データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ウィルソン大統領の十四カ条(ウィルソン大統領の14カ条)

[場所] 
[年月日] 1918年1月8日
[出典] 現代国際関係の基本文書(上),一般財団法人鹿島平和研究所編,日本評論社,378-382頁
[備考] 連邦議会上下両院合同会議
[全文] 

   (前略)

 われわれがこの戦争に入ったのは、権利の侵害が発生したためである。それは、われわれを深く傷つけた。そして侵害が是正され、その再発に対して世界の安全が最終的に確保されない限り、わが国民の生活が不可能になったのである。従って、この戦争でわれわれが求めるのは、われわれ自身にとって特別なものではない。それは、この世界を住みやすく安全なものにすることである。そして特に、わが国のように、自分の生活を営み、自分の制度を決定し、世界の諸国民から力と利己的な攻撃ではなく、正義と公正な扱いを保証されることを望むすべての平和を愛する国民にとって、世界を安全なものにすることである。この件に関しては、世界中のすべての人々が事実上の伴侶である。そしてわれわれ自身に関する限り、他者に対して正義を行われなければ、われわれに対して正義が行われることもない、ということが非常に明確に見えている。従って、世界平和のための計画は、われわれの計画である。そしてその計画、われわれが見るところ唯一の可能な計画は、以下の通りである。

 I 開かれた形で到達した開かれた平和の盟約。その締結後は、いかなる種類の秘密の国際的合意もあってはならず、外交は常に率直に国民の目の届くところで進められるものとする。

 II 平時も戦時も同様だが、領海外の海洋上の航行の絶対的な自由。ただし、国際的盟約の執行のための国際行動を理由として、海洋が全面的または部分的に閉鎖される場合は例外とする。

 III 和平に同意し、その維持に参加するすべての諸国間における、すべての経済障壁の可能な限りの除去と貿易条件の平等性の確立。

 IV 国家の軍備を、国内の安全を保障するに足る最低限の段階まで縮小することで、適切な保証を相互に交換。

 V 植民地に関するすべての請求の、自由で柔軟、かつ絶対的に公平な調整。その際には、主権に関するそうしたすべての問題の決着に当たっては、当事者である住民の利害が、法的権利の決定を待つ政府の正当な請求と同等の重みを持たされなければならない、という原則に基づくものとする。

 VI すべてのロシア領土からの撤退と、ロシアに影響を及ぼすあらゆる問題の解決。それは、ロシアに対して自らの政治的発展と国家政策を独自に決めるための、制約と障害のない機会を得させるために、世界各国の最良かつ最も自由な協力を確保し、またロシアが自ら選んだ制度の下で、自由な諸国の社会に真摯に迎えられることを保証するだろう。また歓迎にとどまらず、ロシアが必要とし希望するあらゆる援助の提供も保証するだろう。今後何カ月かの間に、ロシアに対して姉妹諸国が支える待遇は、それら諸国の善意と、彼ら自身の利益と切り離してロシアが必要としているものへの理解と、彼らの知的で、しかも利己主義を排した同情心の試金石となるだろう。

 VII ベルギーが他の自由諸国と同様に享受している主権を制限しようとする試みがあってはならない。ベルギーから撤退し、同国を復興させなければならない。このことについては、全世界が同意してくれるはずである。各国が相互の関係を管理するために自ら設定し決定した法律に対する信頼を回復する上で、これほど貢献する措置はないだろう。この治癒的行為がなければ、国際法全体の構造と正当性は永久に損なわれる。

 VIII フランスの全領土が解放され、侵略された部分は回復されるべきである。また、1871年にアルザス・ロレーヌ地方に関してプロシアがフランスに対して行った不法行為は、50年近くも世界の平和を乱してきたのである。全員の利益のためにもう一度平和が確保されるために、この不正行為は正されるべきである。

 IX イタリア国境の再調整は、明確に認識できる民族の境界線に沿って行われるべきである。

 X われわれは、オーストリア・ハンガリー国民の諸国間における地位が保護され確保されることを望む。彼らには、自治的発展の最も自由な機会が与えられるべきである。

 XI ルーマニア、セルビア、モンテネグロからの撤退が行われるべきである。占領された領土が回復され、セルビアは海への自由かつ安全な交通路を与えられ、いくつかのバルカン諸国間の相互の関係が、忠誠心と民族性という歴史的に確立された方針に沿って、友好的な協議により決定され、またいくつかのバルカン諸国の政治的、経済的な独立と領土保全に関する国際的な保証が結ばれるべきである。

 XII 現在のオスマン帝国のトルコ人居住区域は確実な主権を保証されるべきだが、いまトルコ人の支配下にある他の諸民族は、確実な生命の安全と自律的発展のための絶対的に邪魔されることのない機会を保証されるべきである。そしてダーダネルス海峡は、国際的保証の下で、すべての諸国の船舶と通商に自由な通路として恒久的に開かれるべきである。

 XIII 独立したポーランド国家が樹立されるべきである。そこには議論の余地なくポーランド人である人々の居住する領土が含まれ、彼らは海への自由で安全な交通路を保証され、政治的、経済的な独立と領土保全が国際的盟約によって保証されるべきである。

 XIV 大国にも小国にも等しく、政治的独立と領土保全の相互保証を与えることを目的とする具体的な盟約の下に、諸国の全般的な連携が結成されなければならない。

   (中略)

 これでわれわれは、これ以上の疑いも質問の余地もないほど、具体的な言葉で述べ終えた。私が概要を述べたこの計画全体には、明確な原則が貫いている。それは、すべての国民と民族に対する正義であり、そして強い弱いにかかわらず、互いに自由と安全の平等な条件の下に生きる権利である。この原則が土台となっていない限り、国際正義という建造物は、どの部分もしっかり立つことはできない。合衆国の国民は、これ以外の原則に従って行動することはできない。そして、この原則を守るために、自分の生命、栄誉、持っているものすべてを捧げる準備ができている。このことの道徳的な頂点、人類の自由のための最終的な絶頂である、その戦争が訪れたのである。合衆国国民は、自分の力、自分の最も崇高な目的、そして自分自身の品位と献身を試してみる準備ができている。