データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[内閣名]第40代東条英機内閣(昭和16.10.18〜昭和19.7.22)
[国会回次](帝国)第84回(通常会)
[演説者]重光葵外務大臣
[演説種別]国務大臣の演説
[衆議院演説年月日]1944/01/21
[貴族院演説年月日]
[全文]

不肖昨年四月圖ラズモ帝國ノ外政擔當ノ重任ヲ拝シマシテ、本日茲ニ帝國政府ノ外交方針ニ付キ所見ヲ開陳スルノ機會ヲ得マシタコトハ、私ノ最モ光榮トスル所デゴザイマス

戰局ハ御承知ノ通リ益々深刻トナリ、米英ハ昨年來ノ反攻ニ依ツテ、漸ク東西樞軸防衞ノ外廓ニ接觸スルニ至ツタノデアリマス、彼等ハ此ノ上自力ノミヲ以テ進攻スルノ困難ナルヲ感ジ、如何ナル犧牲ヲ拂ツテモ必要ナル他國ノ力ヲ借ラントスルニ至リマシテ、是ガ爲メ大東亞會議ト前後シテ、「モスコー」ニ相會シ、更ニ「カイロ」及ビ「テヘラン」ニ至ツテ協議致シタノデアリマス、彼等ハ斯樣ニシテ茲ニ西、歐洲大要塞ニ對シ、又東、帝國ニ對シテ速カニ總反撃ニ出ヅルコトニ決シタ模樣デアリマス、是ガ本年ニ於ケル彼等ノ企圖デアリマス

米英首腦部ハ昨年十一月下旬重慶ヲモ加ヘテ「カイロ」會談ヲ開キ、帝國ニ對シ假借ナク攻撃ヲ加へ、無條件降伏ヲ強要スベシト稱シ、本土以外ノ帝國領域ハ悉ク之ヲ奪取シテ、或ハ自分ノ領土トナシ、或ハ之ヲ支那ニ分チ與フベシト約シ、重慶政權ノ離脱ヲ防止セント致シタノデアリマス、彼等ハ今日既ニ全力ヲ擧ゲテ對日總反攻ニ出デテ居ルト聲明シテ居ルノデアリマスルガ、今日マデ獲得シタモノハ、我ガ前哨線ニ散在スル數個ノ島嶼ニ過ギズ、是ガ代償トシテ支拂ツタモノハ海底ニ葬リ去ラレタル多數ノ艦船竝ニ數十萬ノ兵員デアリマス(拍手)而モ米國民ハ、何ノ爲ニ米國ノ安全トハ何等關係ノナイ東亞ノ僻地ニ於テ戰ツテ居ルノデアルカ、又戰ハネバナラナイノデアルカヲ、彼等ハ了解スルニ苦シンデ居ル有樣デアリマス(拍手)

米國大統領ハ其ノ政策タル「ニユー・デイール」ナルモノガ國内的ニ行詰ツテ來マスルヤ、是ガ打開ヲ外ニ求メントシテ、盛ンニ戰爭熱ヲ煽ツテ國民ノ視聽ヲ強ヒテ國外ニ轉ジ、今ニモ米大陸ガ外敵ニ依ツテ襲撃侵略セラルヽガ如キ宣傳ヲシタノデアリマス、米國ノ挑發サヘナカツタナラバ、今次ノ戰爭ハ實ハ起ラヌデ濟ンダ筈デアリマス、米大陸ノ安全ヲ脅威スルモノハ何處ニモナク、米國民ハ平和ヲ享樂シ得タルベキニ拘ラズ、不測ノ冒險ニ追入レラレテ、不必要ニシテ高價ナル犧牲ニ甘ンゼシメラレテ居ル次第デゴザイマス(拍手)而シテ彼ハ恰モ世界ノ管理者デアリ、東亞ノ支配者デアルガ如キ行動ニ出デテ參リマシテ、歐洲戰爭ヲ挑發シタル上、恣ニ東亞ニ介入シ來ツテ、遂ニ帝國ニ對シテ所謂經濟的制裁ヲ加へ、進ンデ經濟戰爭ノ手段ニ愬ヘタノデアリマス、太平洋戰爭ガ眞珠灣以前ニ既ニ米國ニ依ツテ開始セラレテ居ツタコトハ、現ニ米國政府自身ニ依ツテ發表セラレタ多クノ文書ニ依ツテモ明白ナ所デゴザイマス(拍手)

