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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ミサイル防衛(MD)に関するジョージ W.ブッシュ大統領演説(ジョージ W.ブッシュ大統領の国防大学演説)

[場所] 
[年月日] 2001年5月1日
[出典] 現代国際関係の基本文書(下),一般財団法人鹿島平和研究所編,日本評論社,287-289頁
[備考] 
[全文] 

ジョージ W.ブッシュ大統領の国防大学演説

2001年5月1日

 (前略)

 我々は、攻撃力と防衛力の双方に依存する新しい抑止力の概念を必要としている。抑止力はもはや、核報復の威嚇のみに基づくことはできない。防衛力は、核拡散への誘因を減少させることによって抑止力を強化できる。

 我々には、今日の世界に存在するさまざまな脅威に対抗するため、ミサイル防衛を構築するための新しい枠組みが必要である。このためには、30年を経るABM条約の制約を克服しなければならない。この条約は現状に即しておらず、将来を示すものでもない。それは過去の記述にすぎない。今日の脅威に対処することや、我が国、友邦国及び同盟国を守るための有望な技術を追求することを妨げるいかなる条約も、我々の、また世界の利益にならない。

 この新しい枠組みは、核兵器の一層の削減を促進しなければならない。核兵器は、依然として我が国や同盟国の安全保障にとって死活的な役割を担っている。我々は、冷戦が終わったという現実を反映させる形で、我が国の核戦力の規模、構成および性格を変えることができるし、そうするであろう。

 私は、同盟国への義務を含めた我々の国家安全保障の必要に応じて、最小限の数の核兵器によって信頼性のある抑止力を得ることを誓っている。私の目標は核戦力の速やかな削減である。合衆国は、その利益および世界平和の利益のために模範を示しつつリードするであろう。

 数カ月前、私はラムズフェルド国防長官に、合衆国、その派遣部隊、友邦国及び同盟国を防衛できるような効果的なミサイル防衛のためのあらゆる入手可能な技術と配備様式を検討するよう求めた。長官は、多くの補完的、革新的なアプローチを探求した。

 国防長官は、限定的な脅威に対抗して初期的能力を展開できる短期的方法を確定した。いくつかのケースでは、ミサイルをミッド・コースで、または大気圏再突入後に、迎撃するための陸上配備、海洋配備のシステムに用いられる既存の技術を使うことができる。さらに、ミサイルを飛行の初期段階、特にブースト段階で迎撃することが相当有利であることを認識している。

 初期的作業により、このような能力を提供する、高度のセンサーおよび迎撃体の有望な可能性が生まれている。このアプローチは、海洋または航空機に配備されれば、限定的ながらも効果的な防衛を提供する。

 ミサイル防衛の最終的な形が決まるためには、まだ多くの作業を行わなければならない。これから、これらすべての可能性を検討するであろう。われわれが直面する技術的困難は認識しており、この挑戦を受けてたつつもりである。我が国はこの重要な課題に対応するため、最良の人々を振り向けるであろう。

 機能するものと機能しないものを評価分けする。我々はいくつかの方法は機能しないが、成功を積み重ねることができることも知っている。準備ができ次第、議会に諮りながら、グローバルな安全保障と安定を強化するためにミサイル防衛を配備するであろう。

私は当初より、この重要な問題に関して、同じようにミサイルや大量破壊兵器の脅威にさらされている友好国及び同盟国と緊密に協議する所存であることを明確にしてきた。