データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ソヴィエト社會主義共和國聯邦フィンランド共和國間平和條約(ソビエト社会主義共和国連邦・フィンランド戦争講和条約,第一次ソ連・フィンランド戦争(冬戦争)講和条約)

[場所] 
[年月日] 1940年3月12日
[出典] 現代国際政治の基本文書,一般財団法人鹿島平和研究所編,原書房,416-419頁
[備考] 署名:1940年3月12日
[全文] 

前文(略)

第一條 ソヴィエト社會主義共和國聯邦「フィンランド」共和國間ノ戰鬪行爲ハ本條約附屬議定書ノ規定ニ依リ直ニ之ヲ停止ス

第二條 「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦「フィンランド」共和國間ノ國境ハ新ニ下ノ如ク之ヲ定ム卽チ「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦ノ領域ノ構成中ニ本條約附屬地圖ニ依リ「ヴィボルグ」(「ヴィプリ」)市竝ニ「ヴィボルグ」灣及其ノ諸島嶼ヲ含ム「カレリア」地峡ノ全域、「ケクスホルム」、「ソルタヴァラ」、「スオエルヴィ」ノ各都市ヲ含ム「ラドガ」湖ノ西岸及北岸、「フィンランド」灣內ノ諸島嶼、「クオラエルヴィ」市ヲ含ム「メルキヤルヴィ」ノ東方地域、「ルィバチー」及「スレドニー」ノ兩半島ノ一部ヲ加フ」

 國境線ノ詳細ナル記描ハ兩締約國ノ代表者ヨリ成ル混成委員會之ヲ決定シ該委員會ハ本條約ノ署名後十日以內ニ組織セラルベキモノトス

第三條 兩締約國ハ相互ニ他方ヲ一切侵略セズ且締約國ノ一方ニ反抗スル如何ナル同盟ヲモ締結セズ又如何ナル聯合ニモ加盟セザルノ義務ヲ有ス

第四條 「フィンランド」共和國ハ附屬地圖ニ依リ「ハンコ」半島、其ノ周圍ノ水域卽チ南及東へ五「マイル」又西及北へ三「マイル」ノ半徑ヲ有スル水域竝ニ該半島ニ近接スル諸島嶼ヲ三十年間ノ期限ヲ以テ「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦ニ租貸スルコトニ同意シ「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦ハ右ニ對スル租借料トシテ年額八百萬「フィンランド、マルク」ヲ支拂フベシ侵略ニ對シ「フィンランド」灣口ヲ防衞シ得ル海軍基地ヲ前記區域內ニ建設スル爲及右海軍基地ヲ防衞スル爲「ソビエト」社會主義共和國聯邦ハ右區域內ニ自國ノ費用ヲ以テ必要ナル數ノ陸軍及空軍兵力ヲ維持スルノ權利ヲ取得ス

 「フィンランド」國政府ハ本條約實施ノ日ヨリ十日以內ニ自國ノ一切の軍隊ヲ「ハンコ」半島ヨリ撤退セシメ「ハンコ」半島及其の近接諸島嶼ハ本條ノ規定ニ依リ「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦ノ管理ニ移サルルモノトス

第五條 「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦ハ自國ノ軍隊ヲ千九百二十年ノ平和条約ニ依リ「ソヴィエト」國家ガ「フィンランド」國ニ對シ自發的ニ讓渡セル「ペツァモ」地方ヨリ撤退セシムルノ義務ヲ有ス

 「フィンランド」國ハ千九百二十年ノ平和條約ノ規定ニ從ヒ北氷洋岸ノ自國水域ニ於テ軍艦其ノ他ノ武裝船舶ヲ維持セザルノ義務ヲ有ス但シ「フィンランド」國ガ無制限ニ維持スルノ權利ヲ有スル百トン未滿ノ武裝船舶及各四百トンヲ超エザル軍艦其ノ他ノ武裝船舶十五隻以內ハ此ノ限ニ在ラズ

 「フィンランド」國ハ前記條約ノ規定ニ從ヒ前記水域內ニ於テ潜水艦及軍用飛行機ヲ維持セザルノ義務ヲ有ス

 又「フィンランド」國ハ前記條約ノ規定ニ從ヒ前記沿岸ニ軍港、戰鬪艦隊基地竝ニ前記船舶及其ノ武裝ニ必要ナル規模ヲ超ユル軍用修繕設備ヲ建設セザルノ義務ヲ有ス

第六條 「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦及其ノ人民ハ千九百二十年ノ條約ニ規定セラルル所ニ從ヒ「ペツァモ」地方ヲ經由シテ諾威國ニ至リ又ハ之ヨリ歸還スル自由通過ノ權利ヲ取得スベク又「ソヴィエト」聯邦ハ「ペツァモ」地方ニ領事館ヲ設置スルノ權利ヲ取得スベシ

 「ソヴィエト」聯邦ヨリ「ペツァモ」地方ヲ經由シテ諾威國ニ輸送セラルル貨物及許威國ヨリ右地方ヲ經由シテ「ソヴィエト」聯邦ニ輸送セラルル貨物ハ通過規定ニ依リ必要トセラルルモノノミヲ除クノ外檢査ヲ免除セラルベク且關税、通過税及他ノ税ヲ課セラレザルベシ

   (中略)

第七條 「フィンランド」國政府ハ「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦瑞典國間ノ貨物通過權ヲ「ソヴィエト」聯邦ニ許輿ス右通過ヲ最短鐡道線ニ依リ實現セシムル爲「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦及「フィンランド」國ハ「カンダラクシァ」市ト「ケミエルヴィ」市トヲ聯結スル鐡道ヲ各自ノ領域內ニ於テ成ルベク千九百四十年內ニ建設スルコトヲ必要ト認ム

第八條〜第九條(略)