118 胡耀邦主席第12回党大会報告 -->
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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 胡耀邦主席第12回党大会報告

[場所] 
[年月日] 1982年9月1日
[出典] 現代国際政治の基本文書,一般財団法人鹿島平和研究所編,原書房,511-513頁
[備考] 
[全文] 

1〜4 (略)

5 独立自主の対外政策を堅持しよう

 中国の前途は世界の前途と密接な関連がある。中国の革命と建設の勝利は、世界の進歩と光明にたいする力強い支持であるが、中国の革命と建設が勝利できるのも、世界の光明ある前途をめざす各国人民の奮闘と切り離すことはできない。中国は他の国と人民から援助を受けたことがあるが、他の国と人民を援助したこともある。毛沢東同志は、建国の直後、「われわれの全般的任務は、全国の人民を結集し、諸外国のすべての友人の支援をかちとって、偉大な社会主義国の建設のために奮闘し、世界平和の擁護と人類進歩の事業の発展のために奮闘することである」と指摘している。愛国主義と国際主義とを結びつけることは、もとより対外関係を処理するうえでのわれわれの根本的な出発点であった。

   (中略)

 中国が各国との関係発展の指針としている一貫した原則は、「主権と領土保全の相互尊重、相互不可侵、相互内政不干渉、平等互恵、平和共存」という五原則である。わが国には、侵略と抑圧をうけてきた百余年の苦難の歴史がある。中国人民は、以前の屈辱的状態に二度と戻ろうとは決して思わないし、また他のいかなる民族をもわれわれの以前のような屈辱的状態に追いやることは決してあり得ない。中華人民共和国の成立によって、外国の侵略に屈従するわが国の社会的根源が消滅したばかりでなく、対外侵略をおこなうわが国の社会的根源も消滅した。エンゲルスものべているように、「一民族は他民族を圧迫しつづけながら、同時に自由になることはできない」。これは、くつがえすことのできない真理である。われわれマルクス・レーニン主義者は、共産主義がいつかはかならず全世界で実現することを信じている。とはいえ、革命は決して輸出できるものではなく、各国人民自身の選択の結果でしかあり得ない。こうした認識に立てばこそ、われわれは終始一貫、平和共存の五原則を堅持しているのである。われわれはいかなる国にたいしても一兵卒たりとも駐留させてはおらず、いかなる国の領土にせよ、一寸たりとも侵略、占領したことはない。また、いかなる国の主権にせよ、これを侵犯したことはなく、いかなる国にたいしても、不平等な関係をおしつけたことはない。われわれは、いかなる状況のもとでも、永遠に覇をとなえない。

   (中略)

 日本は中国の近隣にあり、中日両国人民は古くから密接に往来し、厚い友情をつちかってきた。ここ百年らい、日本軍国主義者は再三、中国にたいする侵略戦争を起こして、中国人民に大きな災厄をもたらし、日本人民にも大きな被害をあたえてきた。中日両国人民の長期にわたる共同の努力によって、十年前、両国はついに国交正常化を実現した。中日両国が平和友好、平等互恵、長期安定の関係を発展させることは、両国人民の長期的利益に合致し、アジア·太平洋地域の平和と安定に役立つものである。現在、日本の一部の勢力は、かつて中国と東アジアのその他の諸国を侵略した歴史的事実をあいかわらず美化しており、日本軍国主義の復活をたくらむさまざまな活動をすすめている。こうした危険な状況は中日両国人民とその他の諸国の人民の大きな警戒心を呼び起こさずにはおかない。われわれは日本人民および日本の朝野の有識者とともに、両国関係をさまたげるすべての要素を排除して、中日両国人民の子々孫々にいたる友好をまもりつづけるであろう。

 中米両国は、1979年の国交樹立いらい、両国人民の利益の合致する関係を発展させてきた。われわれはこうした関係を発展させたいと一貫して願っており、それが両国人民と世界平和にとって有益であると考えている。しかし、両国の関係にはたえず暗い影がさしていた。それは、アメリカが中華人民共和国政府を中国唯一の合法政府と認め、中国は一つであり、台湾は中国の一部分にすぎないと認めながらも、また、両国の国交樹立コミュニケの原則に違反した「台湾関係法」を成立させ、ひきつづき台湾に兵器を売却し、台湾を独立した政治的実体と見なしているからである。中国政府は、それが中国の主権を侵害し、中国の内政に干渉する行為であると繰りかえし声明してきた。中米両国政府は一年ちかい交渉を経て、さきごろ、共同コミュニケを発表し、アメリカの台湾むけ兵器売却問題については、最終的な完全解決をめざし段どりを追って解決するという規定を設けた。われわれは、これらの規定が確実に履行されることを希望してやまない。中米両国の関係は、主権と領土保全の相互尊重、相互内政不干渉という原則を真に遵守してこそ、ひきつづき健全な発展をとげることができるのである。

   (中略)

 われわれは、ソ連の指導者が一再ならず中国との関係を改善したいと表明していることに留意している。だが、重要なのは言葉ではなく、行動である。もしもソ連当局が確かに中国との関係を改善したいという誠意をもち、しかも、わが国の安全への脅威を取りのぞく実際的措置をとるなら、中ソ両国の関係は正常化に向かう可能性がある。中国人民とソ連人民は古くからの友情を持っており、中ソの国家関係がまだどのような状況に置かれていようとも、われわれはともにこの友情を守り、発展させるよう努めるであろう。

 現在、世界各国の平和共存をおびやかしている主な勢力は、帝国主義、覇権主義、植民地主義である。もちろん、旧い植民地主義体制は、もと植民地であった百近い国があい前後して独立したために瓦解してしまった。だが、その残滓がのこらず一掃されたと言うにはほど遠い。しかも、覇権主義をおしすすめる超大国がいままた世界人民への新たな脅威となっている。超大国は世界制覇の目的から、他のいかなる国をもはるかに上回る軍事力によって、世界的範囲の争奪をくりひろげ、世界の不安定と動乱の主な根源となっているのである。

   (中略)

 中国はまだ発展途上の国である。だが、われわれは運命をともにしてきた第三世界の諸国に、一貫してできる限りの援助をあたえてきた。貧しきをうとんじて、富めるものにへつらい、弱きをしいたげて、強きを恐れるという考え方や行為を、中国人民は一貫してさげすんできた。第三世界の諸国にたいするわれわれの友情は、真心からのものである。互恵協力であれ、援助提供であれ、われわれは相手側の主権を厳格に尊重し、いかなる条件もつけたことはなく、いかなる特権も要求したことはない。今後、わが国の経済健設の発展にともなって、われわれは第三世界の諸国およぴ人民との友好協力をたえず拡大してゆくであろう。

   (中略)

 わが国は十億の人口を擁する大国であるから、世界にたいしてかなりの大きな貢献をすべきであり、人びとがわれわれに期待を寄せるのも当然である。だが、われわれがこれまでになしとげたことは、われわれのなすべきことに比べると、まだはるかに隔たりがある。われわれは、さらに努力して自身の建設につとめ、世界平和の擁護、人類進歩の促進のためにしかるべき役割を果たさなければならない。

   (後略)