斯クノ如クシテ米國ハ植民地的戰爭ニ乘出シタノデアリマシテ、米國ノ戰爭ハ要スルニ政略戰爭デアリマス、蓋シ右ハ米國ガ全世界ニ亙ツテ、英國ニ代ツテ世界制覇ノ基礎ヲ固メントシツヽアル點ヨリ見テモ明カナル事實デゴザイマス(拍手)米英ハ單ニ與國ヲ驅使セントスルノミデナク、凡ユル策略ト威壓トヲ弄シテ中立國ヲ戰爭ニ引入レ、戰禍ノ擴大ヲ憚ラズ恣ニ之ヲ利用セント致シテ居リマス、「トルコ」其ノ他ニ對スル壓迫ハ國際道義ヲ蹂躪セルモノデアツテ、一般ノ憤懣ヲ招イテ居ル所デゴザイマスガ、「トルコ」ノ態度ニハ何等ノ變化ナク、又同樣ナ脅迫ヲ蒙ツタ南米「アルゼンチン」ハ尚ホ毅然タル態度ニ出テ居ル次第デゴザイマス(拍手)米英ノ東西ニ於ケル反攻ハ、斯樣ニシテ鳴物入リデ開始セラレテ居ルノデアリマスガ、勝利ハ單ニ宣傳ヤ欺瞞ニ依ツテ得ラルヽモノデハナイノデアリマス、東西樞軸ノ堅陣ハ儼トシテ微動ダモ致シテ居ラナイノデアリマス(拍手)

歐洲要塞ニ於キマシテハ「ドイツ」軍ハ必要ニ應ジテ前線ノ整理ヲ行ヒ、磐石ノ堅陣ト萬全ノ準備トヲ以テ敵ヲ邀撃センコトヲ期シテ居ルノデアリマス、過去ニ於テ苦キ經驗ヲ有スル「ドイツ」國民ガ「ヒトラー」總統統率ノ下ニ一致協力シテ、未曾有ノ試煉ニ應へ、確乎タル自信ヲ示シ、終局ノ勝利ニ向ツテ邁進シツヽアル状況ハ、實ニ世界史上ノ壮觀ト言ハナケレバナリマセヌ(拍手)斯クテ「ドイツ」軍ハ戰勢ヲ轉換シテ攻勢ノ機ヲ捉ヘントシテ居ルノデアリマシテ、「ドイツ」國民ハ烈シキ空襲ノ下ニ不屈ノ精神ヲ以テ勝利ヲ確信シ、敢鬪ヲ續ケテ居ルノデアリマス、此ノ事實ハ敵側スラモ承認セザルヲ得ナイ所デアルノデアマリス{前4文字ママ}、帝國政府ハ常時「ドイツ」政府ト緊密ナル連繋ヲ保チ、軍事上ハ勿論、各般ノ問題ニ付テ凡ユル協力ヲ遂ゲツヽアル次第デアリマス

新「イタリア」ハ「ムソリーニ」統帥指導ノ下ニ、樞軸ノ一環トシテ再ビ力強ク起チ上リツヽアルノデアリマシテ、帝國及ビ「ドイツ」トノ共同戰線ニ於テ、「イタリア」ガ光輝アル將來ヲ開クコトハ、期シテ俟ツベキデアリマス(拍手)過般「イタリア」政變後敵側ハ頻リニ和乎ノ宣傳ヲ行ヒ、樞軸與國ヲ動搖セシメント策動致シタノデアリマスガ、是ハ彼等ノ常套手段デアルノミナラズ、彼等國内ノ不安及ビ戰爭早期終結ノ要望ヲ反映シテ居ルモノデアリマシテ、畢竟スルニ彼等ノ焦燥感ヲ示ス以外ノ何モノデモナイノデアリマス(拍手)歐洲ニ於ケル樞軸與國ハ斯カル敵側ノ宣傳ニモ拘ラズ、確乎不動共同戰爭ヲ完遂セント致シテ居ル次第デアリマス

