず貢献したことはよく知られている。ソ連共産党は、各社会主義国が夫々、自国の民族的諸条件の特殊性を考慮しつつ、自国の社会主義の道に沿った発展の具体的形態を決定することを常に支持してきた。しかし同志諸君、社会主義建設の普遍的な法則があることも周知のことであり、その法則から逸脱することは、社会主義そのものからの逸脱となりうる。そして、社会主義に敵対的な内外の勢力が、いずれかの社会主義国の発展を資本主義的秩序の復活の方向に転換せしめようと試みるとき、この国における社会主義の事業への脅威、社会主義共同体全体の安全に対する脅威が発生するときは、これはもはや、その国の国民の問題であるのみならず、すべての社会主義諸国の共通の問題、憂慮すべきこととなるのである。

 社会主義体制に対する脅威を断つために兄弟国に軍事援助といった行動をとることは、非常措置、やむをえざる措置であり、国内および国外の社会主義の敵の直接行動、社会主義陣営の共通の利益に脅威をつくりだす行動に対してのみとられるものであるということは当然のことである。

 経験の示すところによれば、現在の条件の下では、ある国において、共産党が社会の指導勢力として社会生活のすべての分野の発展について毅然としてマルクス・レーニン主義政策を実施している場合にのみ党がたゆむことなく国の防衛、革命の獲得物の擁護を強化し、党が階級の敵に対する警戒心、ブルジョア思想に対する妥協のない堅固さを自らも保持し、かつこれを国民に教育する場合にのみ、社会主義国際主義の原則が神聖に遵守され、他の社会主義諸国との団結と兄弟的連帯が強化される場合にのみ、その国の社会主義体制の勝利は決定的なものとなった、資本主義復活の可能性はなくなったものと見なすことができる。

 (後略)