データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ブレスト・リトフスク条約

[場所] 
[年月日] 1918年3月3日
[出典] 現代国際政治の基本文書,一般財団法人鹿島平和研究所編,原書房,382-385頁
[備考] 署名:1918年3月3日
[全文] 

第一條 一方獨洪勃土ノ四國及他方露國ハ相互間戰爭狀態ノ終了ヲ宣言シ爾後平和友好ノ裡ニ生活スルニ決シタリ

第二條 締約國ハ政府國家的組織及軍隊ニ叛對スル總テノ鼓吹其ノ他ノ煽動的行爲ヲ停止ス可シ中歐帝國ノ占領地域内ニ就テモ亦露國ハ右停止ノ義務ヲ負フ

第三條 締約國間ニ協定セラレタル線ノ以西ニシテ露國ニ屬シタル地域ハ爾後露國主權ニ服從セサルモノトス右協定線ハ本講話條約ノ主要部分ヲ爲ス附屬地圖(附屬書第一)ニ於テ之ヲ確定ス右境界ノ正確ナル確定ハ露獨兩國委員ニ依リ行ハル可シ

 該關係地方ノ露國ニ對スル從來ノ從屬關係ハ露國ニ對シ何等ノ義務ヲモ是等地方ニ負擔セシムルコトナシ

 露國ハ前項諸地方ノ内政ニ何等干涉セサル可シ澳洪國及獨逸ハ該地方人民トノ協定ニヨリ該地方將來ノ運命ヲ定ムル企圖ヲ有ス

第四條 獨逸ハ一般平和ノ締結及露國軍隊復員ノ全部終了ト同時ニ第六條ノ規定ニ抵觸セサル限度ニ於テ第三條第一項指定ノ線以西ノ地點ヨリ撤兵ス可シ

 露國ハ東部「アナトリー」諸州ヨリ急速撤兵シ且該地方ノ土地ヘノ正式還附ヲ確保スル爲メ全力ヲ盡ス可シ

 「アルダハン」「カールス」「バツーム」ヨリモ亦遲滯ナク露國軍ハ撤退スヘシ

 露國ハ憲法及國際公法關係諸問題ニ關シ前項地方ノ新構成容喙セサルヘク該地方人民ハ隣國殊ニ土耳古ト協議シ右構成ヲ遂行スヘシ

第五條 露國ハ遲滯ナク全軍隊ノ復員ヲ行フ可シ現政府ノ組織セル新部隊ニ付又同樣ナル可シ

 露國ハ自國軍艦ヲ一般平和締結迄露國港ニ繋留スル爲之ヲ該港ニ囘航スルカ然ラサレハ其武裝ヲ解除ス可シ四同盟國ト戰爭狀態ニアル他國ノ軍艦ニ關シテモ亦露國ノ能フ限リ露國軍艦ト同樣ニ取扱フ可シ

 北氷洋封鎖地域ハ一般平和締結迄存續ス

 波羅的海及露國權限ノ及フ黒海ニ於テ水雷ノ引揚ヲ開始ス可シ是等海面ノ航海ハ自由タル可ク卽時ニ再開セラル可シ細目ニ關スル規定ヲ決定スル爲殊ニ商船ニ安全航路ヲ指定スル爲混合委員ヲ設置ス可シ航路ハ常ニ浮流水雷ノ危險ナキ樣掃除セラル可シ

第六條 露國ハ速ニ「ウクライン」民族共和國ト講和ヲ締結シ且ツ同共和國ト四同盟國間ニ調印セラレタル講和條約ヲ承認スヘキコトヲ約ス

 「ウクライン」領土ハ遲滯ナク露國軍隊及赤衞隊ノ係累ヨリ救脱セラルへシ露國ハ「ウクライン」民族共和國ノ政府並ニ公ノ施設ニ對スル一切ノ煽動的行爲若クハ鼓吹運動ヲ停止ス

 露國軍隊並ニ赤衞隊ハ速ニ「エストニー」及「リボニー」ヨリ撤退スヘク「エストニー」ノ東方國境ハ大體ニ於テ「ネルバ」河ノ流域ニ沿ヒ「リボニー」ノ東方國境ハ大體「ペイプス」湖ヲ經テ「プスコフ」湖ノ西南部ニ達シ次テ「ルーバン」湖ヲ經テ「フナ」湖畔ノ「リヴエンホツフ」ノ方面ニ至ル「エストニー」及「リボニー」ハ其固有ノ國家的施設及憲法上ノ秩序ニ依リ安寧ヲ確保シ得ルニ至ルマテ獨逸警察力ニ依リ干涉セラルへシ

 露國ハ直ニ逮捕又ハ逐放セラレタル「エストニー」及「リボニー」ノ凡テノ住民ヲ釋放シ且ツ「フインランド」ニ遂放セラレタル「エストニー」人及「リボニー」人全部ノ歸還ノ安全ヲ保證スヘシ

 露國軍隊及赤衞隊ハ速ニ「オーランド」諸島ヨリモ亦撤退シ露國艦隊其他海軍力ハ直ニ「フインランド」諸港ヲ去ルへシ結氷ノ爲メ露國軍艦ヲ露國港ニ囘航シ能ハサル間ハ右軍艦ハ少數ノ兵員ヲ乘艦セシムルニ止マルヘシ露國ハ「フインランド」ノ政府並ニ公ノ施設ニ對スル一切ノ煽動的行爲若クハ鼓吹連動ヲ停止ス

 「オーランド」諸島ノ要塞ハ出來得ル限リ速ニ撤去セラルヘク右諸島ニ於ケル要塞ノ永久的敷設並ニ右諸島ノ軍事地位ニ關シテハ露獨芬瑞間ニ設ケラルヘキ特別協定ニ依リ規定セラルへシ締約國ハ獨逸ノ希望ニ基キ他ノ「バルチツク」沿海國ヲ本件談判ニ參加セシメ得ルコトニ同意ス

第七條〜第十四條(略)