データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] アフリカ連合設立規約(AU設立規約)

[場所] 
[年月日] 2000年7月11日
[出典] 現代国際政治の基本文書,一般財団法人鹿島平和研究所編,原書房,888-897頁.
[備考] 採択:2000年7月11日
[全文] 

〔前文〕(略)

第1条(定義)(略)

第2条(設立) アフリカ連合は、これにより、この設立規約の諸規定に従って設立される。

第3条(目的) この連合の目的は、次のとおりである。

(a) アフリカ諸国とアフリカ諸人民間のより一層の統一及び連帯を達成すること。

(b) 加盟国の主権、領土保全及び独立を防衛すること。

(c) アフリカ大陸の政治的及び社会経済的な統合を加速すること。

(d) アフリカ大陸及びアフリカ諸人民に関心のある諸問題につき、アフリカ共通の立場を促進し、かつ擁護すること。

(e) 国連憲章及び世界人権宣言に妥当な考慮を払いつつ、国際協力を促進すること。

(f) アフリカ大陸の平和、安全及び安定を促進すること。

(g) 民主的な諸原則及び諸機関、人民参加及び善良な統治を促進すること。

(h) 人及び人民の権利に関するアフリカ憲章及び関連する他の人権諸条約に従って、人及び人民の権利を促進し、かつ保護すること。

(i) 特に政治、経済及び社会文化の分野での意思決定に女性の実効的な参加を確保すること。

(j) 世界経済及び国際的な交渉において、アフリカ大陸が正当な役割を果たすために、必要な諸条件を確立すること。

(k) 経済的、社会的及び文化的段階での持続可能な開発、並びにアフリカ経済の統合を促進すること。

(l) アフリカ人民の生活水準を向上させるために、人的活動のあらゆる分野で協力を促進すること。

(m) この連合の目的を漸進的に達成するため、現行の及び将来の地域的経済共同体間の政策を協調かつ調和させること。

(n) あらゆる分野、特に科学技術における研究を促進することにより、アフリカ大陸の発展を前進させること。

(o) アフリカ大陸における予防可能な病気の撲滅及び保健の促進につき、関連する国際的なパートナーとともに協働すること。

(p) アフリカ大陸の防衛を確保し、かつその交渉の立場を強化するために、貿易、防衛及び外交関係に関する共通政策を発展させ、かつ促進すること。

(q) 我々の大陸の重要な一部として、アフリカ連合の設立にあたって、離散したアフリカ人の完全なる参加を招請し、かつ奨励すること。

第4条(原則) 連合は、以下の諸原則に従って活動する。

(a) 連合加盟国間の主権平等及び相互依存

(b) 独立達成の際に存在する国境の尊重

(c) アフリカ諸人民による連合の活動への参加

(d) アフリカ大陸に共通の防衛政策を樹立すること

(e) 会議で決定される適切な手段による、連合加盟国間の紛争の平和的解決

(f) 連合加盟国間における、武力の行使又は武力による威嚇の禁止

(g) 加盟国による他の加盟国の国内事項への不干渉

(h) 重大な事項、すなわち、戦争犯罪、集団殺害及び人道に対する罪に関する会議の決定に従って、連合が加盟国に介入しうる権利

(i) 加盟国の平和的共存及び平和的かつ安全に生活する加盟国の権利

(j) 平和と安全を回復するために、加盟国が連合の介入を要請しうる権利

(k) 連合の枠内における独立独行の促進

(l) ジェンダーの平等の促進

(m) 民主的な諸原則、人権、法の支配及び善良な統治の尊重

(n) 均衡の取れた経済発展を確保するための社会正義の促進

(o) 人命の尊厳の尊重、免責及び政治的暗殺並びにテロ行為及び破壊活動の非難及び拒否

(p) 憲法に違反する政府の変更の非難及び拒否

(q) すべての加盟国による連合の原則及び目的と両立しないあらゆる条約又は同盟への加入の抑制