太平洋方面ニ於ケル敵ノ熾烈ナル反攻ニ對シ、我ガ東亞保衞ノ堅陣ハ聊カモ搖イデ居リマセヌ、是ハ申スマデモナク {前1字アキママ}御稜威ノ下皇軍ノ勇戰奮鬪ノ賜デアリマシテ、全國民ノ感激措ク能ハザル所デアリマス(拍手)私ハ茲ニ我ガ忠勇ナル陸海將兵ノ武運長久ヲ切ニ祈ルト共ニ、殉國ノ英靈ニ對シ謹ンデ敬弔ノ意ヲ表スルモノデアリマス

米英ノ恃ム所ハ主トシテ物質力デアリマス、現代戰爭ニ於テ物質力ノ重要ナコトハ固ヨリ否定ハ出來ナイノデアリマス、併シナガラ勝敗ハ單ニ物質力ノ優劣ニ依ツテ定マルモノデハアリマセヌ、物質力ノ點カラ見テモ敵ニ幾多ノ弱點ガアルノデアリマシテ、又人的資源ニ於テハ少カラズ脆弱點ヲ有スルコトハ、見逃シ難イノデアリマスノミナラズ、地ノ利ハ寧ロ我ニアルノデアリマス、而モ國民戰意ノ點ニ至ツテハ彼ハ到底我ガ敵デハナイノデアリマス(拍手)蓋シ我ガ必勝ノ信念ハ數ニアラズ、又量ニアラズ、將又地ノ利ニモアラズシテ、實ニ人ノ和ニアルノデアリマス、我ガ國民ノ當面スルノハ、共ニ生クルカ共ニ死スルカノ問題デアリマス、吾人ヲ促スモノハ、過去ニ於テ幾多國難ヲ克服シタ祖先ノ偉業ヲ顧ミ、皇國ノ偉大ナル將來ヲ確保センコトヲ期スル敢鬪ノ精神其ノモノデアリマス、皇國ノ光輝アル將來ハ一億敢鬪ニ依ツテ必ズ招來セラルヽモノデアリマス、 {前1字アキママ}御稜威ノ下前線ニ於ケル皇軍ノ勇戰ト、銃後戰線ニ於ケル國民總員ノ蹶起トニ依リ、最後ノ勝利ノ我ニアルベキコトハ、毫モ疑ヒヲ挾ム餘地ガナイノデアリマスガ、此ノ必勝ノ信念ハ、今次ノ戰爭ガ我ニ取ツテハ帝國存立ノ戰ヒデアリ、東亞ニ取ツテハ興隆ノ懸ル聖戰デアル所ヨリ生ズルノデアリマス

歐洲ニ於テ「ドイツ」ガ大國トシテ其ノ實力ヲ伸長スルコトハ、東洋ニ於テ日本ガ大國ノ實力ヲ具備スルコトト共ニ、米英ノ終始阻止セント欲スル所デアリマシテ、是レ即チ歐洲ニ於テ勢力均衡政策ナルモノヲ實施シ、支那ニ於テハ門戸開放、機會均等主義ノ形ニ於キマシテ、半植民地的政策ヲ運用シテ來タ所以デアリマス、數個ノ勢力ヲシテ相互ニ衝突牽制セシメ、其ノ間ニ全世界ニ亙ツテ事實上ノ支配權ヲ設定スルノガ、彼等ノ根本政策デアリマシテ、是ガ所謂過去ニ於ケル英國流ノ平和態勢デアリ、現在企圖サレテ居ル米國流ノ平和態勢ナノデアリマス

日本ト支那トガ提携協力シテ、東亞ノ安定ヲ保チ繁榮ヲ圖ルコトハ、彼等ヨリ之ヲ見レバ東亞ノ復興デアリ、彼等ノ退却ヲ意味スルモノデアリマス、彼等ハ過去ニ於テ帝國ヲ利用シテ支那ヲ抑制シ、又帝政「ロシヤ」ノ進出阻止ノ政策ニ出デ、帝國ガ強大トナルニ及ビ我ヲ控制センガ爲ニ支那ヲ拉シ來ツテ、之ヲ利用スルノ政策ヲ執ルニ至リマシタ、是ガ東亞禍亂ノ重要ナル背景ヲナスモノデアリマシテ、即チ分割シテ支配スルコトハ彼等ノ傳統的政策ナノデアリマス

