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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 南太平洋非核地帯条約(ラロトンガ条約)

[場所] 
[年月日] 1985年8月6日
[出典] 現代国際関係の基本文書(下),一般財団法人鹿島平和研究所編,日本評論社,314-319頁
[備考] 
[全文] 

南太平洋非核地帯条約(ラロトンガ条約)

署名:1985年8月6日


前文(略)

第1条(用語の使用法)この条約及びその議定書の適用上、

(a)「南太平洋非核地帯」とは、附属書Ⅰに規定された地域で、同附属書に添付された地図で示された地域をいう。

(b)「領域」とは、内水、領域及び群島水域、その海底及び地下、陸地並びにそれらの上部空域をいう。

(c)「核爆発装置」とは、その使用目的の如何にかかわらず、あらゆる核兵器又は核エネルギーを放出することのできる他の爆発装置をいう。この用語には、組み立てられていない形及び部分的に組み立てられた形のそれらの兵器又は装置は含まれるが、それらの兵器又は装置の輸送又は運搬の手段は、兵器から分離可能であり、その不可分の部分でない場合には、含まれない。

(d)「配置」とは、備付け、設置、陸地又は内水における輸送、貯蔵、保管、取付け及び配備をいう。

第2条(条約の適用)1. この条約及びその議定書は、別段の規定がある場合を除くほか、南太平洋非核地帯内の領域に適用する。

 2. この条約のいかなる規定も、海洋の自由に関する国際法に基づいて国家が有する権利若しくは権利の行使を害するものではなく、又は、いかなる方法でもそれらに影響を与えるものでもない。

第3条(核爆発装置の放棄)各締約国は、次のことを約束する。

(a)南太平洋非核地帯の内部又は外部のいかなる場所においても、いかなる手段によっても核爆発装置を製造せず、又はその他の方法で取得、所有若しくは管理しないこと。

(b)核爆発装置の製造又は取得について、いかなる援助をも求めず又は受けないこと。

(c)いかなる国による核爆発装置の製造又は取得を援助し又は奨励するいかなる行動をもとらないこと。

第4条(平和的原子力活動) 各締約国は、次のことを約束する。

(a)原料物質若しくは特殊核分裂性物質、又は平和目的のための特殊核分裂性物質の処理、使用若しくは生産のために特に設計され若しくは作成された設備若しくは資材を供給しないこと。

(ⅰ)非核兵器国に対してはNPT第3条1により要求される保障措置に従わない限り、

(ⅱ)核兵器国に対しては適用しうる国際原子力機関(IAEA)との補償措置協定に従わない限り、

いかなる供給も、もっぱら平和的非爆発利用であることを保証する厳格な不拡散措置に合致しなければならない。

(b)NPT及びIAEA保障措置制度に基づく国際不拡散制度が継続して有効性を持つよう支援すること。

第5条(核爆発装置の配置の防止)1. 各締約国は、その領域においていかなる核爆発装置の配置をも防止することを約束する。

 2. 各締約国は、その主権的権利を行使して、外国の船舶及び航空機による自国の港及び飛行場への寄港、外国の航空機による領空の通過、並びに無害通航、群島航路帯通航又は海峡の通過通航の権利に含まれない方法での外国の船舶による領海又は群島水域の航行を許可するかどうかを自ら自由に決定することができる。

第6条(核爆発装置の実験の防止) 各締約国は、次のことを約束する。

(a)その領域においていかなる核爆発装置の実験をも防止すること。

(b)いかなる国によるいかなる核爆発装置の実験をも援助し又は奨励するいかなる行動をもとらないこと。

第7条(投棄の防止)1. 各締約国は、次のことを約束する。

(a)南太平洋非核地帯内のいかなる海洋にも放射性廃棄物及び他の放射性物質を投棄しないこと。

(b)自国の領海における放射性廃棄物及び他の放射性物質のいかなる者による投棄をも防止すること。

(c)南太平洋非核地帯内のいかなる海洋においても、放射性廃棄物及び他の放射性物質のいかなる者による投棄をも援助し又は奨励するいかなる行動もとらないこと。

(d)南太平洋地域のいかなる場所におけるいかなる者による放射性物質及び他の放射性物質の海洋での投棄をも排除するため、南太平洋地域の天然資源及び環境の保護に関して提案されている条約並びに投棄による南太平洋地域の汚染の防止のための議定書をできるだけ早期に締結することを支持すること。

 2. 本条の1(a)及び1(b)は、1(d)にいう条約及び議定書が効力を生じている南太平洋非核地帯の地域には適用されない。

第8条~第16条(略)



 議定書 I

第1条 各締約国は、南太平洋非核地帯内に位置し国際的に責任をもつ領域に関して、それらの領域内での核爆発装置の製造、配置及び実験の禁止に関わる限りにおいて第3条、第5条及び第6条に含まれる禁止、並びに第8条2項(c)及び条約附属書Ⅱに詳しく規定されている保障措置を適用することを約束する。

第2条 各締約国は、条約第11条に従って条約の改正が効力を発生することにより生ずるこの議定書上の義務の変更を、寄託者への書面の通知により、その通告の日から受託することを示すことができる。

第3条 この議定書はフランス共和国、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国並びにアメリカ合衆国による署名のため解放される。

第4条~第6条(略)

〔批准国:フランス、英国、署名国:米国(2012年1月1日現在)〕



 議定書 II

第1条 各締約国は、(a)条約締約国に対して、又は(b)議定書Ⅰの締約国になった国が国際的に責任をもっている南太平洋非核地帯内の領域に対して、いかなる核爆発装置をも使用し又は使用するとの威嚇を行わないことを約束する。

第2条 各締約国は、条約の違反となる条約締約国のいかなる行為にも、又は議定書の違反となる他の議定書締約国のいかなる行為にも寄与しないことを約束する。

第3条 各締約国は、条約第11条に従って条約の改正が効力を発生することにより、又は条約第12条3項に従って南太平洋非核地帯が拡張されることにより生ずるこの議定書上の義務の変更を、寄託者への書面の通告により、その通告の日から受託することを示すことができる。

第4条 この議定書は、フランス共和国、中華人民共和国、ソビエト社会主義共和国連邦、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国並びにアメリカ合衆国による署名のため開放される。

第5条~第7条(略)

〔批准国:中国、フランス、英国、ロシア連邦、署名国:米国(2012年1月1日現在)〕



 議定書 III

第1条 各締約国は、南太平洋非核地帯内のいかなる場所においても核爆発装置の実験を行わないことを約束する。

第2条 各締約国は、条約第11条に従って条約の改正が効力を発生することにより、又は条約第12条3項に従って南太平洋非核地帯が拡張されることにより生ずるこの議定書上の義務の変更を、寄託者への書面の通告により、その通告の日から受託することを示すことができる。

第3条 この議定書は、フランス共和国、中華人民共和国、ソビエト社会主義共和国連邦、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国並びにアメリカ合衆国による署名のため開放される。

第4条~第6条(略)

〔批准国:中国、フランス、英国、ロシア連邦、署名国:米国(2012年1月1日現在)〕