(r) 加盟国が他の加盟国に対する政府転覆活動の基地として自国領土の使用を認めることの禁止

第5条 (連合の機関) 1. 連合の機関は、次のものとする。

(a) 連合会議

(b) 執行理事会

(c) 全アフリカ議会

(d) 司法及び人権裁判所

(e) 委員会

(f) 平和・安全保障理事会

(g) 常駐代表委員会

(h) 専門技術委員会

(i) 経済、社会及び文化評議会

(j) 金融機関

 2. 会議により設立が決定される他の機関

第6条 (会議) 1. 会議は、元首及び政府の長又は信任状が良好妥当であると認められた代表者で構成する。

 2. 会議は、連合の最高機関である。

 3. 会議は、少なくとも年1回の通常会期を開催する。

 4. 会議は、すべての加盟国による十分な協議の後、又はいずれかの加盟国による要請でかつ加盟国の3分の2の承認に基づいて、議長の発議により特別会期を開催する。

 5. 会議は、通常会期の冒頭、元首又は政府の長の中からその議長を選出する。議長は、輪番制で1年毎の交代とする。

 6. 議長は、衡平な地理的配分に基づき会議が選出した事務局によって支援を受ける。

 7. 会議が本部で開催される場合、輪番の原則に配慮し、議長の選出が行われる。

第7条 (会議の決定) 1. 会議は、コンセンサスにより、又はコンセンサスに達しない場合には、連合加盟国の3分の2の多数により、決定を行う。ただし、手続事項は、ある事項が手続事項であるか否かという問題を含めて、過半数によって決定される。

 2. 会議のいずれの会合においても、すべての連合加盟国3分の2を定足数とする。

第7条の2 (議長の権限)

 1. 議長は、その任期中、規約第3条及び4条に規定するアフリカ連合の目的及び原則を促進することを目的として、アフリカ連合を代表する。議長はまた、委員会の委員長と協力して、規約第9条(e)及び(g)に規定する会議の任務を遂行する。

 2. 議長は、委員会長又は理事会の長を通じ、及び各自の手続規則に従って、他の機関の会合を召集することができる。

第8条 (会議の手続規則) 会議は、自己の手続規則を採択することとする。

第9条 (会議の権限及び任務) 1. 会議は、その任務として、次のことを行う。

(a) 連合の共通政策を決定すること。

(b) 連合の他の機関から報告書及び勧告を受領し、検討し、かつそれらについて決定を下すこと。

(c) 連合加盟国の要請を審議すること。

(d) 連合の機関を設立すること。

(e) 連合の政策及び決定の実施を監視し、並びにすべての加盟国による遵守を確保すること。

(f) 連合の予算を採択すること。

(g) 紛争、戦争及びその他の緊急事態への対処並びに平和の回復に関して、執行理事会に命令を下すこと。

(h) 司法裁判所の裁判官を任命及び解任すること。

(i) 委員会の委員長、副委員長及び委員を任命し、それぞれの任務及び任期を決定すること。

 2. 会議は、そのいずれの権限及び任務についても、連合のいずれかの機関へ委譲することができる。

第10条 (執行理事会) 1. 執行理事会は、外務大臣又は加盟国政府が任命する他の大臣若しくは当局で構成する。

 2. 執行理事会は、少なくとも年2回の通常会期を開催する。また、執行理事会は、いずれかの加盟国が要請し、かつすべての加盟国の3分の2が承認する場合には、特別会期を開催する。

 3. 執行理事会の議長は、衡平な地理的配分に基づいて執行理事会が選出した事務局によって支援を受ける。

第11条 (執行理事会の決定) 1. 執行理事会は、コンセンサスにより、またはコンセンサスに達しない場合には、加盟国の3分の2の多数により、決定を行う。ただし、手続事項は、ある事項が手続事項であるか否かという問題を含めて、過半数によって決定される。

