データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 独立国家共同体協定(CIS協定)

[場所] 
[年月日] 1991年12月8日
[出典] 現代国際政治の基本文書,一般財団法人鹿島平和研究所編,原書房,799-803頁
[備考] 署名:1991年12月8日
[全文] 

 我々、ソ連邦の創設国家として1922年の連邦条約に署名した白ロシア共和国、ロシア共和国、ウクライナ(以下締約国という)は、国際法主体及び地政学的現実としてのソ連邦はその存在を終止していることを確認する。

 我々の国民の歴史的共通性と我々の国民の間に生じた関係に立脚し、締約国間で締結された二国間条約を考慮し、民主的法治国家を建設することを希求し、国家主権の相互承認及び尊重、自決に対する固有の権利、平等な権利と内政不干渉の諸原則、武力の行使及び経済的又はあらゆる他の圧力手段の放棄、調停手段による係争関係の解決、その他一般的に認められた国際法の諸原則及び諸規範に基づいてその関係を発展させることを意図し、我々国家間の友好、善隣、互恵的協力関係の一層の発展と強化は、それらの国民の根本的な利益に応え、かつ、平和と安全に寄与するものと考え、国連憲章、CSCEヘルシンキ最終文書その他のCSCEの諸文書の諸目的と諸原則に対する自らの忠誠を確認して、人権及び民族の権利に関する一般的に認められた国際的規範を遵守する義務を負って、次のとおり合意した。

第1条 締約国は、独立国家共同体を形成する。

第2条 締約国は、自国市民に対し、民族或いはその他の差異に拘わらず、同等の権利と自由を保証する。各締約国は、他の締約国の市民及び同締約国の領域内に居住する無国籍者に対し、民族的属性、或いはその他の差異に拘わらず、認められた人権に関する国際的規範に従い、市民的、政治的、社会的、経済的、文化的権利と自由を保障する。

第3条 締約国は、その領域内に居住する少数民族及び独特の民族文化を有する地域の民族的、文化的、言語的、宗教的独自性の現われ、保持及び発展を促進することを願い、彼らを自らの保護の下に置く。

第4条 締約国は、政治、経済、文化、教育、保健、環境保護、科学、貿易の分野及び人文その他の分野での各国、各国民の平等で互恵的な協力を発展させ、広範な情報交換を促進し、良心的にかつ厳格にお互いの義務を遵守する。締約国は、上記の各分野での協力に関する協定の締結が必要であると考える。

第5条 締約国は、共同体の枠内で相互の領土保全及び既存の国境の不可侵を認めかつ尊重する。

 締約国は、共同体の枠内で国境の公開性、市民の移動、情報伝達の自由を保証する。

第6条 共同体のメンバー国は、国際的平和及び安全保障の確保並びに軍備及び軍事支出の削減のための効果的な措置の遂行に協力する。これら諸国は、全ての核兵器の廃絶、厳格な国際的管理の下での包括的完全軍縮を志向する。

 締約国は、非核地帯及び中立国の地位の獲得への志向を相互に尊重する。

 共同体のメンバー国は、特別協定によって実施手続きが定められる核兵器に対する統一的管理を含む、統一的指揮の下での共通の軍事戦略空間を維持し、支持する。

 これら諸国は更に、戦略軍の配備、機能、物質及び社会的保障の必要条件を共同で保障する。当事国は、軍人及びその家族の社会的保護及び年金保証の問題に関し、協調した政策を実行する義務を負う。

第7条 締約国は、共通の調整機関を通じて、平等の基礎の上に実現される共同の活動領域には以下が含まれることを認める。

−対外政策活動の調整

−共通経済空間、全欧州及びユーラシア市場の形成及び発展、関税政策における協力

−運輸及び通信システムの発展における協力

−環境保護の分野における協力、環境安全の、包括的国際システムの創設への参加

−移民政策の問題

−組織犯罪との闘い

第8条 当事国は、チェルノブイリ事故の地球的性格を認め、その結果生じた事態の最小化及び克服のための努力を調整し、統合する。

 これら諸国は、この目的で、事故の結果生じた事態の重大さを考慮した特別協定を締結することに合意した。

第9条 本協定の規定の解釈・適応に関する紛争は、関係機関間の交渉により、また、必要な場合には、政府及び国家の長のレベルでの交渉により、解決されなければならない。

第10条 各締約国は、協定加盟国に対する一年前の通告をもって、本協定或いはその個々の条項の効力を停止する権利を留保する。

 本協定の規定は、締約国の相互の同意により、補足し又は修正することができる。

第11条 本協定の署名の時点から、同協定に署名した国家の領域内では、旧ソ連邦を含む第三国の規範の適用は許容されない。

第12条 締約国は、旧ソ連邦の条約及び協定から派生する自国の国際的義務の遂行を保証する。

第13条 本協定は、第三国に対する締約国の義務に抵触するものではない。

 本協定は、旧ソ連邦の構成員であったすべての国家の加入のために、また本協定の目的と原則に同調するその他の国家のためにも開放されている。

第14条 共同体の調整機関の公式所在地はミンスク市とする。

 旧ソ連機関の活動は、共同体のメンバー国家の領域内においては、停止される。

(後略)

[署名欄](略)