データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 労働者、兵士、農民の代表から成るソヴィエトの第2回大会で採択された平和に関する布告(ソビエト政権の「平和に関する布告」)

[場所] 
[年月日] 1917年11月8日
[出典] 現代国際関係の基本文書(上),一般財団法人鹿島平和研究所編,日本評論社,375-377頁
[備考] ロシア暦:1917年10月26日
[全文] 

 10月24〜25日の革命によって樹立された労働者、兵士及び農民の代表から成るソヴィエトから力を得ている労働政府は、全ての交戦国民とその政府に対し公正で民主的な平和に至る交渉を直ちに開始するよう提案する。すなわち、困窮し、苦しめられ、また戦争で痛めつけられた全ての交戦国の勤労者と労働階級の大部分の者が希っている平和、ロシアの労働者と農民がツァーの帝政転覆依頼かくも声高にまた執拗に要求していた平和、そして本政府が無併合(すなわち、外国領土の併合及び外国民族の強制的編入のない平和)、かつ無賠償の即時平和と考えているような平和である。

 ロシア政府は、交戦している全ての人民に対しこの種の平和が直ちに締結されるよう提案し、また、全ての国家及び民族の全権会議によりかかる平和の全ての条項が最終的に確認されるまでの間に、全ての決定的な行動を最小限の遅滞もなく直ちにとる用意があることを表明する。本政府は、強制的な編入がいつ起きたかを問わず、また大国の国境内で強制的に編入されたか或いは拘束された民族がいかに先進的であるか、またいかに後進的であるかを問わず、更にこの大国が欧州にあるか、または海を隔てた遠い地にあるかを問わず、弱い国家による明確で自発的な同意の表明がない場合、一般的には民主主義の、個別的には労働階級の法的概念に基づいて、大国で協力な国家による小国で弱い国家のいかなる編入も併合か外国領土の強奪であると判断する。もしある国家の境界内で、ある民族が力により拘束された場合、またはもしその民族が、報道、国会、党の関係、または民族に対する抑圧への抗議・決起による表明された意思に反して、自由な投票により、また編入しようとしている強国の部隊の存在から完全に自由な状態で国家の形態を決定する権利を与えられていない場合、強国によるその民族の支配は併合であり、力と暴力による強奪であると解釈する。

 本政府は、単に弱小民族を強力で豊かな国家の間でいかに分割するかを決定するだけのためにこの戦争を継続することは、人類に対する最大の犯罪であると考え、例外なく全ての国民に対して等しく公正であるという前述の条件でこの戦争を終わらせるということになる平和条項に直ちに署名する用意があることを厳粛に表明する。同時に本政府は、上記の平和の条件を最後通牒とは見做していない。すなわち、本政府は他のいかなる条件をも検討する容易があることを宣言する。しかしながら、いかなる交戦国からの条件も可及的速やかに提案され、また最も明快な言葉で曖昧さや秘密なく表現されなければならない。本政府は秘密外交を廃止し、全ての交渉を絶対的に公けにし、全ての人民のために実行するとの固い決意を表明する。本政府は、1917年3月から11月7日までに地主と資本家たちの政府によって締結され、批准された全秘密条約を公表することに直ちに着手する。これらの秘密条約の全条項は、ロシアの地主と資本家たちの利益と特権を確保し(大部分の場合そうであるが)、大ロシア人による併合を維持しまた増加させるという目的を持っている限り、政府は直ちにまた絶対的にこれらを無効とする旨宣言する。

   (後略)