米國大統領ノ最近ノ演説ニ徴シマシテモ、米英ハ實ニ帝國ノ抹殺ヲ企圖スルモノデアリマシテ、此ノ戰爭ガ我ガ祖國ノ興廢ヲ賭スル防衞ノ鬪爭ナル所以デアリマス、吾人ニシテ半途挫折スルガ如キコトアランカ、單リ帝國ノ存在ガ永久ニ否認セラルヽノミナラズ、東亞モ舊態ニ復セシメラレ、自主獨立ヲ完ウスベキ機會ハ永遠ニ失ハレルノデアリマス、實ニ今次戰爭ハ樞軸諸國ニ取ツテハ眞ニ自存自衞ノ戰爭デアリ、「アジア」ニ取ツテハ自主獨立ノ戰爭デアリマス、帝國ハ悠久三千年ノ光輝アル歴史ヲ有シ、帝國ガ世界ノ雄邦トシテ「アジア」解放、東亞復興ノ大業ニ挺身シツヽアルノハ正ニ天與ノ使命デアリマス、帝國ハ志ヲ同ジウスル東亞ノ各國各民族ト相協力シテ、米英ノ非道ナル企圖ヲ斷乎粉碎セントスルモノデアリマス(拍手)

今次大戰ハ正ニ世界ノ大變動デアリマス、英國ノ世界帝國維持ヲ目的トスル對獨挑戰ニ始マツタ此ノ戰爭ハ、獨「ソ」戰爭ニ依ツテ其ノ樣相ガ愈々深刻ヲ加へマシテ、右ハ「テヘラン」會議以後ノ世界情勢ニ遺憾ナク反映サレテ居ルノデアリマス、更ニ又大東亞戰爭勃發ニ依ツテ「アジア」解放、東亞復興ノ重大ナル意義ガ現實ニ加ハツタノデアリマス、「アジア」ガ米英ノ植民地若クハ半植民地タル時代ハ既ニ遠ク去リマシタ、「アジア」ヲ救フモノハ「アジア」人以外ニハアリ得ナイノデアリマス、米英ノ支配勢力ガ殘存スル限リ東亞ノ安定ハ到底望ミ難ク、禍亂ハ永久ニ絶エマセヌ、攪亂勢力ガ驅逐セラレテ茲ニ初メテ東亞ハ其ノ本然ノ姿ニ復歸シ得ルノデアリマス、過去ニ於テ日支兩國間ニ幾多ノ悲シムベキ紛爭ヲ見タル後、今日兩國ノ關係ガ永久ニ安定スル基礎ヲ見出シタノモ、全ク外來ノ支配的勢力ガ一掃セラレタコトニ基因スル次第デアリマス、支那ガ戰爭ニ參加シテ、日支兩國間ニ基礎關係ガ設定セラレテ既ニ一年餘ニナリマス、其ノ間我ガ政策ハ著々進捗ヲ見テ、昨年十月同盟條約ノ締結ヲ見、兩國國交永遠ノ基調ハ明定セラレ、基本的友好關係ハ茲ニ確乎不動ノモノトナツタノデアリマス、今ハ支那内部ニ於テ完全ナル平和状態ノ確立セラレルコトガ期待セラルヽ譯デアリマスガ、帝國トシテハ終始一貫、既定ノ政策ヲ貫徹スベク努力ヲ致ス決意デアリマス、戰爭ノ進行ト共ニ經濟問題等幾多ノ困難ノ伴フノハ當然ノコトデアリマスルガ、兩國ハ相共ニ携ヘテ如何ナル難關ヲモ突破スル覺悟ヲ以テ進ンデ居ル次第デゴザイマス(拍手)

帝國ト一徳一心ノ關係ニアル滿洲國ノ絶大ナル協力ハ帝國ノ感謝措ク能ハザル所デアリマスト共ニ、又東亞ノ有力ナル一員タル「タイ」國トハ、既ニ開戰直後同盟關係ニ入リ、共同戰線ニ立ツテ、東亞復興ノ爲メ甚大ナル貢獻ヲナシツヽアルコトハ、洵ニ欣快ノ至リデゴザイマス(拍手)

