データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 人および市民の権利宣言(フランス人権宣言)

[場所] 
[年月日] 1789年8月26日
[出典] 現代国際関係の基本文書(上),一般財団法人鹿島平和研究所編,日本評論社,653-656頁
[備考] 
[全文] 

 国民議会として構成されたフランス人民の代表者たちは、人権の無知、忘却または軽視が不幸な生活と政府の腐敗の唯一の原因であることを考慮し、一つの厳粛な宣言のなかで、自然な、不可譲の、そして神聖な人権を表明することを決意した。それは、この宣言が社会集団のすべての構成員の面前につねにあり、彼らの権利と彼らの義務をたえず彼らに想起させるためである。それは、立法権の行為および行政権の行為が、あらゆる政治制度の目的といつも比較されうるので、よりいっそう尊重されるためである。それは、市民の要求が、今後単純で争いえない諸原理にもとづくから、つねに憲法の維持とすべての人々の幸福に向けられるためである。

 このようにして、国民議会は、至高の存在の面前でかつその庇護のもとに、つぎのような人および市民の権利を承認しかつ宣言する。

第1条 人は、自由かつ権利において平等なものとして生まれ、そして生存する。社会的区別は、共同の利益にもとづいてのみなされることができる。

第2条 あらゆる政治的結合の目的は、自然のかつ消滅しえない人権の保全にある。これらの権利は、自由、所有、安全および圧政に対する抵抗である。

第3条 あらゆる主権の原理は本質的に国民に存する。いかなる団体、いかなる個人も、国民から明示的に出てくるものではない権威を行使しえない。

第4条 自由は他人を害しないすべてのことをなしうることにある。したがって、各人の自然的権利の限界は、同じ権利の享有を社会の他の構成員に確保すること以外にはない。この限界は法律によってのみ決定されうる。

第5条 法律は、社会に有害な行為のみを禁止する権利を持つ。法律の禁止しないすべてのことは妨げられえず、また、何人も法律が命じないことをなすように強制されえない。

第6条 法律は一般意思の表明である。すべての市民は自ら直接またはその代表者によってその形成に参加する権利を持つ。法律は、保護する場合にも、処罰する場合にも、すべての者にとって同一でなければならない。すべての市民は、法律の前に平等であるから、その能力に従って、かつ、その徳性と才能以外で選別をせずに、すべての位階、地位および公職に等しく就くことができる。

第7条 何人も、法律の定めた場合で、かつ、法律が規定する形式によってのみ、訴追され、逮捕され、または拘禁されうる。恣意的な命令を要請し、発令し、執行しまたは執行させる者は、処罰されなければならない。しかし、法律により召喚されまたは逮捕されたあらゆる市民は、ただちに従わなければならない。その者は、抵抗することによって有罪となる。

第8条 法律は厳密にかつ明らかに必要な刑罰のみを定めなければならず、かつ、何人も犯罪に先だって制定されかつ公布され、そして適法に適用された法律によってのみ、処罰されうる。

第9条 あらゆる人は有罪を宣言されるまでは無罪と推定されるから、その者を逮捕することが不可欠であると判断されても、その身柄を確保するために必要ではないあらゆる厳しい処置は法律によって厳重に抑圧されなければならない。

第10条 何人も、たとえ宗教上の意見であれ、その意見の表明が法律の定める公の秩序を乱さないかぎり、そのために不安を感じないようにされなければならない。

第11条 思想および意見の自由な伝達は、もっとも貴重な人権の一つである。したがって、あらゆる市民は、法律の定める場合にこの自由の濫用に責任を負うほかは、自由に話し、書き、印刷することができる。

第12条 人および市民の権利の保障は、公安力を必要とする。したがって、この力は、それが委ねられた者の特定の利益ためにではなく、すべての者の利益のために設けられるのである。

第13条 公安力の維持のため、および行政の支出のため、共同の租税が不可欠である。それはすべての市民のあいだに、その能力に応じて、等しく分担されなければならない。

第14条 各市民は、自らまたはその代表者により、公の租税の必要性を確認し、それを自由に承認し、その使途を 追跡し、かつ、その分担額、基準、徴収および期間を定める権利をもつ。

第15条 社会は、あらゆる公務員に対し、その行政について説明を求める権利を持つ。

第16条 権利の保障が確保されず、権力の分立も定められていないあらゆる社会は、憲法をもたない。

第17条 所有は不可侵のかつ神聖な権利であるから、何人も、適法に確認された公的必要がそれを明らかに要求するとき、そして、正当かつ事前の補償という条件のもとでなければ、それを奪われえない。