 2. 執行理事会のいずれの会合においても、すべての連合加盟国の3分の2を定足数とする。

第12条 (執行理事会の手続規則) 執行理事会は、その手続規則を採択することとする。

第13条 (執行理事会の任務) 1. 執行理事会は、次のことを含めて、加盟国が共通して関心を有する分野での政策を調整し、決定する。

(a) 対外貿易

(b) エネルギー、産業及び鉱物資源

(c) 食糧、農業及び動物資源、畜産及び林業

(d) 水資源及び灌漑

(e) 環境保護、人道的活動及び災害への対応並びに救助

(f) 輸送及び通信

(g) 保険

(h) 教育、文化、保健及び人的資源の開発

(i) 科学技術

(j) 国籍、居住及び移民に関する事項

(k) 母子保護政策の策定、並びに身体障害者及び知的障害者に関する政策を含む社会保障

(l) アフリカ賞、勲章及び賞与制度の設立

 2. 執行理事会は、会議に対して責任を負う。執行理事会は、会議に付託された諸問題を検討し、及び会議が制定した政策の実施を監視する。

 3. 執行理事会は、上記1に規定するいずれの権限及び任務についても、次条の下で設立される専門技術委員会に委譲することができる。

第14条〜第16条(略)

第17条 (全アフリカ議会) 1. アフリカ大陸の発展及び経済統合へのアフリカ人民の完全な参加を確保するために、全アフリカ議会を設立する。

 2. 全アフリカ議会の構成、権限、任務及び組織は、それに関連する議定書で定義する。

第18条 (司法裁判所) 1. 連合の司法裁判所を設立する。

 2. 司法裁判所の規程、構成及び任務は、それに関連する議定書で定義する。

第19条 (金融機関) 連合は、次の金融機関を有する。金融機関の規則及び規定は、それに関連する議定書で定義する。

(a) アフリカ中央銀行

(b) アフリカ通貨基金

(c) アフリカ投資銀行

第20条 (委員会) 1. 連合の委員会を設立し、連合の事務局とする。

 2. 委員会は、委員長、副委員長及び委員で構成する。委員長、副委員長及び委員は、委員会の任務を円滑に行うために必要な職員により補助される。

 3. 委員会の構成、任務及び規則は、会議が決定する。

第20条の2 (平和・安全保障理事会) 1. 紛争の防止、管理及び解決のための常設的意思決定機関である平和・安全保障理事会を設立する。

 2. 平和・安全保障理事会の任務、権能、構成及び組織は会議で決定し、それに関連する議定書に規定する。

第21条 (常駐代表委員会) 1. 常駐代表委員会を設立する。常駐代表委員会は、連合の常駐代表及びその他の加盟国全権使節で構成する。

 2. 常駐代表委員会は、執行理事会の作業を準備し、執行理事会の指示に基づき活動する責任を負う。常駐代表委員会は、必要とみなす補助委員会又は作業部会を設立することができる。

 3. 常駐代表委員会の委員長は、衡平な地理的配分に基づいて会議が選出した事務局によって支援を受ける。

第22条 (経済、社会及び文化評議会) 1. 経済、社会及び文化評議会は、連合加盟国の様々な社会的及び専門的集団で構成される諮問機関である。

 2. 経済、社会及び文化評議会の任務、権限、構成及び組織は、会議が決定する。

第23条 (制裁の発動) 1. 会議は、連合の予算に対する分担金の支払が不履行となっている加盟国に、次の方法で適当な制裁の発動を決定する。すなわち、会合での発言権、投票権、連合内の部局又は役職に候補者を出す権利の停止、若しくは活動又は約束から生ずる利益を得る権利の停止。

 2. さらに、連合の決定及び政策を遵守しない加盟国を、他の加盟国との輸送及び通信関係の中断などの他の制裁、及び会議が決定する政治的及び経済的性質を有する他の措置に服させることができる。

第24条 (連合本部) 1. 連合の本部は、エチオピア連邦民主共和国のアディス・アベバに置く。

 2. 執行理事会の勧告に基づき、会議が決定した連合の他の部局を設立することができる。

第25条〜第29条 (略)

第30条 (停止) 憲法に違反する手段により政権を掌握した政府は、連合の活動へ参加することを許されない。

第31条〜第32条 (略)