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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] SDIに関するレーガン大統領演説(戦略防衛構想に関するレーガン大統領の国民への演説)

[場所] 
[年月日] 1983年3月23日
[出典] 現代国際関係の基本文書(下),一般財団法人鹿島平和研究所編,日本評論社,174-177頁
[備考] 
[全文] 

戦略防衛構想に関するレーガン大統領の国民への演説

1983年3月23日

 (前略)

 今夜これまで、直面する国家安全保障上の課題について私の考えを述べてきた。歴代の大統領が国民に対し、ソ連の軍事力の脅威を説明し、その脅威に対処する措置を提案してきた。しかし、核兵器の登場以来これらの措置は、次第に、報復の約束に基づく侵略抑止に向けられてきた。

 攻撃的脅威を通じて安定性を求めるこのアプローチは機能した。我が国と同盟国は過去30年以上にわたって核戦争の防止に成功してきた。しかしながら、ここ数ヵ月、特に統合参謀本部を含め私のアドバイザーは、我が国の安全保障のために、将来は、攻撃的報復のみに依存することから脱却する必要性を強調している。

 この議論の過程で私は、人間の精神は、他国及びその人民に対する際その存在を威嚇するより以上のことができなければならないと深く確信するようになった。その結果、緊張緩和のため、また、双方の戦略的計算上一層の安定性をもたらすために、あらゆる可能性を十分検討しなければならないと信じるにいたった。

われわれの出来る最も重要な貢献は、すべての兵器、特に核兵器のレベルを下げることである。現在、ソ連との間で軍備相互削減のために交渉中であるが、1週間後この点について私の考えを明らかにしたい。私は軍備削減を遂行する決心である。

 もし、ソ連がわれわれとともに大幅な軍備削減の努力をするなら核均衡を安定化することに成功するだろう。ただそれでも、報復の恐怖と相互威嚇に依存する必要はなくならないだろう。これは、人間の条件についての悲しい記述である。報復するよりも命を救うほうが良くはないであろうか。真に永続的な安定を目指してわれわれの能力と独創性を発揮することにより、われわれの平和的意図を示すことができるのではないか。それは可能であるし、そうしなければならない。

 統合参謀本部を含む私のアドバイザーとの慎重な協議の結果、方策があると確信した。希望を与える将来のヴィジョンを説明しよう。それは、防衛的な手段によってソ連の強大なミサイル脅威に対抗する計画を開始することである。われわれの偉大な産業基盤を生み、現在の生活の質を与えてくれた技術力に注目しよう。

 自由な国民が、自らの安全は、ソ連の攻撃を抑止するアメリカの即時報復の威嚇に依存するのではなく、戦略弾道ミサイルがわれわれまたは同盟国の領土に達する前に迎撃し、破壊できることを知りつつ、安心して生きることができるとしたら、どうであろうか。

 この計画は技術的にきわめて困難な作業であり、今世紀末までに達成されないもしれない。それでも現在の技術は、この努力を始めるのが妥当と言えるレベルに達している。多くの面で何年、多分、何十年もの努力が必要で、成功や躍進と同様、失敗や後退もあるであろう。その間、われわれは核抑止力と強固な柔軟反応能力を維持し続けなければならない。これは、世界を核戦争の脅威から解放するために必要とされる、あらゆる投資に値すると考える。

 (中略)

 私は、防衛システムには限界があり、いくつかの問題や不明確さを伴うということを認識している。それが攻撃システムと組み合わされれば、攻撃的な政策とみなされるが、それは望むところではない。これらの点をしっかり見据えた上で、核兵器を開発した我が国の科学コミュニティーに対し、これから彼らの才能を、人類及び世界平和の大義のために核兵器を無力化し、時代遅れにするために使うことを求めたい。

 私は今夜、ABM条約上の義務を遵守し、かつ同盟国との緊密な協議の必要を認識しつつ、重要な第一歩を踏み出すことを表明する。つまり、戦略核ミサイルの脅威を除去するという究極的目標を達成するための長期的な研究開発計画の策定に向けた包括的、集中的努力を指示する。これは、核兵器自体を撤廃する軍備管理措置への道を開くものである。われわれは軍事的優位も政治的利益も追求しない。唯一の目的は、これはすべての人々が共有するものであるが、核戦争の危険を減少させる方法を探ることである。

 国民のみなさま、今夜、われわれは人類の歴史を変える望みのある努力を始めるのである。リスクはあるし、結果が出るまで時間がかかるであろうが、成し遂げることができると確信する。みなさまの祈りと支持をお願いする。