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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] プーチン・ロシア連邦大統領によって承認された「ロシア連邦対外政策の概念」(ロシア外交政策構想(プーチン大統領))

[場所] 
[年月日] 2000年6月28日
[出典] 現代国際関係の基本文書(上),一般財団法人鹿島平和研究所編,日本評論社,808-811頁
[備考] 
[全文] 

  I 総論

 「ロシア連邦の対外政策の概念」は、ロシアの対外政策活動の内容と基本方向に対する見解の体系を構成するものである。

 本「概念」の法的基盤を成すものは、ロシア連邦憲法、連邦の法律、対外政策の領域における連邦国家権力機関の活動を規定するその他のロシア連邦の法令、国際法の一般に認められた諸原則や規範、ロシア連邦の国際条約、並びに2000年1月10日付ロシア連邦大統領令第24号で承認された「ロシア連邦の国家安全保障の概念」である。

 21世紀の始まりに向けて形成された国際情勢は、ロシア連邦をめぐる状況全般、ロシア対外政策の優先事項およびそのリソース確保の可能性を再考することを要求している。ロシア連邦の国際的立場の一定の強化と並んで、否定的傾向も現われている。ロシアと周辺世界の平等互恵のパートナー関係の形成に結びつくいくつかの見込みは、1993年4月23日付のロシア大統領命令第284号で承認された「ロシア連邦の対外政策概念の基本規定」その他の文書において予測されたようには的中しなかった。

 ロシアの対外政策方針の最高の優先課題は、個人および社会の利益を擁護することである。このプロセスの枠内において最大の努力を向けられなければならないのは、以下の基本的目標を達成することである。

(1)国の信頼しうる安全保障を確保すること、その主権と領土を維持・強化すること、世界社会における強固で権威ある立場を実現すること。それらは大国として、現代世界の有力な中心の一つとしてのロシア連邦の利益に最大限合致し、その政治的、経済的、知的および精神的な実力の増大にとって不可欠である。

(2)何よりまず国連憲章の目的と諸原則を含む国際法の一般に認められた基準、国家間の対等のパートナー関係に基づいた、安定、公正、民主主義の世界秩序形成を目的とした全世界的プロセスへの影響力を行使すること。

(3)ロシアの着実な発展、その経済の興隆、住民の生活水準の向上、民主的改革の順調な推進、憲法体制の諸原則の強化、人間の権利と自由の順守にとって好適な対外条件を整えること。

(4)ロシア国境の全周に善隣地帯を形成し、ロシア連邦に隣接する地域での緊張や紛争の現存する温床の除去および潜在的温床の予防を促すこと。

(5)ロシアの国家的優先順位を決する課題を解決するプロセスにおいて諸外国や国家連合との合意や一致する利害を探求すること。これに基づいて国際的連携の条件や指標を改善するパートナー関係、同盟関係を構築すること。

(6)国外におけるロシア国民や同胞の権利と利益を全面的に擁護すること。

(7)世界におけるロシア連邦の肯定的理解、諸外国におけるロシア語やロシア諸民族の文化の普及を促すこと。

 II 現代世界とロシア連邦の対外政策(略)

 III グローバル問題解決におけるロシア連邦の優先課題(略)

 IV 地域的優先事項

 (中略)

 ロシア連邦は日本との関係の着実な発展、双方の国の国益に合致した真の善隣関係の達成を主張していく。現在の交渉メカニズムの枠内においてロシアは、両国間の国際的に承認された国境線形成の互いに受け入れられる解決策の探求を続けていく。

 (中略)

 V ロシア連邦対外政策の形成と実現(略)