データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 新しい欧州のためのパリ憲章:民主主義、平和及び統一の新時代(CSCEパリ憲章,全欧安全保障協力会議パリ憲章)

[場所] 
[年月日] 1990年11月21日
[出典] 現代国際関係の基本文書(上),一般財団法人鹿島平和研究所編,日本評論社,723-729頁
[備考] 署名:1990年11月21日
[全文] 

 われわれ、欧州安全保障・協力会議に参加している国家の元首及び首相は、大きな変革と歴史的な期待が生じているこの時期にパリに集まった。欧州の対立と分割の時代は終わった。われわれは、これからのわれわれの関係は尊敬と協力に基づくことになることを宣言する。

 欧州は過去の遺産から解放されつつある。男や女の勇気、諸国民の意志の力、そしてヘルシンキ最終文書の理想の力が欧州における民主主義、平和及び統一の新しい時代を切り開いた。

 われわれの時代は、われわれ諸国民が何十年も育んできた希望と期待を実現しつつある時代である。すなわち、人権と基本的自由に基づく民主主義に対する確固とした関与、経済的自由と社会正義にもとづく繁栄、並びにわれわれ全ての国に対する平等な安全保障への希望と期待である。

 最終文書の10原則は、同原則が過去15年間によりよい関係に至る道程を照らしてくれたように、われわれを野心的な未来へと導いてくれるであろう。CSCEのすべての約束の全面的な実施は、われら諸国民が望んでいるように生きていくためにとり始めたイニシアチブの基礎を形造ってくれるに違いない。

   (中略)

将来のためのガイドライン


   (中略)

 すべてのCSCEの原則と規定を全面的に実施するという固い誓約にもとづき、今やわれわれは、われらの国民の要望に応えるため、われわれの協力が均衡がとれ、かつあまねく進展するよう新たなはずみをつけることを決意する。

   (中略)

安全保障


 欧州における政治的及び軍事的な環境の変化は、軍事的安全保障の分野における共同の努力にとって新しい可能性を開くものである。われわれは、欧州における通常兵力に関する条約、並びに信頼及び安全保障醸成措置に関する交渉が達成した重要な成果をさらに発展させる。われわれは、CSBM交渉を同一の任務の下に継続し、遅くとも1992年にヘルシンキで開催されるCSCEのフォローアップ会合までにそれを完了するよう努力することを約束する。われわれはまた、CFE交渉を同一の任務の下に継続し遅くともヘルシンキ・フォローアップ会合までにそれを完了するように努力するという、関係参加国の決定を歓迎する。国別の準備の期間に引き続き、われわれは、安全保障問題に関するすべての参加国の間のより組織的な協力に期待し、並びに、すべての参加国に開かれた軍縮並びに信頼及び安全保障醸成に関する新しい交渉をヘルシンキ・フォローアップ会合の終結から1992年までに立ち上げることを目的とした、34の参加国の間の討議及び協議に期待する。  われわれは、効果的に検証できる、普遍的且つ包括的な化学兵器の禁止に関する条約のできる限り速やかな締結を求める。われわれはその原署名国となるつもりである。  われわれは、オープンスカイズ・イニシアティブの重要性を再確認し、その交渉のできるだけ速やかな成功を求める。  欧州における紛争の恐れは低下したが、それ以外の危険がわれわれの社会の安定を脅かしている。われわれは、参加国の独立、主権平等又は領土保全を侵害する諸活動から民主的制度を守るために協力する決意である。これらは、外部からの圧力、強制及び破壊活動を伴う違法な諸活動を含むものである。  われわれは、テロリズムのすべての行為、手段及び慣行を犯罪として留保なく非難し、二国間及び多数国間の協力を通じてその撲滅のために努力するという決意を表明する。われわれはまた、麻薬の違法な取引と闘うために力をあわせる。  紛争の平和的解決は武力による威嚇又は武力の行使を慎む国家の義務を補う極めて重要なものであり、双方とも国際の平和及び安全の維持及び強化にとって不可欠の要素であることを自覚して、われわれは、なお生じるかもしれない紛争を政治的手段で防止する効果的な方法を追求するだけでなく、生じるかもしれないいかなる紛争も平和的に解決するための適当な機構を国際法に従って定める。したがってわれわれは、この分野において新しい形態の協力を、とりわけ、第三者の義務的な関与を含む紛争の平和的解決のための一連の手段を追求することを約束する。われわれはこれに関連して、ヴァレッタにおいて1991年の初めに開催される予定の紛争の平和的解決に関する会合の機会を十分に利用すべきことを強調する。外務大臣協議会はヴァレッタ会合の報告書を考慮に入れる。

   (中略)


CSCEプロセスの新しい組織及び制度


 人権、民主主義及び法の支配の尊重を定着させ、平和を強化し、欧州における統一を促進するわれわれの共同の努力は、新しい質の政治的対話及び協力を必要とし、したがってCSCEの組織の発展を必要とする。

 すべてのレベルにおけるわれわれの協議の強化が、われわれの将来の関係を形作る際には最も重要である。このためにわれわれは、以下のことを決定する。

 われわれ国家又は政府の首脳は、次回はヘルシンキにおいて1992年のCSCEのフォローアップ会合の折に会合する。その後は、われわれはその後のフォローアップ会合の折に会合する。

 われわれの外務大臣は、定期的に且つ少なくとも年1回は協議会として会合する。これらの会合は、CSCEプロセスの一環としての政治的協議の中心的なフォーラムをなすであろう。協議会は、欧州安全保障・協力会議に関連する諸問題を検討し適切な決定を行う。

 協議会の最初の会合はベルリンにおいて開催される。

 高官委員会は、協議会の会合の準備を行いその決定を実施する。

 委員会は、その時々の諸問題を検討し、協議会への勧告を含む適切な決定を行いうる。

 緊急の問題を議論するために、参加国の代表による追加的な会合が決定されることがある。

 協議会は、緊急の事態において高官委員会の会合を招集するための規定の作成を検討する。

 その他の大臣による会合も参加国により決定されることがある。

 これらの協議の運営を支援するために、われわれはプラハに事務局を設置する。

 参加国が状況を分析し、コミットメントの実現を精査し、そしてCSCEプロセスにおける更なる措置を検討することを可能にするために、参加国によるフォローアップ会合は原則として2年ごとに開催される。

 協議会が紛争の危険を低減させるのを支援するために、われわれはウィーンに紛争予防センターを創設することを決定する。

 接触及び参加国内での選挙に関する情報の交換を促進するために、われわれはワルシャワに自由な選挙のための事務所を設置することを決定する。

 国会議員がCSCEプロセスにおいて果たしうる重要な役割を承認して、われわれは、特にすべての参加国の議会構成員を集めるCSCE議員会議の創設を通じて、CSCEに国会議員がより関与することを望む。このためにわれわれは、そのようなCSCE議員組織の活動分野、作業方法及び手続規則をこの分野におけるこれまでの経験及び既に達成された成果を参考にしつつ議論するために、議員レベルで接触が追求されることを切望する。

   (後略)