データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第一次門戸開放通牒

[場所] 
[年月日] 1899年12月20日
[出典] 現代国際関係の基本文書 上,一般財団法人鹿島平和研究所,101-103頁.
[備考] 
[全文]

 當(合衆國)政府ハ清國ノ版圖内特ニ清國ニ於テ歐洲某々國ノ要求ニ係ル所謂勢力的又ハ利益的範圍内ニ於テ合衆國其ノ他各國ノ商工業ニ對シ通商航海上全然均一ノ待遇ヲ保障センコトヲ熱望シ此ノ目的ヲ持テ獨國英國及露國ニ意見ヲ提出スルハ今ノ時ヲ以テ恰當ノ時機ナリト思料ス

 合衆國政府ノ抱持スル目的ト達センカ爲竝ニ國際軋轢ノ原因ヲ未發ニ除去シ商業上缺クヘカラサル信用ヲ囘復センカ爲ニハ當國政府ハ清國ニ於テ利益的又ハ勢力的範圍ヲ要求スル所ノ諸國カ左記ノ正式的保證ヲ爲スコトヲ以テ切望スヘキコトナリト認ム

 第一、諸國ハ其ノ清國ニ於テ保有スルコトアルヘキ所謂利益的範圍内又ハ借地内ニ於ケル條約港又ハ旣得ノ利益ニ何等干涉セサルヘシ

 第二、右利益的範圍内ノ各港(自由港ニ非サル限ハ)ニ於テ陸揚シ又ハ船積セラルル一切ノ商品ニ對シテハ其ノ何レノ國ニ屬スルヲ問ハス其ノ時行ハルル所ノ清國條約稅則ヲ適用スヘシ且此ノ如クシテ賦課スヘキ租稅ハ清國政府ニ於テ徴収スヘキモノトス

 第三、諸國ハ右範圍内ノ何レノ港ニ寄港スル他國ノ船舶ニ對シテモ自國ノ船舶ニ對スルヨリ多額ノ港稅ヲ徴収セサルヘク又該範圍内ニ敷設監督若ハ作業セラルル鐵道線路上ニ於テハ他國ノ人民若ハ臣民ニ屬スル商品ノ右範圍内ニ於テ輸送ヲセラルルモノニ對シ自國民ニ屬スル同種ノ商品ノ同距離間輸送セラルルモノニ對スルヨリ多額ノ運賃ヲ徴収セサルヘシ

 現行條約ニ因テ清國ヨリ各國ニ保證シタル權利及特權ヲ各國ノ商業カ享有スルコトニ對シ何等關涉スルノ意思ナキコトヲ承認スヘシトノ提議ニハ獨露兩國ノ異議ナキコトハ獨逸國皇帝陛下カ青島(膠州)ヲ自由港ト布告シ且同所稅關ノ設置ニツキ清國政府ニ助力シ以テ保持セラルル所ノ政策ト露國皇帝陛下カDalny(大連灣)ニ自由港ヲ設定セラレタル去ル八月十一日詔勅トノ證明スル所ナリト思料ス

 清國全土ヲ通シテ萬國ニ對スル貿易ノ自由ヲ維持スルハ英國政府ノ確定政策ナル旨再三同政府ヨリ保證アリタルハ當國ノ提議ニ對シ同國カ直ニ贊同ヲ表スヘキコトヲ保障スルモノナリト信ス又前記ノ宣言ハ當國駐劄日本國代表者ヨリ屢々當政府ニ申入レタル保證ト其ノ旨ヲ同クスル所ニシテ日本國商業上ノ利益カ右宣言ニ因テ增進セラルルコトモ亦當政府ノ確信スル所ナリ

[本通牒は日本のほかドイツ、イギリス、フランス、イタリアおよびロシアの各政府に伝達された。]