データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] アラブ諸国連盟憲章

[場所] 
[年月日] 1945年3月22日
[出典] 現代国際関係の基本文書(上),一般財団法人鹿島平和研究所編,日本評論社,822-825頁.
[備考] 署名:1945年3月22日
[全文] 

〔前文〕(略)

第1条 アラブ連盟は、本憲章に署名した独立したアラブ国家より構成される。

 独立したアラブ国家はいずれも、連盟の加盟国になる権利を有する。これらの国家が加盟を希望するときは、申請書を提出しなければならない。この申請書は常設事務局に寄託され、申請書提出の後に開催される最初の理事会に提出される。

第2条 連盟の目的は、加盟国間の関係を強化し、加盟国間の協力を推進し、加盟国の独立と主権を擁護するため、加盟国の政策の調整と、アラブ諸国の問題および利益への一般的関心にある。

 連盟はまた、加盟国が各国の組織機構および状況に配慮しつつ、以下の問題について緊密な協力を行うことを目的とする。

(1)通商、関税、通貨、および農業・工業の問題を含む経済・財政問題

(2)鉄道、道路、航空、航海、電信および郵便を含む運輸通信問題

(3)文化問題

(4)国籍、旅券、査証、判決の執行および犯罪人引渡しなどの問題

(5)社会的問題

(6)保健問題

第3条〜第4条(略)

第5条 連盟加盟国二か国以上の間に生じた紛争を解決するために武力を用いることは禁止する。加盟国の間に、独立、主権、または領土に関係ない紛争が生じ、かつ、紛争当事国がこの紛争の解決を理事会に訴えた場合には、理事会の決定は強制的かつ義務的なものとする。

 このような場合、紛争当事国は理事会の審議および決定に参加することはできない。

理事会は、加盟国どうし、または加盟国と第三国の間の戦争に至るおそれのあるすべての紛争について、当事国間の和解のため調停を行う。

 仲裁および調停の決定は、多数決によって行う。

第6条 或る国が連盟加盟国を侵略ないし侵略の脅威を与えた場合、攻撃を受け、もしくは侵略の脅威を受けた国は、理事会に緊急の召集を求めることができる。

 理事会は、この侵略撃退に必要な措置の決定にあたり、全会一致で行う。侵略国が加盟国である場合には、当該国の投票は全会一致の票数には含まない。

 攻撃の結果、攻撃を受けた国の政府が理事会と交信不能に陥った場合は、理事会におけるその国の代表は、前条に掲げられた目標のため理事会の召集を求める権利を有する。同代表が理事会と連絡をとれない場合には、連盟のいかなる加盟国も理事会を召集する権利を有する。

第7条 理事会における全会一致による決定は、すべての加盟国を拘束する。また、多数決による決定は、同決定を受諾した国のみ拘束する。

 いずれの場合にも、理事会の決定は加盟国の国内法に従って履行される。

第8条 各連盟加盟国は、他の加盟国の政府組織を尊重し、また、これは各国の排他的事項とみなさねばならず、その政府組織の変更を意図するいかなる行動も慎むことを約束する。

第9条 本憲章に定められた内容以上のより緊密でより強力な関係を希望する加盟国は、必要な協定を締結することができる。

 連盟加盟国と他の国との間に既に締結されたか、もしくは締結されるべき条約および協定は、他の加盟国を拘束することも制約することもない。

第10条 アラブ連盟の本部はカイロに置く。ただし、理事会は自らの指定する他のいかなる場所において開催することができる。

第11条〜第16条(略)

第17条 各連盟加盟国は、自国と他の連盟加盟国または第三国との間に既に締結されている条約ないし協定、および将来締結される条約ないし協定すべてについて、一通を事務局に寄託するものとする。

第18条〜第20条(略)