東亞諸國代表ハ「インド」假政府首班ヲ迎ヘテ、昨年十一月初頭東京ニ於テ相會シ、各國共同ノ政策トシテ大東亞宣言ヲ發表シ、東亞建設ノ理想ト世界平和ノ基礎タルベキ大方針ヲ闡明致ス所ガアリマシタ、大東亞宣言ニ依ツテ表示セラレル諸原則ハ歸スル所東亞ヲ解放シ、保衞シ、復興スルト共ニ、廣ク世界各國ト提携シテ、恒久平和ノ確立ニ積極的ニ貢獻センコトヲ期スルモノデアリマスルガ、是等ノ原則ハ戰時下自ラ各種ノ不便ガアルニ拘ラズ、關係各國ノ眞摯ナル協力ニ依リ著々實現セラレツヽアルノデアリマス

今ヤ東亞ノ天地ハ復興ノ氣運澎湃トシテ起リ、獨立ノ榮譽ヲ贏チ得タル「ビルマ」及ビ「フィリピン」ハ、新興ノ意氣ヲ以テ世界ノ進運ニ寄與セントコヲ期シ、大東亞宣言ノ精神ヲ實行ニ移シテ居ル次第デゴザイマス(拍手)又多年「インド」ノ宿望タル獨立モ、自由「インド」假政府ノ成立ニ依ツテ其ノ基礎ガ置カレタノデアリマス、此ノ東亞復興、「アジア」解放ノ目的コソハ實ニ吾人ニ對シ飽クマデ勝拔ク自信ヲ與フル所以ノモノデアルノデアリマス

帝國ノ堅持スル對外政策ハ、廣ク國際間ニ友好善隣ノ關係ヲ發展セシメントスルノニアリマシテ、大東亞宣言ノ原則第五ニ謂フ所ノ萬邦トノ友誼ヲ篤ウシ、人種的差別ヲ撤廢シ、普ク文化ヲ交流シ、進ンデ資源ヲ開放シ以テ世界ノ進運ニ貢獻スル趣旨モ亦茲ニ存スルノデアリマス

世界的共存共榮ノ觀念ハ閉鎖ニアラズシテ開放ニアリ、排他ニアラズシテ協力ニアルノデアリマス、蓋シ此ノ國際親和ノ政策ヲ擴大推進スルコトハ世界ヲ禍亂ヨリ救濟シ、破壞ヲ去ツテ建設ニ就ク大道ナルコトヲ確信致スノデアリマス

帝國ハ右ノ方針ニ則リ、特ニ隣接諸國トノ相互親善ノ關係ヲ増進スルト共ニ、更ニ進ンデ世界各國ニ對シ廣ク同一ノ方針ヲ以テ臨マントスルモノデアリマス、現在帝國ト中立關係ニアル遠近ノ諸國ニ對シマシテハ、戰禍ノ擴大ヲ避クルハ勿論、益々交誼ヲ篤ウセント努メテ居ルノデアリマス、就中日「ソ」兩國ノ關係ハ、大東亞戰爭ノ勃發ニ依ツテモ、將又歐洲戰爭ノ進展ニ依ツテモ何等影響ヲ蒙ル所ナク、兩國間ノ中立關係ハ固ク維持セラレテ居ル次第デアリマス(拍手)敵英米ハ今日頻リニ總攻撃ヲ叫ンデ居リマス、歐亞ニ於ケル樞軸ノ堅陣ニ對シテ攻撃ニ出デテ居ルノデアリマス、太平洋方面ニ於ケル反撃ハ日ヲ遂ウテ熾烈ヲ加ヘテ居ル状況デアリマス、蓋シ本年ハ世界戰局ノ大勢ヲ決定スル重大ナル秋デゴザイマス、仍テ私ハ微力ヲ顧ミズ大御心ヲ體シ、外政ノ運用ニ萬違算ナキヤウ最善ノ努力ヲ致ス覺悟デゴザイマス、之ヲ以テ終リマス(拍手)